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#1115 Rumour / Frogs, Sprouts, Clogs & Krauts (1979)

 2007-01-05
01. Frozen Years
02. Emotional Traffic
03. Tired of Waiting
04. Loving You
05. Euro
06. Leaders
07. We Believe in You / New Age
08. All Fall Down
09. One Good Night
10. I Can't Help Myself

11. Hard Enough to Show (Bonus Track)

フロッグス、スプラウツ・クロッグス・アンド・クラウツ(K2HD/紙ジャケット仕様) フロッグス、スプラウツ・クロッグス・アンド・クラウツ(K2HD/紙ジャケット仕様)
ルーモア (2006/03/15)
ビクターエンタテインメント

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1979年1月27日。イアン・デューリー「ニュー・ブーツ&パンティーズ」購入。この日私は近所のレコード店でペネトレーションやザ・ジャムのレコードと一緒にイアン・デューリーなる未知のアーティストのレコードを購入したのだが、これが私にとって最初のスティッフ・レコード作品。ダムドやコステロ、リーナ・ラヴィッチのデビュー作はこの後聴いたのでイアン・デューリーが私のスティッフ・レーベル初体験だった。スティッフ・レコードは1976年にロンドンで設立されたインディ・レーベルでパンク・ロック~ポスト・パンク全盛期にパンク・ロック以前のパブ・ロッカーとの契約を結んでパンク・ロック吹き荒れるロンドンでパンク・ロックの勢いに便乗するかのようにちゃっかりと人気を伸ばしたレーベルだった。1979年当時の私にはまだパブ・ロックなるジャンルの概念はなく、パブ・ロッカーの殆どをパンク・ロッカーか或いはニュー・ウェーヴに属する類のアーティストとして認識していたのである。
1979年に「Frogs, Sprouts, Clogs & Krauts」を発表したルーモアというバンドもスティッフに籍を置いていたロック・バンドで彼等もまた元来はパブ・ロック・バンド。それもその筈、彼等はブリンズレー・シュウォーツという由緒正しきイギリスの名パブ・ロック・バンドのメンバーによって結成されたバンドだった。ブリンズレー・シュウォーツは1969年に結成、1970年にアルバム・デビューを飾ったバンドでその当時のメンバーはブリンズリー・シュウォーツ(ギター)、ニック・ロウ(ベース)、ボブ・アンドリュース(キーボード)、ビリー・ランキン(ドラムス)。1972年の「Silver Pistol」からイアン・ゴムを加えた布陣で活動を継続するも、リアル・タイムでは然したる成功を収められずに1975年に解散してしまったバンドだ。解散後、自作自演の可能なニック・ロウとイアン・ゴムはソロ活動に転身するが他の残党はどうしたかというと、グレアム・パーカー(Graham Parker)というパブ・ロッカーのバックを務めるのである。

今日不当なまで評価の低い男、グレアム・パーカーは1976年のニック・ロウのプロデュース作品「Howlin' Wind」でアルバム・デビューを飾るのだが、この作品でバックを務めたのが元ブリンズレー・シュウォーツのメンバーだった。当時グレアム・パーカーのマネージャーだった男はデイヴ・ロビンソンといい、彼こそ直後にスティッフ・レコードを設立することになる張本人だった。しかもブリンズレー・シュウォーツのデビュー時の売り込みプロモーション大失態の関係者だったこともあってブリンズレー・シュウォーツのメンバーとは旧知の間柄だった。そんな事もあってロビンソンを間に挟む形でブリンズレー・シュウォーツの残党達はザ・ルーモアとなってグレアム・パーカーと一緒に音楽活動を開始する事になる。バンドはロビンソンの尽力によってヴァーティゴと契約を結んで1979年までの間に「Howlin' Wind」「Heat Treatment」「Stick To Me」「The Parkerilla」「Squeezing Out Sparks」と何れ劣らぬ素晴らしいパブ・ロック・アルバムを発表する。
一方、ブリンズリー・シュウォーツやボブ・アンドリュースを中心とするルーモアは1977年にフォノグラムと契約を結んで同年に単独名義でのデビュー作「Max」を発表する。その後、彼等はロビンソン主宰のスティッフと契約を結んで1979年に通算2作目となる「Frogs, Sprouts, Clogs & Krauts」を発表。この時点で親分のグレアム・パーカーはヴァーティゴとの契約が残っていたが、契約終了後は晴れてスティッフの一員となって「The Up Escalator」を1980年に発表している。ザ・ルーモアも1980年にスティッフ移籍第二弾となる「Purity of Essence」を発表した。グレアム・パーカー、ザ・ルーモア、揃ってスティッフと契約を結んで目出度し目出度し、という訳には実はいかず、この年を最後に彼等のパートナーシップは実は解消してしまった。皮肉なもので両者の協力関係解消は両者にとって不幸な結末を齎した。パーカーはRCA移籍直後の1982年「Another Grey Area」は兎も角、その後勢いを失って人気を落とし、一方ザ・ルーモアに至っては解散、である。

2658.jpgHowlin' Windマックス(紙ジャケット仕様)ピュリティ・オブ・エッセンス(K2HD/紙ジャケット仕様)

■ Brinsley Schwarz - Guitar, Vocals
■ Martin Belmont - Guitar, Vocals
■ Andrew Bodnar - Bass, Drums
■ Steve Goulding - Drums, Percussion, Vocals
■ Bob Andrews - Keyboards, Vocals

