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#1180 Christie / For All Mankind (1971)

 2007-09-02
01. Magic Highway
02. Man Of Many Faces
03. Picture Painter
04. Martian King
05. For All Mankind
06. Peace Lovin’ Man
07. My Baby’s Gone
08. Country Sam
09. I Believe In You
10. If Only

11. The Dealer (Down And Losin')(Bonus Track)
12. Pleasure And Pain (Bonus Track)
13. Alabama (Bonus Track)
14. I'm Alive (Bonus Track)
15. Guantanamera (Bonus Track)
16. Navajo (Bonus Track)
17. The Most Wanted Man In The USA (Bonus Track)
18. Rockin' Suzanna (Bonus Track)

For All Mankind フォー・オール・マンカインド

所謂俗に言う一発屋のカテゴリーに属するアーティスト。実際にはシングル・ヒットは1曲だけでなく小規模のヒットもあるのだが、瞬く間に登場したあっという間に活動が収束してしまったという点からして、便宜上一発屋を称しても問題はなかろう。1970年に「Yellow River」という全英1位シングルを持つイギリスのポップ・ロック・バンド、クリスティ(Christie)である。記録によれはクリスティ「Yellow River / Down The Mississippi Line」は1970年6月6日付で前週まで3週連続1位を記録していた「Back home」(1970年のワールドカップ、メキシコ大会でのイングランド代表の応援歌)を蹴落として見事1位に輝いている。翌週から7週連続でマンゴ・ジェリーの大ヒット曲「In The Summertime」、その後エルヴィス・プレスリー「The Wonder Of You」が6週連続で1位を堅持してしまったので、クリスティが天下を取ったのは僅か1週間だけだったのだが、それでも新人バンドのシングルが1970年という激動の時代に頂点に立ってしまったのだから見事という他あるまい。

ちなみに英ロックにとって1970年前後という年は本当に激動の年でもあった。アルバム・チャートだけを見ても1969年から1971年にかけてクリーム、ムーディー・ブルース、ボブ・ディラン、ジェスロ・タル、ブラインド・フェイス、ビートルズ、ローリング・ストーンズ(以上1969年)、レッド・ツェッペリン、S&G、ビートルズ、ボブ・ディラン、ムーディー・ブルース、CCR、ローリング・ストーンズ、ブラック・サバス、ピンク・フロイド(以上1970年)、S&G、ジョージ・ハリソン、ローリング・ストーンズ、ポール・マッカートニー、ELP、ムーディー・ブルース、ザ・フー、ディープ・パープル、ロッド・スチュワート、ジョン・レノン、レッド・ツェッペリン、T.レックス(以上1971年)といった連中の作品がアルバム・チャートの1位に輝いている。彼等以外にもイエス、ジェネシス、ユーライア・ヒープ、プロコル・ハルム、デヴィッド・ボウイといった人達が元気に活動を展開していた。またにロックの時代本格化である。

こんな激動の時代に活動を開始したクリスティだが、中心メンバーの一人ジェフ・クリスティ(1946年、英ヨークシャーはリーズ出身)は実は既に1967年にアウター・リミッツというグループの一員としてプロの世界に身を投じている。デラムから「Just One More Chance / Help Me Please」、更にイミディエイトで「Great Train Robbery / Sweet Freedom」(プロモ・オンリー、1968年に改めてサブ・レーベルのインスタントから発売)というシングルを制作している模様だが、ヒットには至らなかった。アウター・リミッツはジェフ・クリスティが1960年頃に立ち上げたアマチュア・バンドでプロ・デビューにまで漕ぎ着けたのだが、2枚のシングルを持ってしても成功を収める事なくバンドは崩壊。仕方なくジェフはソングライターとして生きる道を模索するも、自作の曲を取り上げてくれる人は出ずじまい。そんな失意のジェフが出会ったのがトレメローズのギタリスト、アラン・ブレイクリー(Alan Blakley)。

