(加)Maneige / Libre Service-Self-Service (1978)
カナダのフランス語圏であるケベック出身のシンフォニック/ジャズ・ロック・バンド、マネイジュ(Maneige)の中古を購入。過去彼等の通算3作目に相当する「Ni Vent...Ni Nouvelle」(1977年)を取り上げて記事にした事があったが、今回は過去『御伽の国へ』という邦題が名付けられた事もある、この作品の次に発表された「Libre Service - Self Service」(1978年)を紹介してみる。日本では一部のプログレ・ファン以外には殆ど知られていないバンドだが、2006年3月にボーナス音源を加えたデジタル・リマスター仕様で国内販売されたばかりなので今後の知名度アップといきたいところだ(10年以上前に国内で販売された過去あり)。
私が所有しているのは過去取り上げた「Ni Vent...Ni Nouvelle」と「Libre Service - Self Service」。但し今回のは新装再発されたリマスター版ではなく1994年プレスの旧マスター物。メンバーは5人。創設期から在籍しているメンバーのうちフルート/サックス奏者のアラン・ベルジュロンは元気に参加しているが、クラリネット/キーボード奏者のジェローム・ラングロワはハーヴェスト時代をもってバンドから脱退している。本作の収録曲は全部で10曲。ハーヴェスト時代にはアルバムの片面全部を使った大作とか組曲形式の大作なんかがあって、プログレよき時代の名残りを感じさせる作風もあったが、ポリドールに移籍してからは、プログレ受難時代の時代背景も考慮したのか、1曲当りの曲の長さは然程長くもない。
マネイジュの前作にしてポリドール移籍第一弾もあった「Ni Vent...Ni Nouvelle」と比較して一番の変化はリズムにファンクの要素を取り入れた事。それに更なるポップ化の推進だ。彼等の特徴である、フュージョン・テイストなジャズ・インストゥルメンタル・シンフォニック・ロック路線は相変わらず。それにケベックという、欧州の香りを感じさせる土地柄なのか、北米大陸出身のバンドとは思えない気品と優雅さが感じられるのも彼等の特徴である。パンク・ロックなどの新興勢力が盛んだった当時の音楽事情だったが、軽やかなフュージョン、或いはフュージョンの要素を取り込んだサウンドも多くの音楽ファンから支持されていた事も事実(実際にはこっち系の音楽の方がパンク・ロックなんかよりも幅を利かせていたんですが)。
ロック・ファンならイメージとしてはフュージョン化した時代のゴングとかあるいはブランドX、キャメル、ハッピー・ザ・マン当りを連想して頂けるといいかもしれないが、聴感上のイメージが兎に角リリカルで官能的。実際には「La Belle et la Bete」や「Bagdad」(まるでキング・クリムゾンとユニヴェル・ゼロを組み合わせたような曲)のように複雑に構成された難解な楽曲もあるのだが、柔らかいフルートの音色効果、あるいはマリンバやヴィブラフォンの導入もあってか、威圧感は殆ど感じない。色気のある上品なサウンドだが悪く言えばパンチとワイルドさに欠ける。人によってはメロディアスで上品なマネイジュの音楽には物足りなさを感じるかもしれない。
■過去の記事
Maneige / Ni Vent...Ni Nouvelle (1976)
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