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#0948 Web / I Spider (1970)

 2005-04-05
1.Concerto For Bedsprings
a) I Can't Sleep 
b) Sack Song 
c) Peaceful Sleep 
d) You Can Keep the Good Life 
e) Loner
2.I Spider
3.Love You
4.Ymphasomniac
5.Always I wait

Web / I Spider

ついに入手した。以前から興味があったがなかなか入手する事が出来ずに長い間地団駄を踏む日々が続いていたがようやく入手。岩明均氏の怪奇コミック『寄生獣』をも連想させるような、奇妙な動物がジャケットに描かれている、この作品の主役はウェブ(Web)と名乗り、1960年代の後半から1970年代初頭にかけて3枚の作品を発表、その後バンド名をサムライ(Samurai)と名乗りセルフ・タイトルの作品を1枚発表している。ジャケの雰囲気からさも奇抜でグロテスクな現代音楽崩れのアヴァンギャルド・ミュージックかと思いきや、その内容はサックスやキーボードにウェイトを置いた少々ユニークなスタイルのジャズ・ロック風情。単体としての知名度は低いながらも、ジャズ・ロック裏街道畑における隠れた佳作と呼んでもよいかもしれない。

ジャケットの奇抜さだけでなく、このバンドが昔からプログレッシヴ・ロックの好きな方から密かに注目を浴び続けているのには訳がある。サウンドの質の高さは勿論の事、このバンドが崩壊後に元コラシアムの名キーボード奏者、デイヴ・グリーンスレイドが結成したプログレッシヴ・ロック・バンドのグリーンスレイドにキーボード奏者のデイヴ・ロウソンが参加したという事実があるから。グリーンスレイドはベース&ドラムスのリズム・セクションに2人のキーボード奏者を要するという、当時としては非常に珍しい楽器構成で音楽活動を展開していたバンド。コラシアム解散後からおよそ3年程の間音楽活動を展開していたが音楽観の相違やマネージメント面での問題もあり1970年代の中頃に活動を停止してしまっている。
このウェブというバンドは1960年代の後半のロンドンの音楽シーンに現れたバンドだが、ウェブと名乗る前はアメリカ人ヴォーカリストのジョン・L・ワトソンをリーダーとするジョン・L・ワトソン&ザ・ウェブと名乗り米国を拠点として音楽活動を展開していたらしく、米国活動当時は黒人音楽をベースとしたサウンドで活動していたらしい。1967年頃の出来事のようだ。その後海の向うから来るブリティッシュ・サイケに感化されたのか(米国では売れなかったのか)、海を超えて英国に渡り、心機一転バンド名をウェブと短縮して新たに音楽活動の拠点をロンドン周辺としている。そこで彼等はジャイルズ、ジャイルズ&フィリップもデビューを飾ったデッカ傘下のデラムと契約、1968年に最初の作品となる「Fully Interlocking」を発表する事に。

ブリティッシュ・ブルースの仕掛け人マイク・ヴァーノンのプロデュースを受けて製作されたデビュー作を発表したウェブは1970年に前作同様マイク・ヴァーノンの手を借りて「Theraphosa Blondi」を発表するも、リーダーのワトソンが脱退してソロ活動を開始してしまう(ワトソンは同年にデラムからソロ作「White Hot Blue Black」を発表する)。リーダーを失ったジョン・イートンやレニー・ライトらウェブ残党が代役として白羽の矢を立てたのがデイブ・ロウソン。歌も歌うがキーボードも演奏し、更に作曲家としての才能をも持つロウソンの加入によってウェブはデイブ・ロウソンを主体としたバンドへと必然的にシフトする(ウェッブ時代の2作品は未聴、手に入るのだろうか)。

ヴォーカリスト/キーボード/作曲家のデイヴ・ロウソンによって完全に主導権を握られた異色のブリティッシュ・ジャズ・ロック・バンド、ウェブは心機一転所属レーベルをデラムから今度はポリドールヘ移し、通算3作目となる「I Spider」を1970年に発表している。さらに翌年にウェブは何故かバンド名をサムライと改め(東洋思想に被れたのだろうか)、1971年にウェッブ第一作からバンドに居座るジョン・イートン(ベース)、レニー・ライト(パーカッション)、ケニー・ビヴァレッジ(ドラムス)、トニー・エドワース(ギター)、そしてロウソン、新加入の管楽器奏者2人による大所帯で「Samurai」を発表するがウェブ~サムライと続いた音楽活動をこれ以上継続する事は出来なった模様だ。