■ Dick Hanson - Trumpet

グレアム・パーカーがルーモアと組んで発表した初期ヴァーティゴ作品はいずれも出来の良いパブ・ロック作品ばかり。1970年代末から1980年代初頭にかけて個人的にはコステロよりも好きなアーティストだったし、本来ならそちらの方を紹介したいのだが、その機会は別にして今回は脇役であるルーモアの作品にスポットを浴びせてみる。パーカーのバック・バンドとして1975年に元ブリンズレー・シュウォーツのブリンズリー・シュウォーツ(ややこしい)やボブ・アンドリュースを中心に結成されたルーモア名義の作品は1977年から1980年にかけて発表された3枚で、内2枚がスティッフと契約を結んで発表した作品だ。当時の個人的な思い出が続いて申し訳ないがルーモアはグレアム・パーカーの単なるバック・バンドという印象しか当時の私にはなく、パブ・ロックという概念もブリンズレー・シュウォーツというバンドの存在も全く知らなかった私にとってはグレアム・パーカー抜きのバック・バンドの演奏などに興味を覚えなかったし眼中にもなかった。
だから本作を聴いたのは当時よりずっと後。初めて聴いた時、想像した通りの地味なサウンドだったと感じたが、パブ・ロック時代から培われた音楽センスに何故だかほっと胸をなでおろしたことを覚えている。さて、本作「Frogs Sprouts Clogs & Krauts」には収録10曲。CD化に際してボーナス・トラック「Hard Enough to Show」が追加収録されている(14曲仕様の輸入盤もあり)。プロデュースはブリンズレー・シュウォーツとロジャー・ビーチリアンとの共同作業。曲はブリンズリー・シュウォーツ、ボブ・アンドリュース、マーティン・ベルモントの3人のメンバーによるオリジナル曲が中心だが、パブ・ロックの精神を根底に持つバンドらしく、ザ・バンドのリック・ダンゴのペンによる「Tired of Waiting」をカバーするなど、”らしい”作業も行っている。また曲によってはグレアム・パーカーやニック・ロウの名前も見られる。作品はニューウェーヴの時代を反映してか、それなりのアレンジが見られる場面もあるが、今の感覚で聴くとそれ風のアレンジは実は控え目。

個別の曲に簡単に触れてみたい。「Frozen Years」はシングルとしても発表された曲。ニューウェーヴ時代らしい華やかで可憐なアレンジが光る佳作。グレアム・パーカーという個性的なヴォーカリストがいない面、インパクトという点でグレアム・パーカー&ザ・ルーモアより落ちるものの、ブリティッシュ・ポップらしいセンスが光る作品と言えよう。パブ・ロック・バンドとしては果敢なシンセのイントロから始まる「Emotional Traffic」。少々ドッキリとさせられるが、曲が始まるとまるでグレアム・パーカー節健在と言えるロックンロール・ナンバーへと早代わり。親分抜きでもグレアム・パーカー節とは流石ルーモア。「Tired of Waiting」はリック・ダンゴが1977年に発表したソロ作「Rick Danko」からのカバー。ポスト・パンク/ニューウェーヴの時代には似つかわしくないアメリカン・ロック・スタイル。「Loving You」はもう1人のギタリストのマーティン・ベルモントの曲。
ルーモアを語る時には大抵ブリンズレー・シュウォーツの名前が踊る事になるが、マーティン・ベルモントもほぼ同時期に活動していたダックス・デラックスというパブ・ロック・バンドからルーモアに参加した人だけに、こちらの音楽センスも問題なし。「Euro」はブリンズリー・シュウォーツの曲。ニック・ロウやエルヴィス・コステロの雰囲気も感じさせる小意気なナンバーだ。「Leaders」はベルモントとニック・ロウの共作。当時のニック・ロウのソロ作品に収録されておもおかしくない小曲。軽妙なニューウェーヴ風のアレンジだが今となってはアレンジの向こうに感じられるルーツ音楽に根差した音楽センスの方に耳が奪われる。グレアム・パーカー節が感じられる「We Believe in You / New Age」は途中で曲調がXTC風に変化するなど、当時のニューウェーヴの影響を多大に受けた作風。「All Fall Down」はジャズとレゲエを混在させたような曲。「One Good Night」は純パブ・ロック・ファンの溜飲を下げるような”らしい”ナンバー。

エンディングのボーナス・トラック「Hard Enough to Show」は「Emotional Traffic」と共に当時シングルとして発表された曲。パブ・ロックの精神を残しながら洗練された当時のニューウェーヴ風のアレンジとゴスペル風の女性コーラス、ちょいレゲエ風味の調理がされた曲。なかなかいい。総体的に言って、1979年発表という時代背景もあって、「Frogs Sprouts Clogs & Krauts」には随所にニューウェーヴ風のアレンジが盛り込まれているが、音楽のベースとなる部分においては、ブルースやカントリー、ロックンロールなどのロックのルーツ音楽をベースとするパブ・ロック・バンドの息吹が確かに感じられる作品。多分、リアルに当時聴くよりも、色眼鏡なしに正当に評価出来る今現在の方が、間違いなく本作を高く評価出来るはずだ。音楽の好きな方なら表面的なアレンジに耳を奪われる事なく、ルーモアの音楽の向こうにルーツ音楽に対する純粋な畏敬の念を見出せるに違いない。

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