一説によればジェフ・クリスティの「Yellow River」は一時はトレメローズ側に気に入られ、当初はトレメローズのシングルとして録音される計画もあったそうだが、別の曲がシングルとして用意されてしまい「Yellow River」は没になるかに思われた。だが、「Yellow River」を世に送り出したいという関係者の熱意によってジェフ・クリスティ自らが(或いはトレメローズ側の発案かもしれない)新バンドを結成して「Yellow River」を発表する事になる。ようするにクリスティはトレメローズが没とした「Yellow River」を世に送り出す為に結成された急造バンドであった。バンドにはベース/ヴォーカルにジェフ・クリスティ、ギターとドラムスには元エピックス/アシッド・ギャラリーのヴィック・エルムズ(ギター)、トレメローズのアラン・ブレイクリーの弟マイク・ブレイクリー(ドラムス)が担当する事になる。だがなにせ、シングル発表の為に思い切り突然に造られた急造バンド、巧くいったのは最初だけという有様。

「Yellow River」はキュートなメロディにベトナム戦争をテーマにした歌詞を持つ社会風刺的な側面も持つ歌。『銃を下ろして僕の好きな場所、イエローリバーに帰る』という歌詞がベトナム戦争に反対の立場を取る当時の若者の心を掴んだのだろう。シングルは見事チャートの頂点にまで辿りついた(米でも23位を記録)。だが、これで慌てたが実は当のクリスティ。自作の曲を使ってもらおうと方々にばら撒いていたジェフ・クリスティだったが、シングルがまさかヒットするとは思えず、寸前までまともに人前でバンドとして演奏出来るようなリハーサルは積んでいなかったのだという。ヒット・シングル1枚を引っさげてクリスティはツアーを敢行、その後同年10月にクリスティは2枚目のシングル「San Bernadino / Here I Am」を発表(前作の勢いが残っていたのか、チャート7位を記録、ドイツでは1位)、更に同年にデビュー・アルバム「Christie Featuring San Bernadino And Yellow River」を発表するに至っている。

クリスティ
「クリスティ」
 [CD]
 アーティスト:クリスティ
 レーベル:ヴィヴィッド
 発売日:2005-11-02
 by ええもん屋.com

■ Vic Elmes - Lead Guitar, Vocals
■ Jeff Christie - Bass, Piano, Harmonium, Harpsichord, Vocals
■ Paul Fenton - Drums, Vocals

■ Danny Krieger - Guitar (Bonus Track)
■ Roger Flavell - Bass (Bonus Track)
■ Terry Fogg - Drums (Bonus Track)

■ Tony Ferguson - Guitar (Bonus Track)
■ Roger Willis - Drums (Bonus Track)

クリスティは翌1971年にシングル「Man Of Many Faces / Country Sam」(邦題は”気になる男”)、アルバム「For All Mankind」を発表するが、この時点で既に彼等の旬の時代は終わっていた。前年に全英1位シングルを放っていたバンドであるにも関わらず、「For All Mankind」は母国では発売が見送られてしまった。この後はサウンドに厚みを持たせる為にバンドは元Unit 4 + 2 の Lem Lubin を迎え入れて4人体制(ジェフはキーボード奏者に転進)として1972年に「Iron Horse」を発表する。これが彼等にとって最後のチャート・イン・シングルとなった。バンドはこれを最後に解散。この後ジェフ・クリスティはシングル発表の際に新メンバーを雇う形でクリスティの看板を復活させて「The Dealer」(1973年)、「Alabama」(1974年)というシングルを発表するもさして話題には上らなかった。バンドが正式に崩壊したのは1976年。ちなみにジェフ・クリスティは解散後も音楽活動を諦めず、1980年代、そして1990年代に入ってからも音楽活動を継続しているようだ。

