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#1217 Dana Gillespie / Foolish Seasons (1968)

 2008-01-25
01. You Just Gotta Know My Mind
02. Tears In My Eyes
03. Life Is Short
04. Souvenirs Of Stefan
05. Can't You See I'm Dreaming
06. No! No! No!
07. He Loves Me, He Loves Me Not
08. London Social Degree
09. Dead
10. Foolish Seasons
11. Where Will You Be
12. Hard Lovin' Loser

Dana Gillespie / Foolish Seasons

デヴィッド・ボウイの関連アイテムをコレクションしているファンの方にはスチュワート・ゴードン監督『フロム・ビヨンド』(1986年)でのバーバラ・クランプトン嬢を彷彿とさせるようなボンテージ・ファションのジャケが印象的な「Weren't Born a Man」、グラム・ロック風の化粧を施した「Ain't Gonna Play No Second Fiddle」など、RCA時代の作品が強烈な印象を残しているのが歌手のダナ・ギレスビー(Dana Gillespie)という人。この人、どうしてもデヴィッド・ボウイのマネジメント会社のバックアップを受けて制作された1970年代中期のアルバムばかりがスポット・ライトを浴びてしまうが、時代時代によって異なる顔を見せて多種多様な活動をしていた人としても知られている。1960年代にはロンドンとデッカに2枚のカラフル・ポップなアルバムを残したかと思えば1980年代以降はブルース歌手として活動した顔まで持つ。更に女優としてもマニアックなファンから支持を獲得している人としても知られているのだ。

音楽ブログで彼女の女優としての経歴に迫るサイトは多分ないと思うので私が触れて置くが、まずは1966年のアーノルド・ミラー監督作品『Secrets of a Windmill Girl』に歌手役として出演。彼女はこの映画の前年に相当する1965年に16歳の若さでシングル「Donna Donna / It's No Use Saying It」でパイから歌手デビューしているから歌手役で映画に出ていたとしても問題はない。この後出演したのが英ハマー・プロダクション制作による『魔獣大陸』(1968年)という映画だ。当時日本でも劇場公開されたらしい。テレビでも放映されたがその際には『大怪獣タコヘドラの襲来』という妙なタイトルに改変されている。監督はハマーの名物男マイケル・カレラス(後に社長の座まで昇格)。原作はデニス・ホイートリー(Dennis Wheatley)の「地図にない海」。ダナ・ギレスビーはこの映画にサラという娘役で出演した。バケモノ映画のお供に必須、巨乳のセクシーな娘役が彼女の劇中での役柄だった。DVDも出ている。若かりし日の動くダナ・ギレスビーを確認したい方はどうぞ。
1972年にはTVコメディ「Till Death Us Do Part」に出演、1974年には英映画界きっての鬼才ケン・ラッセル監督『マーラー』(次作はあの『トミー』)に出演している。彼女の役柄はアンナ・フォン・ミルデンブル。ダナ・ギレスビーは映画の為に「Alma's Song」という曲まで書いている。1977年にはケビン・コナー監督『続・恐竜の島』に出演。この映画は1975年に英アミカス・プロが制作した『恐竜の島』の続編で原作はエドガー・ライス・バロウズの「時に忘れられた人々」。映画はもうどうでもいいヘンテコリンな内容なのだが、ダナ・ギレスビーはアジョルという名前の女性役で出演。『魔獣大陸』よろしく、この映画でも彼女は自慢の豊乳を見せ付けるワイルドな女性を演じて見せた。この後も女優としての仕事は続き、TV『Hazell』(1978年)、映画『シャーロック・ホームズ バスカヴィル家の犬』(1980年)、ニコラス・ローグ監督『ジェラシー』(1980年)、ジョージ・ハリスンが設立したハンドメイド・フィルム制作『バッド・ガールズ』(1983年)などに出演。

