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#1230 Aquila / Aquila (1970)

 2008-02-15
01. Change Your Ways
02. How Many More Times
03. While You Were Sleeping
04. We Can Make It if We Try
The Aquila Suite
05. First Movement: Aquila (Introduction), Flight of the Golden Bird
06. Second Movement: Cloud Circle, The Hunter, The Kill
07. Third Movement: Where Do I Belong, Aquila (Conclusion)

Aquila (1970)

"Aquila" はイタリア語で「ワシ(鷲)」の事。もしくは天の川にあるわし座(鷲座)の事も指す。わし座の由来はギリシャ神話にも登場するが、トロイアの王子で美少年でもあったガニュメデスをさらったゼウスの姿がわし座であるとも言われている。言うまでもなくワシは空の王者。力強いその姿から各国の国旗に登場したり、或いは国鳥に指定されたり若しくは戦闘機の名前にと各方面でワシの力強いイメージが利用されてきた。イタリアにはラクイラ県なんて県もある。勿論、県のシンボルはワシ。優雅で強大、威厳と神聖さを感じさせる姿から音楽の世界でも英語表記の "Eagle" 同様、"Aquila" をバンド名にしてしまった例がロックの世界では幾つか存在する。オーストラリアの"Aquila"、フランスの"Aquila"、ドイツの"Aquila"、チリの"Aquila" 、オランダの"Aquila"などがその例だ。この内、オランダのバンドはアクイラの表記で日本国内販売されるなど、ちっとは知名度があるみたいだが、後は資料系サイトでも調べない限り、出てこないようなバンドばかり。

もう一つ、1970年代初頭のイギリスで一時期存在していたバンドが "Aquila" と名乗っていた例がある。元は伊語なので正確なカナ表記が判らないのだが仮にアクィラとしておく。"Aquila" を名乗るバンドの中で長期に渡って活動した例が存在しないのだが、この英産 "Aquila" も御多分に洩れず作品1枚を残すのみで塵と散ってしまった。だが、作品のレベルは決して低くない。以前から熱心な英ロック・ファンの間では高く評価されてきたジャズ・ロック・バンドで1994年にCD化済みであるが故、作品の浸透度も以外と低くはないと思う。残念な事にCD化に際して独レーベル、TRC Records がオリジナル・ジャケに少々手を加えて変更してしまったのが気に入らないが、現状この妖しげな TRC 盤しか手に入らないのだから仕方がない。ちなみに TRC は1989年から1994年までの間に Head Machine、Baumstam、Josefus、Sir Lord Baltimore、Arzachel、Freedom's Children、Silver Apples、Dragon、Master's Apprentices といった、いずれ甲乙付け難いカルトなバンドの作品ばかりを発表していた事でも知られていた。
ウェールズ出身のロック・バンド、アクィラの音楽を担う人物はヴォーカル/ギター担当のラルフ・デニヤー。この人物はアクィラ同様ウェールズ出身のブロンド・オン・ブロンド(Blonde On Blonde)というバンドにかつて在籍していた人物。ブロンド・オン・ブロンド(名前から大方想像が付くように名前はボブ・ディランの有名なアルバムから拝借)は1967年にニューポートにて結成され、1968年のシングル「All Day All Night / Country Life」でデビューを飾ったポップ志向のサイケデリック・アート・ロック・バンド。当初のメンバーはラルフ・デニヤーの他、レス・ヒックス(ドラムス)、リチャード・ホプキンス(ベース、キーボード)、ギャレス・ジョンソン(ギター)という布陣。このバンドは1969年にもシングル「I Need My Friend / Conversationally Making the Grade」、更に1969年にはバリー・マレイのプロデュースによる「Contrasts」を発表するが、ラルフ・デニヤーは「Contrasts」限りでバンドを離脱。その後アクィラ結成へと動く。

ラルフ・デニヤーを失ったブロンド・オン・ブロンドは新たにデヴィッド・トーマスを迎え入れて「Rebirth」「Reflections on a Life」という2枚の作品を Fontana と Ember でそれぞれ発表するが、ブロンド・オン・ブロンドは1972年早々には解散してしまった。ラルフ・デニヤーの方はと言うと新バンド、アクィラを1970年に結成する。メンバーはラルフの他、フィル・チャイルズ(ベース)、ジョージ・リー(フルート、サックス)、ジェイムズ・スミス(ドラムス)、マーティン・ウーワード(ハモンド・オルガン)という5人編成。契約先はなんとアメリカの大手レコード会社 RCA。当時の英国市場ではEMIやデッカ、パイなどの英国勢が勢力地図の大部分を担っていたとはいえ、RCAは当時の世界市場をCBSやワーナーなどと共に席巻していた大企業。その RCA と契約を結んだのだから本来ならアクィラの未来は前途洋々の筈。だが、何故か1枚の作品を残した限りで解散してしまった。何故解散してしまったのだろうか。

