fc2ブログ

#1116 Corinne Bailey Rae / Corinne Bailey Rae (2006)

 2007-01-06
01. Like a Star
02. Enchantment
03. Put Your Records On
04. Till It Happens to You
05. Trouble Sleeping
06. Call Me When You Get This
07. Choux Pastry Heart
08. Breathless
09. I'd Like To
10. Butterfly
11. Seasons Change

12. Another Rainy Day (Japan Only Bonus Track)

Corinne Bailey Rae コリーヌ・ベイリー・レイ

2006年に最もブレイクした女性歌手の1人、コリーヌ・ベイリー・レイ(Corinne Bailey Rae)。2006年の春に英BBC が選ぶ 2006年のUK音楽シーン期待の新人(Sound Of 2006、2位は Clap Your Hands Say Yeah)の1人して選ばれた歌手だったが、その期待を裏切る事なく、僅か1枚のアルバムで世界中の洋楽ファンの心を虜にした事は未だ記憶に生々しい。昨年から続くブレイク期間は今尚進行中で2007年2月に行われる予定の日本来日公演でも多くの聴衆の心を魅了するに違いない。プロのソロ歌手としては1枚のアルバムを発表しただけであるが、音楽誌『Q Magazine』が開催する”2006 Q Awards”の最優秀新人ノミネート、ビルボードが選んだ2006年年間優秀作品ベスト10位、更に第49回グラミー賞の”Record Of The Year”他3部門でのノミネートなど、彼女が残した作品の素晴らしさが賞やランキングという形式で評価されようとしている。2006年の UK音楽の殿堂のセレモニーでもキャリア充分のベテランの音楽に混じり登場した事も記憶に新しい。

彼女はは1979年2月26日、英ウェスト・ヨークシャーはリーズ地方出身。セントクリストファー・ネイビス出身の父とイギリス人の母との間に3人姉妹の長女として生まれた。新人歌手といっても現時点で既に27歳。見た目は童顔のイメージもあるコリーヌだが、実はオーディション番組で優勝して華々しく登場したようなラッキー・ガールではない。イギリスでは今、オーディション番組”Xファクター(X Factor)”の優勝者である女性歌手リオナ・ルイスがちょっとした注目を浴びているようだが、コリーヌはリオナのような段取りを踏んで登場してきた女性歌手とは少々異なるようだ。過去にちょっとだけ遡って見る。音楽好きな父親の影響で彼女は幼少の頃から歌を唄うようになり、やがて15歳の頃に自分のバンドを持つようになる。バンドの名前はヘレン(Helen)。幼い頃は聖歌隊で唄ったり、ヴァイオリンを習ったり、クラシック音楽の勉強を受けていたというが、当時の彼女の好みはパワフルなオルタナティヴ・ロックだったというから驚きだ。

勿論、年頃の多感な少年・少女らしく過去のロックのビック・ネームや更にヒット・チャートを駆け抜ける流行歌も人並に聴いていたようであるが、当時から既にそうした音楽は彼女の好みではなかったようである。さて、15歳の時に結成したヘレンなる女性だけのバンドは暫く活動が継続、1990年代のある時期にヘヴィメタ・レーベルとして知られるロードランナー・レコード (Roadrunner Records)と契約寸前までいったそうだが、ベーシストが妊娠して活動は中断。女性だけのバンドに降り掛かる宿命と言ってはそれまでだが、残念ながらバンドは解散という宿命を迎えてしまう。この後彼女はリーズ大学に進み勉学に励むが音楽の夢は捨て切れずにジャズ・クラブに立って歌う生活をも送っている。この当時、彼女が肌で触れたジャズやソウルのジャンルに属するスムースな音楽が今日の彼女の音楽性構築に役立っている事は間違いないだろう。もう一つ、彼女はこの当時サックス奏者のジェイソン・レイという人物と出会って2002年に結婚している。

コリーヌ・ベイリーという名前からコリーヌ・ベイリー・レイとなったのはこの時点から。音楽の夢を捨てきれない彼女は大学卒後もアルバイトをしながらチャンスを伺う毎日。そんな彼女にようやく転機が訪れるのが2004年。この年彼女は EMI との契約を成功させ、2005年11月に待望のファースト・シングル「Like a Star」発表にまで漕ぎ着けたのだった。15歳でヘレンというバンドを結成してからこの時点で10年以上が経過してしまったが、彼女の足取りを見ると、解散や挫折が決して無駄ではなかった事が判る。オルタナティヴ・ロックのヘレンとしてレーベルと契約を結んでレコードを発表したとしても、その他大勢の同系のバンドの中から抜きん出る事が出来たかどうかは判らないし、解散後の大学時代におけるジャズ・クラブでのソロ修行時代でジャズやソウル・ミュージックといった音楽に接する機会がなかったら今のコリーヌ・ベイリー・レイがなかったと考えると、つくずく人生って無駄な時間ってないのだなあ、と知らされる次第だ。