1984年のジム・ゴダード監督『Parker』出演を経て1987年の『マーラー 時を駆ける旅』ではまたしてもアンナ・フォン・ミルデンブル役を演じてみせた。彼女は1990年頃まで女優業を続けており、女優として可也のキャリアを築き上げてきた事が判る。恐らく、日本の音楽ファンが考えているよりずっと、海外、特にイギリスではそれなりのステイタスを確立している歌手/女優さんとして認知されているに違いない。彼女のタレント性を最も低く評価しているのはひょっとすると我が日本かもしれないが、映画の話はこの辺までにしておいて、今度は歌手としてのキャリアに触れてみる。ダナ・ギレスビーは1949年3月、英ロンドン出身。彼女を音楽の世界に引きずり込んだのはブルース。10代の頃にマーキー・クラブでヤードバーズの演奏を見た経験があるというから少女時代から本当に熱心なブルースのファンだったのだろう。1960年代の半ばにはドノヴァンのサポートを得て冒頭で触れたシングルを発表した。当時まだ16歳。

更にドノヴァンのツアーにも同行する。その際彼女は渡英したボブ・ディラン遭遇、この時の様子はボブ・ディランのドキュメンタリー映画『ドント・ルック・バック』で確認する事が出来る(D・A・ペネベイカー監督による、この映画はボブ・ディランの1965年の英ツアーの模様を追いかけた映像ドキュメンタリー)。1960年代には女優業と並行する形で2枚のアルバムを発表した。1967年録音のロンドン作品「Foolish Seasons」、1968年録音のデッカ作品「Box Of Surprises」がそれだ。それとジーザス・クライスト・スーパースターの2枚組LP(1970年)にも顔を出しているという。この後暫く彼女名義の作品は途絶えてしまうが、1973年のシングル「Weren't Born A Man / All Gone」、アルバム「Weren't Born a Man」で音楽シーンに復帰。1960年代はドノヴァン、ボブ・ディラン、ジミー・ペイジといった人達との関わりあいがあったが、今度はデヴィッド・ボウイ。グラム・ロックの時代ならでは、の過激なボンテージ・コスチュームによるジャケットは誰もが目を奪われるだろう。

翌1974年にもシングル「Andy Warhol / Dizzy Heights」、アルバム「Ain't Gonna Play No Second Fiddle」を発表するが、RCA時代のキャリアはここで終わり。この後は女優として映画出演、更に米国に渡って本格的なブルース歌手としての道を歩み始める。1980年に入ってブルース歌手としてのキャリアが本格化。「Blue Job」「Below the Belt」「Solid Romance」「It Belongs to Me」「I'm A Woman」「Move Your Body Close To Me」「Hot News」「Sweet Meat」といったタイトルのアルバムがエース・レコーズを中心に発表されている。何れも耳にした事がないので新作なのか寄せ集めなのかライヴなのかは判らないが、それでも可也な作品点数だ。また彼女は1980年代には Mojo Blues Band や Axel Zwingenberger といった面々と度々ツアーも行なった。ちなみに Mojo Blues Band の1980年代のベラフォン作品「...and the Boogie Woogie Flu」「Hot Bricks」には彼女の名前もゲストとしてジャケットに堂々とクレジットされている。

Dana GillespieWeren't Born a ManAin't Gonna Play No Second Fiddle Big Boy

■ Dana Gillespie -Lead Vocals

■ Wayne Bickerton - Producer
■ Joe Foster - Producer
■ Nick Robbins Sound Machine
■ Steve Stanley - Producer
■ Mike Vickers - Musical Director

1990年代に入っても彼女の音楽活動のペースは留まる所を知らない様で、「Amor」「Where Blue Begins」「Boogie Woogie Nights(with Joachim Palden)」「Big Boy(with Joachim Palden)」「Methods of Release」「Blue One...」「Have I Got the Blues for You」「Back to the Blues」、、、、と上げていくとキリがない。コンピ盤も乱発されているのでどれがスタジオ新作なのかは判らないが、1980年代以降のブルース歌手としてのダナ・ギレスビーの作品は日本では殆ど知られていないに等しいと感じている。私だけなのかも知れないが、彼女の作品と問われば1960年代のロンドン/デッカ作品や1970年代のデヴィッド・ボウイのマネジメント会社メインマン関連2作品位しか頭に思い浮かばない人が大半だろうと思う。私も実はその口だ。そんな訳で今回は彼女の記念すべきデビュー作品を紹介する。「Foolish Seasons」という作品がそれで1968年発表。1949年生まれなので1968年の時点で彼女はまだ19歳という事になる。

