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#1117 Ventures / The Ventures In Space (1964)

 2007-01-09
01. Out Of Limits
02. He Never Came Back
03. Moon Child
04. Fear (Main Title From 'One Step Beyond')
05. Explotation in Terror
06. War of The Satellites
07. The Bat
08. Penetration
09. Love Goddess of Venus
10. Solar Race
11. The Fourth Dimension
12. The Twilight Zone

13. - 24. (1.- 12. までのMono Version)

宇宙に行く(紙ジャケット仕様)
ザ・ベンチャーズ
東芝EMI (2006/05/24)
売り上げランキング: 7982


「テケ、テケ、テケ、テケ」。1960年代の日本を襲ったエレキ・ブーム。エレキとは勿論エレクトリック・ギターの事で日本では1960年代の半ばに爆発的なブームを起している。寺内タケシとブルージーンズ、シャープ・ファイヴ、そしてご存知若大将原辰徳ではなかった、”エレキの若大将”加山雄三率いるランチャーズで、エレキ・ギターを使用した彼等のインストゥルメンタル・サウンドは日本全国に広まっていった。それ以前の日本のポップスいえば洋楽ポップスのカバーを中心とした和製ポップスの時代。私が生まれるちょっと前の時代からこうしたブームが広まり、エレキ・ブームが到達するまでの時代、日本はアメリカン・ポップスだけでなく、イギリスやフランス、イタリアで流行したヒット・ソングを当時の日本の作詞家達がこぞって日本語に訳して私達のお茶の間に届けたものだった。余談だが、こうした洋楽をカバーしたポップスのメロディは今でも子供心に私の脳裏に焼きついている。

スパイダースやタイガース、モップスなどのGSブームが到来する以前のインスト中心のギター・サウンド(注:今のギター・ロックを連想してはいけない。エリック・クラプトンがフレディ・キングの真似をしてレス・ポールのギターにマーシャルを繋げる以前の時代である)に大きな影響を与えたのはデビュー当初の初期のビートルズ・サウンドは勿論だが、なんといってもベンチャーズ(Ventures)という、インスト中心のサーフ・ミュージック・バンドだ。恐らく私が最も早い時期に意識した外タレ・バンドだったと記憶している。ブリティッシュ・ビート/マージー・ビートに影響を受けた日本のバンドも当時は存在したそうだが、日本ではエレキ・ブームや洋楽カバーの時代が到達する前にロカビリーの時代があった。大雑把に書くとロカビリー・ミュージックとはカール・パーキンスやエルヴィス・プレスリー、ジーン・ヴィンセントのような白人歌手が唄うロックンロールのことで、カントリーやヒルビリーなどの音楽を素としている。

ビートルズもこうしたロカビリーの影響を多大に受けていたが、日本ではエレキ・ブームが到達する以前にロカビリー・ブームがあった為、こういう書き方をすると申し訳ないが当時としては画期的なメロディ・ラインや優れたアレンジ能力を誇ったビートルズよりも前時代的な音楽スタイルのベンチャーズの方が好まれたのだろう。さて、ベンチャーズ。結成は1959年。シアトル出身のボブ・ボーグルとドン・ウィルソンの2人を中心に活動を開始するが、当初は2人によるデュオ・バンドで最初のシングルは歌入りのナンバーだったという。その後ベーシストのノーキー・エドワーズ、ドラマーのスキップ・ムーアが加入してバンド体制となり、これ以降は私達がよく知っているあのベンチャーズの布陣となるのである。彼等は1960年に「Walk Don't Run」を発表するが、このアルバムのタイトル曲が全米シングル・チャートで2位に食い込むヒットを記録(アルバムも翌1961年に最高11位を記録)すると一躍彼等は時代の寵児となる。