コリーヌ・ベイリー・レイ リミテッド・エディションTrouble Sleeping, Pt. 2Like a Star, Pt. 2Put Your Records On

■ Corinne Bailey Rae - Vocals, Acoustic & Electric Guitar, Spanish Guitar, Bass, Percussion, Piano, Keyboards, Background Vocals, Moog Synthesizer

■ Rod Bowkett - Acoustic Guitar, Bass
■ Paul Herman - Acoustic & Electric Guitar, Drum Programming
■ Kenji Jammer - Acoustic & Electric Guitar
■ Aubrey Nunn - Bass
■ Steve Bush - Bass, Electric Guitar, Programming
■ Peter Lewinson - Drums
■ Jess Bailey - Hammond Organ, Wurlitzer
■ John Beck - Keyboards
■ Steve Brown - Hammond Organ, Background Vocals, Fender Rhodes, Wurlitzer, Jupiter
■ Tommy D. - Keyboards, Drum Programming
■ Andrew Hale - Programming, Producer, Grand Piano
■ Jason Rae - Flute, Alto & Baritone Sax
■ Jim Corry - Tenor Sax
■ Malcolm Strachan - Trumpet
■ Cara Robinson - Background Vocals
■ Gavyn Wright Orchestra - Director, String Director
■ Will Malone - String Arrangements, String Conductor
■ The London Session Orchestra - Strings

コリーヌ・ベイリー・レイのデビュー曲「Like a Star」は全英シングル・チャートで34位を記録するなど、実績のない新人アーティストの曲としてはまずまずの成功を獲得、翌2006年に発表された彼女の第二弾シングル「Put Your Records On」は全英シングル・チャートで最高2位を記録する。更に2006年2月27日、つまり彼女の誕生日の翌日に発表されたデビュー・アルバム「Corinne Bailey Rae」はジャック・ジャクソン「In Between Dreams」を押えて2006年3月に全英1位の座を見事獲得する。翌週は元ピンク・フロイドのギタリスト、デヴィッド・ギルモアの久し振りの新作ソロ作品「On An Island」に1位の座を奪われるが、次週で再び1位の座を奪取するなど、新人アーティストの作品としては及第点以上と言える、計2度の1位の座を獲得している。米ビルボードのチャートでもイギリスの新人女性歌手としては破格の17位の座を獲得した他、カナダやフランス、イタリア、ドイツ、そしてここ日本でもヒット・チャートの上位の座を獲得した事は先刻ご承知の通り。

2006年最高のブライテスト・ホープの1人の割りにはシングルのセールスが今ひとつではないか、という人もいるかもしれないが、一昔前と違って彼女は音楽配信サービスが定着してから登場した音楽歌手。それが証拠に母国英国でのダウンロードチャートで「Put Your Records On」は見事1位の座を獲得した他、ラジオなどでの放送でも1位を獲得している。まさに彼女はインターネット時代、音楽配信時代における新しい花形と言えそうだ。尚、2007年2月に彼女は日本に来日して大阪・心斎橋クラブクアトロや東京・恵比寿ガーデンホールで初来日公演を行う予定がある他、日本公演の翌週には第49回グラミー賞の授賞式が待っている。彼女は”レコード・オヴ・ザ・イヤー”、”ソング・オヴ・ザ・イヤー”、”最優秀新人”の3部門にノミネートされている。結果が待ち遠しい。ジェームス・ブラントやディキシー・チックス、米人気オーディション番組”American Idol”の優勝者などもいるので受賞は難しいかもしれないが、ノラ・ジョーンズの時のような良い知らせを期待したい。

さて、当場所を訪れる人の殆どが白人ロックの好きな方だと思うが、そのような方からするとコリーヌの容姿のようなアーティストに少なからず警戒感を抱く筈だ。得に40歳以上の白人ロックの信仰者なら余計そう感じる筈。だが、そこは安心して欲しい。1度でも聴いてみればコリーヌの音楽は昨今流行のリズム偏重のダンス・ミュージックではなく、美しいメロディ・ラインを大事にしたオーガニックなサウンドにほっと胸を撫で下ろす筈である。彼女がジャズ・クラブ修行時代に聴いたという、スティーヴィー・ワンダー、ダニー・ハザウェイ、マーヴィン・ゲイといった(カーティス・メイフィールド当りも恐らく聴いていただろう)、新世代ソウル・ミュージック(古い言い方をすれば”ニュー・ソウル”)、エリカ・バトゥやビョークといった新世代の歌姫、更にビリー・ホリデイなどの定番ジャズ・ヴォーカリストなどの歌が彼女を大きく成長させたろうし、実際そうしたアーティストからの影響も垣間見て取れる。

