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#1276 Alan Parsons Project / Tales of Mystery and Imagination - Edgar Allan Poe (1976)

 2008-05-23
Disk 1 (1976 Album) / Disk 2 (1987 Remix)

01. A Dream Within A Dream
02. The Raven
03. The Tell-tale Heart
04. The Cask of Amontillado
05. (The System Of) Doctor Tarr and Professor Fether
06. The Fall of the House of Usher
 i : Prelude
 ii : Arrival
 iii: Intermezzo
 iv : Pavane
v : Fall
07. To One In Paradise

Disk 1 (Bonus Track)

08. The Raven - original demo recorded by Eric Woolfson before he met Alan Parsons
09. Edgar - original demo of an unreleased track
10. Orson Welles Radio Spot
11. Interview with Alan and Eric 1976

Disk 2 (Bonus Track)

08. Eric's Guide Vocal Medley
09. Orson Welles Dialogue (the full content some of which has never been heard before)
10. Sea Lions in the Departure Lounge - experiment with sound effects
11. GBH Mix - unreleased experiments

Tales of Mystery and Imagination - Edgar Allan Poe 怪奇と幻想の世界~エドガー・アラン・ポーの世界~<デラックス・エディション>(紙ジャケット仕様)

今の若い洋楽ファンの間でどれだけの浸透度があるのかは判らないが、1970年代中期から1980年代中期までの間の11年の間に10枚のアルバムを作成して当時のブリティッシュ・ロック・ファンやプログレシッヴ・ロック・ファンから高く支持されたアラン・パーソンズ・プロジェクト(Alan Parsons Project)なるバンドがかつて存在していた。バンド名から判る通り、このバンドは1948年英ロンドン出身のアラン・パーソンズという人物をリーダーとするプロジェクト・ユニット。いや、”かつて”なんて言葉は失礼だった。実は今でもアラン・パーソンズは現役のアーティストとして音楽の世界で活動を展開している。彼の今の活動が全盛期の様に大きく音楽メディアに取り上げられる事は今じゃ殆ど無いと言ってもいいだろうが、彼の過去の作品は音楽センスの塊と言っても過言ではない位、素晴らしい出来のものが多かったのだ。それに彼等は音楽的な高い評価と市場での成功、その両方を手中に占めた極めて珍しい例でもあったのである。

私が初めて彼等の作品の存在を知ったのは御多分に漏れず「Tales of Mystery and Imagination - Edgar Allan Poe」(邦題:怪奇と幻想の物語~エドガー・アラン・ポーの世界)。もう有名な作品なんだが、初めてタイトルを目にした時には作品のイメージが全く頭に浮かばなかった事を今でも思い出す。その後の「I Robot」当りからメジャーな知名度も獲得、1980年代に入る頃にはすっかり売れっ子のバンドと化していた。”売れた途端に辛口の評価”じゃないだろうが、コマーシャルでポップな作品を発表する毎にいろいろ言われてきたバンドだが、ビートルズ同様、ポップなエキスとプログレッシヴなセンスを同一作品の中に両立させたアラン・パーソンズ・プロジェクトは1970年代中期から1980年代中期までの間のイギリスのロック・シーンを代表する名バンドの一つだったと言っても過言ではないだろう。そのアラン・パーソンズ・プロジェクトのフロント・マンの一人、アラン・パーソンズの出発点はご承知の通り、あの有名なスタジオ。そう、ビートルズのアルバム以下、数々の名セッションを生み出してきたアビー・ロード・スタジオに籍を置いた時から始まるのだ。
アラン・パーソンズは1948年12月20日、英ロンドンの生まれ。彼は1967年10月、18歳の若さでアビー・ロード・スタジオでアシスタント・エンジニアとして働き始める。アビー・ロード・スタジオは英EMIが1931年に開設したロンドンの録音スタジオのこと。元々は集合住宅だった建物を戦前にグラモフォンが買い取って録音スタジオに改造したのが始まりだ。その有名なスタジオでアラン・パーソンズは働き始めた。彼の名前がエンジニアとして最初にクレジットされたのが1969年。ビートルズの名作「Abbey Road」が最初だった。この後も幾つかの有名な作品に彼の名前がエンジニアとしてクレジットされる事になる。ピンク・フロイド「Atom Heart Mother」「Dark Side of the Moon」、ロイ・ハーパー「Stormcock」、ウィングス「Wild Life」、ロイ・ウッド「Boulders」、ホリーズ「Hollies」、ペギー・リー「Let's Love」など。1974年のパイロット「Pilot (From the Album of the Same Name)」ではプロデュースも担当している。