この後2代目サウンド・リーダーのデイヴ・ロウソンはドラマーのアンドリュー・マックロークを通じて元コラシアムのキーボード奏者デイヴ・グリーンスレイドと接触、この3人にグリーンスレイドとは旧知の間柄であったベーシストのトニー・リーヴスが加わる事によりグリーンスレイドの陣容が固まるのである。グリーンスレイドに活動の場を移したロウソンは「Greenslade」「Bedside Manners are Extra」「Spyglass Guest」「Time & Tide」などの作品製作に関与するが、これ以上新しいアイデアを捻り出す事は出来なかったのかバンドは解散。その後スタックリッジに加わり「Mr. Mick」(1976年)製作に関与するが、スタックリッジも直ぐに解散してしまう。

グリーンスレイド(紙ジャケット仕様)ベッドサイド・マナーズ・アー・エクストラ(紙ジャケット仕様)Original Mr. Mick

■ Dave Lawson - Vocals, Organ, Piano, Harpsichord, Mellotron
■ Tony Edwards - Acoustic & Electric Guitars
■ John Eaton - Bass, Cabassa
■ Kenny Beveridge - Drums, Bongoes, Woodblock, Jawbone
■ Lennie Wright - Drums, Vibes, Tympani, Congas, Guiro
■ Tom Harris - Tenor & Soprano Sax, Concert & Alt Flute, Tambourine

通算3枚、サムライ名義を含めれば4枚の作品を発表したウェブの通算3作目に相当する作品にしてポリドール移籍第一弾。初期2作はアメリカ人ヴォーカリストのジョン・L・ワトソンをリーダーとするバンド、そして残り2枚(サムライ含め)はデイヴ・ロウソンを主体とするバンドだっただけに、ワトソン版ウェブ2作、ロウソン版ウェブ2作と切り分けて考えた方がよいのかもしれない。収録曲は組曲形式の冒頭作「Concerto For Bedsprings」を含め5曲。全て新加入のロウソンの作品。プロデュースはロビン・クリフォード。そしてジャケの奇抜さは実に形容し難い。ジャケの奇抜さという点においてもサッド・カッフェやトゥ・ファットといった有名なジャケと比肩出来る。

時代は1970年。1960年代後半の残り火であるサイケデリック・サウンドやアート・ロック・サウンド、プログレッシヴ・ロック、ジャズ・ロック、ブルース・ロック、更に前衛/フリー、ソウル、イージー・リスニング/ムードなどのサウンドが混沌とごった煮の状態で淀んでいた当時の時代を象徴するかのような雑多系曲者サウンド。一筋縄ではゆかぬクセのある楽曲構成などを見ても、どこからどうみてもブリティッシュ・ロックならでは、といった風情であるが、(ワトソン時代のサウンドを聴いた事がないので断定は出来ないが)元は米国でソウル路線の音楽を演奏していたらしいバンドらしく黒っぽいフィーリングが時に醸し出されているのも興味深い。

グリーンスレイド時代はキーボード奏者の2枚看板が売りであったが、ウェブでは専任の打楽器奏者が2人いるものの、特に際立った活躍はしておらずアフロ・ロック的なアプローチも少々地味というか大人しめ(彼等2人はドラムの他、ヴァイヴやボンゴ、コンガ、ティンパニ、ジョーボーン、ギロなどを担当)。主役はやはりロウソンが奏でるハモンドやピアノ、ハープシコード、メロトロンといった各種鍵盤楽器、これにサックスやフルートといった管楽器が加わる事でなんとも言えぬ特徴ある神秘的な楽曲を更に魅力あるものへと昇華しているかのよう。兎に角曲が個性的。ジャズ、ブルース、サイケデリック、ラウンジなどの諸要素が混在としたサウンドはブリティッシュ・ロック・ファンなら一聴の価値ありといったところだろうか。

エレクトリック・マイルズに触発されて登場したサウンドでも、グラハム・コリアー系譜のクールなブリティッシュ・ジャズの路線に沿う音楽でもない。一般的にはジャズ・ロックの範疇で語られるバンドだが、ソフト・マシーンやニュークリアス、そしてハットフィールドなどのカンタベリー系ジャズ・ロック路線とはまるで違う、アンダーグランド発のジャジーでブルージーな如何わしい雰囲気たっぷりなブリティッシュ・ロック。かといって重苦しさ一辺倒でもなく本気なのか冗談なのかラウンジ・ミュージック風な展開も登場する。シリアスで遊び心を許さない硬派なロック・ファンなら纏りの欠けた散漫な作品として評価するだろうが、1960年代末~1970年代初頭のなんでもありの雑多でヘヴィかつ屈折したフィーリングが好きな方なら文句なくお勧めだ。

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