Contrasts [12 inch Analog]
「Contrasts [12 inch Analog]」
 [LP Record]
 アーティスト:Blonde on Blonde
 レーベル:Janus
 発売日:2005-04-26
 by ええもん屋.com

■ Ralph Denyer - Acoustic & Electric Guitar, Vocals
■ Phil Childs - Bass, Piano
■ James Smith - Drums, Tympany, Percussions
■ Martin Wooward - Hammond Organ
■ George Lee - Flute, Alto, Tenor & Baritone Saxes

解散後のメンバーの足取りであるが、リーダー的存在だったラルフ・デニヤーはどうやら音楽の世界から足を洗って物書きの世界で活動しているらしい。「The Guitar Handbook」というギター教本まで発刊している。サックス奏者のジョージ・リーはアライヴァル(Arrival)という名のバンドに一時的に在籍、その後はセッション・ミュージシャンとして生計を立てているという。解散後のメンバーの足取りに関してはこれ位しか判らない。今もって謎の多いバンドだが、幸いにして彼等の作品は音楽シーンに1枚だけとはいえ残されている。その唯一残されたアルバムのプロデューサーは英ニルヴァーナの中心人物であるパトリック・キャンベル・ライオンズ。彼がどんな経緯で本作のプロデュースを担当するようになったかについては判らないがパトリック・キャンベル・ライオンズ率いる英ニルヴァーナは1971年にフィリップス傘下のヴァーティゴから「Dedicated to Markos III」に続く作品として「Local Anaesthetic」を発表している。

RCAは1970年にフィリップスからオラフ・ワイパーという人物を引き抜いている事から、オラフ・ワイパー経由でパトリック・キャンベル・ライオンズとRCAとの間になんらかの関係が一時的にせよ、出来たのかもしれないね。あとこれは余談だが TRC 盤のCD盤面には”AAD”の記載が。デジタル録音技術が開発される以前の作品なので当時は勿論レコーディングとマスタリングがアナログ処理。”アナログ・レコーディング、アナログ・マスタリング、デジタル・メディア”だから”AAD”となる訳だ。アナログ音源をCD化した場合、えてしてノイズが露見する音質になりがちなのだが、この埃っぽさが逆に作品に荒々しさを加える事という偶然の演出効果を生み出す事もある。まあいい。話を続けます。「Aquila」は一言で言ってしまえばプログレッシヴ・ロック、オルガン・ロック、ブラス・ロック、ブリティッシュ・サイケ、アート・ロック、R&Bの要素を持ち併せたアングラなジャズ・ロック作品。

収録は旧アナログ・レコードA面が4曲、同B面が3部構成による組曲「The Aquila Suite」1曲、計5曲という構成になっている。さて、個別の曲に簡単に触れてみたいが「Change your ways」はアルバムの冒頭曲。ソウルとジャズの要素を含むファンク・ロック。曲の展開はどことなくブラス・ロック風。「How Many More Times」はハモンド・オルガンをフューチャーした寂れたアングラ・オルガン・ロック。R&B臭あり。イアン・アンダーソン風のフルート演奏が枯れたイメージの曲にピッタリ。「While You Were Sleeping」はオリエンルな雰囲気を感じさせる5分程度の曲。コーラスがややラガー・ロック風。ドタバタしたドラミングのお陰で垢抜けない曲という印象が強く残ってしまう。「We Can Make It If We Try」は余り上手とは言えないメンバーのコーラスから始まり、エレキ・ギターをフューチャーしたシカゴ風のブラス・ロックが繰り広げられる。後半はパワフル。この位派手に吹き捲くるサックスのパートをもう少し多く用意してもよかった様に思う。

旧A面はここで終わり。残りは組曲「The Aquila Suite」。「First Movement」はおおやっと、とプログレ・ファンの溜飲を下げるような導入部から始まる。だが直ぐに曲はジャジーなオルガン・ソウル・ロック調に早変わり。フルートはやはりイアン・アンダーソン風。ギターは正直余り巧くないな。エンディング間際のルパン三世のテーマ曲みたいな展開は贔屓目抜きに格好良い。「Second Movement」はブルースとシンフォニックという、ややもすれば対極に位置する様な要素を混在させた曲。粘っこさも披露してくれるが、演奏全体を貫くドタバタ感も曲の雰囲気をプラスに持ち込む要素として貢献しているように思う。しかしギターにインパクトないなあ。後半部分は怒涛の展開。「Third Movement」は最終章。ブリティッシュ・ロックらしからぬソウル・ミュージックが展開。垢抜けないフォーキッシュな味付けも彼等の真骨頂。パワフルなエンディング部分は作品の最後を飾るに相応しい。これでお終い。

垢抜けないアングラなジャズ・ソウル・ロックといった作風は48分程度。当時のレコード1枚の収録時間としてはこれは長い方。無駄に長い演奏パートなどを集約して密度の濃い演奏とすれば、もっと高い評価を獲得出来る作品になっていたと思う。

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