イギリス出身のアフリカ系女性歌手ということもあって、個人的にはナイジェリア出身の女性歌手シャーデー・アドゥを連想してしまう。あちらもジャズやソウルなどの音楽とアダルト・コンテンポラリーなエキスを融合させた音楽で1980年代以降のスムース・ソウル・シーンを席巻した歌手。だが、シャーデー・アドゥと異なり、コリーヌは過去にオルタナティヴ・ロックを演じていた過去やヒップ・ヒップ系の音楽が当り前のように巷に溢れている"今の人"だけあって、デビュー時点での躍動感や若々しさ(既に人妻だが)という点ではコリーヌの方が上だろう(オルタナティヴ風のメロディをビタースウィートにアレンジして隠し味としている当りはヘレン時代の活動の名残か?)。また、本人自らが歌を唄うだけでなくギターを弾けるというのも音楽の幅を広げるのにも貢献している。彼女の定番曲と言える「Like a Star」は作曲者自らがギターを弾けなくては作れない曲だろう。

アコースティック・ギターを駆使した落ち着いた作風はエリック・クラプトンが30年かかって到達したレベルにデビューの時点で既に達しているといっても過言ではない。彼女のコメントによれば、プログラミングされ過ぎた昨今のブラック・ミュージックはあまり好きではないという。ブラック・ミュージックというとニュー・ソウル時代、或いはシャーデー位なら許せる世代の洋楽ファンには心強い援軍と言える。メジャー・デビュー作が大ヒットを記録したにも関わらず、ルーツに根差したマイ・ペースな活動を堅持するノラ・ジョーンズ、オルタナティヴ・ポップ路線から友人の音楽家と一緒にカントリー路線のサウンドにまい進しているミッシェル・ブランチ、そして女性らしいしなやかなサウンドを糧として、心が癒されるようなセンシブルでリラックスしたネオ・ソウルな音楽を追求するコリーヌ・ベイリー・レイ。彼女達のような女性歌手達、おじさんの私は無条件に応援する。

可憐な容姿から想像できないが、彼女はどうやら自己の音楽性追求の為には商業的な成功など意にも介さないタイプの女性歌手のようなので、今後もこの路線を堅持していくに違いない。二重丸。グラミー賞ノミネート3部門で一つでも受賞するようなことがあれば、ターボが効いて今後更にセールスを上昇させることになろう。ああ、そう。目立たないが夫ジェイソン君も参加してます。彼女の作るメロディからはスティーヴィー・ワンダーのようなソウル・ミュージックだけでなく、ロックやジャズ、更にボサノヴァなど、多種多様な音楽からの引用が感じられる事からして、ソウル・ミュージックだけに限らず相当数音楽を聴きこんでいる事が想像出来る。見た目以上に音楽の底は深いと思われるので、今後も地に足を着けた、落ち着いた作品が彼女の元から届けられるに違いない。心配なのは所属レーベルであるEMIがもっと売れるアルバムを作れ、といったレコード会社ならではの余計な口出しをする事位だろう。
関連記事
FC2ブログランキング人気blogランキングへにほんブログ村 音楽ブログへブログランキング【くつろぐ】参加中
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://cottonwoodhill.blog21.fc2.com/tb.php/2045-865901d2
  • コリーヌ・ベイリー・レイ来日(2007年2月)!!【Muse on Music.】
    コリーヌ・ベイリー・レイの初来日公演が決まったようです!!当ブログでも一押ししてきたコリーヌ・ベイリー・レイ(Corinne Bailey Rae)。とうとう待ちに待った情報が出ました!今のところコンサート会場は大阪の心斎橋クアトロと東京恵比寿ガーデンホールの2ヶ所、来日
【2007/01/08 22:55】
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫
FC2カウンター

プロフィール

はじめに

Author:Cottonwoodhill
未確認・不確定な事でも堂々と書いてしまう無責任洋楽ブログ。根は洋楽ミーハーCottonwoodhillは感覚派B型人間なので記事の整合性が欠ける場合多々有り。過去の記事への不快なコメントなどは問答無用で削除します。

RSSフィード
CalendArchive

最近のアルバム評
Powered by 複眼RSS

最近のアルバム寸評

今日のBGM
ゼン・プレイ・オン(紙ジャケット SHM-CD)

最近のコメント
最近のトラックバック
LIVE TRAFFIC MAP
Myスカウター

スカウター : Cottonwoodhill 別別館

FC2検索

タグランキング

トラックワード
FC2 SEO リンク
FC2 アクセスランキング

TopHatenar

フィードメーター
フィードメーター - Cottonwoodhill 別別館
あわせて読みたいブログパーツ

ブログ通信簿

サイト価格ランキング


サイト売買のサイトストック

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
音楽
75位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
洋楽
17位
アクセスランキングを見る>>

フリーエリア
  1. 無料アクセス解析