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#0906 Simon Nabatov Quartet / Nature Morte (2001)

 2004-10-26
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8. Pts. 9-10

Simon Nabatov Quartet / Nature Morte

今回またしてもフィル・ミントンの名前に吊られて購入してしまったCDを紹介したい。イギリスのマニアックなレーベルであるフリー系の Leo Records から発表された1枚だが、1959年ロシアはモスクワで生れた前衛ジャズ・ピアニストのサイモン・ナバトフ(Simon Nabatov)をリーダーとするアヴァンギャルド・ジャズ・アルバム「Nature Morte」(2001年)がそれだ。サイモン・ナバトフに関する事前の知識など全くなく、フィル・ミントンと Leo Records、そして価格が1050円という点などにより購入を決断した1枚だったが、フィル・ミントン参加作品に外れなし、というマイ定説通りの私好みのイカレタ作品だった。
何度も書いてきたがフィル・ミントンは1940年イギリス・トーケン出身の前衛ヴォイス・パフォーマーで欧州の即興音楽シーンを中心として活躍する才人。マイク・ウエストブルック・オーケストラやナショナル・ヘルス、ニューズ・フロム・バベルなど、カンタベリー周辺での活動でも知られている人物です。対してサイモン・ナバトフという人物は1990年代以降のアバンギャルド・ジャズ・シーンで活躍する、知る人ぞ知る存在らしい。かなりの多作家らしく、これまで自身のソロ作やデュオ/トリオ/カルテット編成による作品を1990年代を通じて発表している。彼の父親が音楽家だった影響もあり、幼少の頃から音楽の英才教育を受けてきた人物のようだ。
僅か3歳でピアノ演奏の練習を開始、6歳でなんと作曲も初めている。セントラル音楽学校、そしてモスクワ音楽院にて音楽を勉強、その後家族揃って米国に移り住んだ1979年頃、サイモン・ナバトフはニューヨークのジュリアード音楽院に進学して勉強を継続している。この時期、彼のジャズ、特にインプロヴィゼイションに対する興味が強くなっていったそうだ。さて、プロとしての音楽活動であるが1980年代にはトロンボーン奏者の Nils Wogram やクラリネット奏者のペリー・ロビンソン、そしてナバトフとは同年齢のトロンボーン奏者のクラウス・ケーニッヒのバンドの一員として活動を展開する傍ら、「Circle The Line」「Inside, Looking Out」「Locomotion」などのリーダー作を発表している。
1990年代の活動も華々しい。レイ・アンダーソン、マティアス・シューベルト、クラウス・ケーニッヒ、ペリー・ロビンソンのバンドの一員として活動する一方、ベーシストのマーク・アライアスらとトリオ編成による自身のバンドを結成、「For All The Marbles」「Tough Customer」「Sneak Preview」などの作品を発表している。21世紀を超えても音楽活動の意欲は衰えず、自身のリーダー作やドラマーの Han Bennink、トロンボーン奏者の Nils Wogram とのコラボレーション作品製作にも積極的だ。サイモン・ナバトフは近年は Leo Records を中心とした活動が主らしく「The Master and Margarita」「Perpetuum Immobile」「Autumn Music」などの近作も同レーベルからの発表。

■ Phil Minton - Voices
■ Frank Gratkowski - Clarinet, Flute, Bass Clarinet, Alto Sax
■ Simon Nabatov - Piano
■ Nils Wogram - Trombone

■ Joseph Brodsky - Poetry

ソロ作だけでなくデュオ作やリーダー作を含めると1980年代後半からの活動であるにも関わらず20枚前後にもなる為、本作がサイモン・ナバトフにとって通算何枚目に相当する作品であるかは判らない。過去ナバトフは本作「Nature Morte」を含め、「Circle The Line」「Inside, Looking Out」などのカルテット作品を発表しているが、1980年代後半のカルテット作品に関与していた Ed Schuller や Arto Tuncboyaci などは本作には関与していない。2001年にはもう1枚、「The Master and Margarita」というクィンテット作品を発表しているがメンバーに重複はない。フィル・ミントンの参加は本作のみの関与だったのだろう。少々残念だ。
さて本作「Nature Morte」はピアニストのサイモン・ナバトフをリーダーとするカルテット作品だが、製作コンセプトのテーマとなったのは1987年にノーベル文学賞を受賞したロシア(1972年に米国に亡命)のユダヤ系作家/詩人ジョセフ・ブロドスキー(ヨシフ・ブロツキー?1940-1996)のテキストを元にした作品らしい。ジョセフ・ブロドスキーという人は生前『人は何を読むかで決まる』というご立派な格言を残した人らしいが、年に1冊たりとも本を読まない私には耳の痛い言葉。そんな立派な人のテキストを元にした作品であるからにして、正座でもして聴かねばならないのか、と思いきや、スピーカーから飛び出すのは例によって例のパフォーマンス。

ユニーク極まりないヴォイス・パフォーマーと前衛ピアニスト、そして管楽器奏者2人という、珍しい構成のカルテットから真っ当な音楽が土台飛び出す筈もないが、予想通りというか例によってフィル・ミントンの奇妙奇天烈なヴォイス・パフォーマンスが飛び出すと、本当にこれが作家/詩人ジョセフ・ブロドスキーのテキストを流用したコンセプト・アルバムなのか、と疑問を持ってしまうが、曲が進むにつれてようやくフィル・ミントンの語りが飛び出す。作家や詩人のテキストを流用したコンセプト・アルバムというと、エドワード・ゴーリーやサミュエル・ベケットのテキスストを利用したマイケル・マントラーの一連の作品を連想するが、本作の奇抜さは、これらを遥かに凌駕する。
本来ゲストである筈なのに主役を食ってしまう程の強烈な個性を発揮するフィル・ミントンの存在感は本作でも圧巻で、音源だけ聴かされたら誰しもがフィル・ミントンのリーダー作品だと認識するに違いない。音楽だけなら、クラシック音楽からの流用と思われるサイモン・ナバトフによる華やかでパーカッシヴなピアノや2人の管楽器を中心とした現代音楽風味のアヴァンギャルド・ジャズといった傾向の作品などだが、鬼才フィル・ミントンが参加したお陰で本作を優秀作たるレベルにまで押し上げていると言えよう。ナバトフ自身、フリー・スタイルから抒情的な演奏スタイルと、結構幅広い演奏スタイルを特徴とするピアニストのようであり、作風もナバトフの個性に合わせてフリーな展開から時に抒情的な表現へと目まぐるしく展開する。
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