発表当時19歳か18歳という年齢だが、既にお色気満載だ。ジャケットからメリー・ホプキンのような夢見るフォーク歌手を連想してしまう人もいるかもしれない。事実確かにそれに近い曲もあるが、彼女にはもっと天真爛漫というかデビュー当初からビッチな雰囲気がたっぷり。まず第一、彼女は凄い巨乳だ。彼女のダイナミックな肢体を意識してか、CD冊子には爆乳を強調した写真が一杯掲載されている。英ハマー・プロダクションが『恐竜100万年』(1966年)のラクウェル・ウェルチを意識して『魔獣大陸』で彼女をキャスティングしたのは絶対に正しいと言えるね。さて、肝心の作品の方だが、基本はスウィンギン・ロンドンを彷彿とさせるカラフルなサイケ調ポップス。簡単に曲に触れてみたいが、冒頭のナンバー「You Just Gotta Know My Mind」はドノヴァンの曲でギターはジミー・ペイジ(但しノン・クレジット)。プロデュースもジミー・ペイジが担当したという。ジャケの雰囲気とは異なるガレージ・ロック仕立ての元気のよいロック・ナンバーだ。

「Tears In My Eyes」は控え目なオケが挿入されたシングル向けのドリーミーなサイケ・ポップ。「Life Is Short」はビリー・ニコルズ作。イミディエイトの専属ソングライターらしいアンドリュー・ルーグ・オールダム風のポップ・ソング。哀愁漂う「Souvenirs Of Stefan」は絶品のバラード・ソング。甘口のセミ・バラードだが、印象は聴後も強く残る。「Can't You See I'm Dreaming」はビートルズを生んだイギリスらしい大袈裟なオケが挿入されたカラフル・ポップス。「No! No! No!」は何処かで聴いた曲だと思ったらミッシェル・ポルナレフ。オケを背景としたアレンジが実に楽しい出来栄えだ。「He Loves Me, He Loves Me Not」はなんとダナ・ギレスピーのオリジナル。当時まだ10代とは思えない才能ぶりを感じさせるセンスの良いポップ・ナンバーに仕上がっているのが特徴だ。「London Social Degree」はこれもビリー・ニコルスの曲。ガール・ポップ仕立ての生きの良いカラフル・ポップ。先の「Life Is Short」同様、思わぬ所でビリー・ニコルスの才能に触れる事が出来てなんだか得した気持ちになってしまった。

「Dead」のギターはジミー・ペイジ。ブルージーな旋律を味わえる大人の雰囲気たっぷりなジャジー・ソング。10代でこんな曲を歌わせたら通常は浮いてしまう所だが、早熟な彼女であるが故、年齢を感じさせないアダルトな空間を見事なまでに醸し出してくれる。「Foolish Seasons」はタイトル・ソング。彼女自身のオリジナル。ジャケットから多分誰もがブリティッシュ・フォークの類に属する内容を連想すると思うが、本曲はそんな霧の掛かったブリティッシュ・フォークのイメージに一番近い曲と言える。なにげに投げ遣りな歌い方が実にいい。最終曲「Hard Lovin' Loser」は若き日のブリジット・バルドーを彷彿とさせるフレンチ・ポップス風のアレンジ。これで終わり。途中でも書いたが、本作のジャケを手に取って大方の人はブリティッシュ・フォーク系の音楽を連想するだろうが、内容はスウィンギン・ロンドンなカラフル・ガールズ・ポップ。ソフト・ロック・ファンにもお奨め出来るし、1960年代の欧州女性アイドルをお好きな方にも多分お奨め出来るだろう。買ってよかった。


These Blue Nights
「These Blue Nights」
 [CD]
 アーティスト:Dana Gillespie
 レーベル:Wolf
 発売日:2007-03-13
 by ええもん屋.com


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