カントリー・ミュージック、特にナッシュヴィル・カントリーのドン、チェット・アトキンスから影響を受けたギター・テクニックを糧にベンチャーズは活動を続けていくのであるが、兎に角この後の彼等の活動は凄まじい。日本の芸能事務所に所属する人気アイドルも”旬な内に稼げるだけ稼げ”とばかり猛烈な過密スケジュールで働かさせられると思うが、当時のベンチャーズも凄かった。当時彼等が所属していたドルトン・レーベルの経営者が法律の専門家という門外漢だった事も影響したと思うが、彼等は1961年から1969年までの9年間で実に37枚ものスタジオ・アルバムを発表、いや製作させられる。内訳は1961年3枚、1962年4枚、1963年5枚、1964年3枚、1965年7枚、1966年5枚、1967年4枚、1968年2枚、1969年4枚。これ以外にライヴ盤や編集盤の類もあるのだから、最早何が何だか判らない。通常ならこのリリースはシングルの発表周期だ(いや、例えシングルだって9年に渡ってこんなペースでシングルを発表した人は過去いないのでは?)。

ウォーク・ドント・ラン’64(紙ジャケット仕様)カラフル・ベンチャーズ(紙ジャケット仕様)ベンチャーズ・イン・ジャパン(紙ジャケット仕様)キャラバン(紙ジャケット仕様)バットマン(紙ジャケット仕様)

■ Nokie Edwards - Lead Guitar
■ Don Wilson - Rhythm Guitar
■ Bob Bogle - Bass
■ Mel Taylor - Drums

休む間もなく働き続けたギター・インスト・サーフ・ミュージック・バンド、ベンチャーズの時代は母国では1970年代の前半で終わってしまったが(彼等のアルバムが最後にチャート・インしたのは1972年)、欧州と日本では米国でベンチャーズ・ブームが終焉を迎えても人気は落ちなかった。欧州と日本では母国では発表されなかったお国限定のアルバムも発表されたし、得にここ日本では”日本の夏といえばベンチャーズ”とか”夏の風物”と未だに言われる位、長きに渡り人気を維持し続けている。夏になればやってくるベンチャーズの日本初来日公演は1962年。最近も2006年9月、更に年が明けた2007年1月14日にも全盛期のリード・ギタリスト、ノーキー・エドワーズを加えた布陣でコンサートが予定されているなど、来日回数は50回を越え、日本での通算公演回数はなんと2200回オーバー。40年の時を越えてこれほど温かく支持を受け続けているグループは他には恐らく存在しないだろう。

勿論、母国では既に忘れされた存在とはいえ、1970年代前半までの彼等の人気は高かった。37枚ものアルバムをチャート・インさせた。殆ど話題に上る事はないが、シングル・ヒットなしでアルバムを売る事が出来た最初のバンドだったし、彼等の作品は全世界で1億枚以上売れたという。1960年代を通じて世界を席巻したベンチャーズの音楽は1960年代が青春時代だった多くの音楽界に多くの影響を及ぼしている。日頃の私はビートルズを起源としてビートルズ以降のロック・バンドばかりを中心に聴いているのだが、本来なら私を含む全ての洋楽ファンはベンチャーズに敬意を表しなくてはならないのである。とはいえ、正直いってしまえば『カントリー・ギターから流用したリード・ギタリストのテクニックは当時としては画期的なのは判るが、果たしてベンチャーズの作品にロック・ファンが真正面に取り組むべき作品なぞ、あるのか』というのが大方の洋楽ファンの逸話ざる本音であろう。だがある。

ベンチャーズが1964年早々に発表した、ウン枚目の作品「The Ventures In Space」(邦題:宇宙に行く)がそれだ。市場には安い米盤も値の張る仏盤もあるが、今ならまだ日本製紙ジャケットが入手出来る筈である。本作以前に既に10枚以上の作品を発表していた、超人気バンドのベンチャーズが発表した意欲的な作品で、当時の作品としてはビートルズやビーチボーイズもあっと驚く趣向をこらしたアレンジが施されている。私も初めて聴いた時には、『これがテケテケのベンチャーズのなのか』と驚愕した位だ。いやはや無知とは恐ろしいものである。本作は発表同年に最高27位を記録した作品でシングル・ヒットはない。第一ベンチャーズは最初期に「Walk Don't Run」というヒット・シングルがあるものの、元来シングル・ヒットに頼ってアルバムを売るバンドではなかった。アルバム・トータルの完成度で売上と人気を伸ばしていた初めてのロック・バンドだったのである。しかし、それにしても「The Ventures In Space」におけるアレンジの妙は素晴らしい。