「For All Mankind」は1971年に発表されたクリスティ名義の2作目に相当する作品。前年の1971年に発表された「Yellow River」「San Bernadino」のシングル2曲は市場で暖かく迎えられたが、僅か1年でこの低評価。スペイン語によるシングルを発表した経過もあって、母国英国以外での欧州ではまだまだ市場のニーズがあったのか、母国以外では発売されたが母国での低評価はいかんともし難い。だが、だからと言って「For All Mankind」のレベルが低いかと言えばそうでもない。上記で触れたように、1970年前後のブリティッシュ・ロック・シーンは激動の時期。当時の日本で言う所の所謂”ニュー・ロック”勢が大勢登場して新たな歴史を刻もうとしていた革新的な時期でもあった。1960年代のビート時代から活動を続けていたバンドの多くは新しい音楽的エキスを導入して生き残りを模索、また、この時期に登場してきたバンドの多くは既存のロック・バンドとの差別化を図るべく、革新的で斬新なサウンド構成を武器に若い音楽ファンの心を掴んで離さない。

こんな時代、ビートルズ・ライクなポップ・センスを持つバンドはどうだったかと言うと、ハード・ロックやプログレなどの所謂”ニュー・ロック”を好む音楽ファンから一段低いレベルの音楽を奏でるバンドとして半ば嘲笑の対象となっていたのが現実である。ビートルズ解散後の元ビートルズのメンバーのポップ・アルバムの数々が1970年代、リアルタイムでどのような評価を受けていたかについては40代以上の音楽ファンなら誰でも知っている事だ。シングルがヒットしたとはいえ、ポップで親しみ易い曲1~2曲だけでは生き残れない時代である。かくしてクリスティも「For All Mankind」ではよりハードなアレンジを加えた路線で生き残りを図ろうと画策する。商業的には全く失敗に終わった作品というのが「For All Mankind」に対する今の評価だろうが、この路線変更は音楽的内容の見地から言えば成功と言える。一時はソングライターとして生きていこうと考えていたジェフ・クリスティ率いるバンドだけあって、収録されていた曲の出来はどれも悪くない。

ジェフ・クリスティは1960年代前半のブリティッシュ・ビート全盛時代、アマチュア・バンドのアウター・リミッツを率いて活動していた経歴を持つ人(後にプロ・デビュー)だけあって、クリスティのサウンドの芯からはブリティッシュ・ビートの息吹がそこはかとなく感じられる。モッズ系のビート・グループ、特にザ・フーからの影響が強く感じられるが、ヘヴィなリフやメロディを活用した粋の良いナンバーからは厳しい時代を生き抜いて行こうという活気が感じられる。この1枚を最後にオリジナル作品が発表されなくなってしまったクリスティだが、作品のレベルが高いだけに残念でならない。更に演奏のレベルも悪くない。結成当初はまともに演奏も出来ない名前だけのバンドで、結成当時のドラマーのマイクはプロのドラマーとして技量を疑われる程のレベルだったが、本作からマイクの代役として参加しているドラマーのポール・フェントンにそんな言葉を掛けるのは失礼だ。

個別の曲に触れるスペースが無くなってしまったが、ブリティッシュ・ポップ・バンドのお家芸であるビートルズ・ライクな良質のメロディ、1970年代風にアレンジし直されたかのようなビート・ポップス、よりハードにアレンジされたタイトなパワー・ポップ・チューン、センスの高さを感じさせる哀愁のバラードなど、1970年代の英国ポップ・シーンにおける隠れ名盤といっても過言ではない良好なパートが揃っている好作だ。前作に全英1位を記録したシングルが収録されている為、クリスティと言えばデビュー作品が注目されるのが通常のパターンだろうが、良質なブリティッシュ・ポップを追い求めるファンなら是非とも購入して1度は聴いて欲しい作品だ。ちなみに本作には「For All Mankind」以降に発表されたアルバム未収録のシングルAB面曲計8曲がボーナストラックとして追加収録している。どれもブリティッシュ・ポップ、或いはパワー・ポップの視線で眺めてみても非常にレベルの高いキャッチーなサウンドが詰まっている。
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