ミステリアスな響き「Out Of Limits」は1963年当時、米TVで放映されたドラマから。ベンチャーズ自身はシングル・カットしなかったが、他のバンドがカバーしてヒットさせた他、日本では独自にシングル・カットされている。40年以上も前の録音とは思えないクリアーなサウンドが特筆のギター・インストゥルメンタル。タイトル通り、宇宙の神秘に触れるような曲で、似たようなタイトルのSFドラマを思わず連想してしまった。「He Never Came Back」はボーグル他4人の共作。ホーウィー・ジョンソンから代わったメル・テイラーのスネアの効いたドラミングは迫力充分で、当時のブリティッシュ・インヴェイジョンに堂々と真正面から対抗出来る演奏である。「Fear」はタイトル通りの恐怖感をイメージした曲で、タイトルと曲調が見事なまでにマッチしている。1960年代前半の白黒サスペンス映画のイメージがピッタリだろう。「Explotation In Terror」は当時”世にも不思議な物語”のタイトルで放映されたTV番組の主題歌。

ミステリアスな1960年代TVドラマを思わず連想してしまうエキゾなナンバーで「ミステリー・ゾーン」「ヒッチコック劇場」「アウターリミッツ」とった番組をかつて子供心ながら楽しんだ記憶が蘇ってくる。「War Of The Satellites」はベンチャーズの定番曲「Diamond Head」の作者ダニー・ハミルトンのペンによる曲で、なるほど何処となく「Diamond Head」に曲調が似ている。「Penetration」は今でもベンチャーズのステージで演奏される人気曲で当時日本でも独自にシングル・カットされた。所謂ベンチャーズの表面的なイメージに近いサーフ・ナンバーだ。「Love Goddess Of Venus」は当時の日本でも受けたであろう、日本人好みの感傷的なフレーズが愛らしいギター・バラード。演奏も控え目。メンバーのオリジナル「Solar Race」を経てアルバムの最後に用意されているエンディング曲「Twilight Zone」はかつて一世を風靡したSF-TVドラマの有名な曲。日本では当時”ミステリー・ゾーン”の名前で放映されている。

再放送だったと思うが、私も幼い時代にこの番組は怖い思いをしながら見ていた記憶がある。TVドラマ「Twilight Zone」(後に1980年代にスティーヴン・スピルバーグ監督がリメイクした)はドラマにしろ映画にしろ小説にしろ、今現在ファンタジー系ジャンルの世界で働くほぼ全ての業界人に大なり小なり影響を与えたといっても過言ではない超有名番組。番組のテーマ曲も不条理で理解不能な未知なる神秘の扉を開くという番組のコンセプトにぴったりな曲だった。本カバーでも番組が持つ神秘的なイメージを少しも損なうどころか、更にスケールアップしたかのようなミステリアスな演奏をベンチャーズは聴かせてくれる。「The Ventures In Space」はベンチャーズに対する世間一般の固定観念をいい意味で覆してくれる名作だと思う。勿論、ロック・ファンにもお奨め出来る。メンバーの演奏の確かさは勿論、当時の編集テクニックの限界に挑戦したかのような斬新なアレンジとエフェクトが堪能出来る作品。2006年まで本作の存在を知らなかった自分を恥じたい。

発表は1964年早々だから録音は1963年の時点。あのビートルズもまだアイドルをやっている時代で、「A Hard Day's Night」を発表する以前の時代だったことを考えると、「The Ventures In Space」における斬新なレコーディング技術は驚異的の一言といっていい。ベンチャーズに対してこれまで矮小な固定観念を抱いていた人なら、ある意味カルチャー・ショックを受けると思う。

バンドスコア ベンチャーズ ベスト
小林 克己
シンコーミュージック
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コメント
Cottonwoodhillさん、どうもです。
先を越されてしまいました。
購入はしてみたものの、未聴です。どこへしまい込んでしまったのか。

>ある意味カルチャー・ショックを受けると思う
非常に楽しみです。探してみる価値ありです、自室をですけれど。
【2007/01/10 22:52】 | chitlin #- | [edit]
この作品が録音された1963年といえば、まだイギリスのミュージシャンの殆どが米国のブルースやR&Bなどをマンマ コピーしているだけの時代ですから、本当にこの作品は凄いと思います。
【2007/01/11 18:16】 | Cottonwoodhill #- | [edit]












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