1975年、アラン・パーソンズは元来セッション・ピアニスト上がりでその後ライター業やマネージメント業で小規模の成功を収めていたスコットランド人のエリック・ウルフソン(Eric Woolfson)に小説『モルグ街の殺人』などで有名な米作家のエドガー・アラン・ポーをテーマにした作品を制作しないか、と声を掛けられる。この誘いが最終的にアラン・パーソンズ・プロジェクト結成へ発展していく事になる。アランは結成前年の1974年にパイロットのアルバム制作に関与しているが、この時パイロットのメンバーの仕事ぶりに大いに感化された事がエンジニアのアラン・パーソンズを表舞台に立たせるキッカケとなったようだ。デビュー作「Tales of Mystery and Imagination - Edgar Allan Poe」は1976年に発表、グラミー賞にノミネートされた事で臨時のプロジェクトがオール・タイムのプロジェクト・バンドへと進化、結局アラン・パーソンズ・プロジェクトは1986年の「Gaudi」を最後に解散するまで活動を継続していく事になる。

エドガー・アラン・ポーをテーマにした作品が当った事でその後のアラン・パーソンズ・プロジェクトの方針は決まった。ある特定のテーマを元にしたコンセプト・アルバムを作り続けていく事になるのだ。「I Robot」はアイザック・アシモフのSF小説短編集をベースに制作。「Pyramid」ではパトリック・フラナガン博士が投げかけたピラミッド・パワーをテーマに抜擢。「The Turn of a Friendly Card」ではゲームやギャンブルをテーマに、「Eye in the Sky」では古代エジプトの象形文字をジャケットに起用、エリック・ウルフソンが英化学企業のインペリアル・ケミカル・インダストリーズ社を訪れた際の印象を元に制作した「Ammonia Avenue」、スペインの建築家アントニ・ガウディをテーマにした「Gaudi」など。最終的にアラン・パーソンズ・プロジェクトは「Gaudi」を最後に解散。その後アラン・パーソンズ・プロジェクトの活動はアラン・パーソンズのソロ活動に引き継がれていく。1990年代以降、アラン・パーソンズは「Try Anything Once」「On Air」「The Time Machine」「A Valid Path」といったソロ作品を発表して健在ぶりを発揮している。

PyramidEveEye in the SkyVulture CultureAmmonia Avenue

※ Guitar - Ian Bairnson, David Paton, David Pack, Alan Parsons
※ Bass - David Paton, Joe Puerta
※ String Bass - Darryl Runswick
※ Drums - Stuart Tosh, Burleigh Drummond
※ Keyboards - Billy Lyall, Christopher North, Eric Woolfson, Andrew Powell, Francis Monkman, Alan Parsons
※ Cimbalom & Kantele - John Leach
※ Vocals - John Miles, Arthur Brown, Alan Parsons, Terry Sylvester, Leonard Whiting, Jack Harris, Eric Woolfson, Jane Powell, Smokey Parsons, David Paton, Stuart Tosh, and The English Chorale.

※ Orchestra Contractor - David Katz
※ Orchestra & Choir Arranged and Conducted - Andrew Powell

今回紹介するアラン・パーソンズ・プロジェクトの作品は彼等の記念すべき最初のアルバムである「Tales of Mystery and Imagination - Edgar Allan Poe」。単発のプロジェクトであった筈が作品の思わぬ高評価によってその後の活動継続を決定付けた傑作アルバムでもある。個人的には「I Robot」や「Pyramid」当りの方が思い出深いのでそちらの方を取り上げようかとも思ったが2枚組の初回限定生産による紙ジャケット仕様のデラックス・エディションの存在を重く見て、今回はエドガー・アラン・ポーをテーマにした作品の方を優先して取り上げようと思う。発売当時のイギリスではカリスマ・レーベルより、その他の国では Casablanca Records(アメリカ)、disc AZ(フランス)、20th Century Records(ドイツ、ポルトガル)などのレーベルを通じて発売されている。後の「Eye In The Sky」のようなポップなサウンド形態ではなく、プログレ主体の音楽。オケの導入部分はもう殆どクラシック音楽と言ってもいい位だ。

だが、本作は世界各国で高く評価された。アメリカでもグラミー賞にノミネートされている。イギリスの大物プログレ・バンドが全く見向きもされないロックの殿堂の本場アメリカでさえも本作は高く評価されたのだ。今にして思えば既にプログレの時代は終わりつつあった1976年の発表作品がよくぞ評価されたものだと思う。所謂”怪奇と幻想の物語~エドガー・アラン・ポーの世界”プロジェクトはザ・フーやプリティ・シングス、キンクスといったロック・ミュージシャンによるコンセプト・アルバムではなく、スタジオ技師、プロデューサー、ソングライター、マネージャーといった、どちらかと言えば煌びやかで華のある表舞台に立つ人達を裏で支える立場の顔を持つ人によって構成された作品だ。アイデアをアラン・パーソンズに提供したエリック・ウルフソンのそもそもの発端はエドガー・アラン・ポーの詩や小説に始めに感化されたのではなく、子供の頃に観たエドガー・アラン・ポー原作による映画を見た経験が元だったのだという。

『映画で出来たのだから音楽の世界で出来ない筈はない』。これが本作を制作した根拠になったようだ。で、「Tales Of Mystery And Imagination Edgar Allan Poe」ではアラン・パーソンズやエリック・ウルフソンがアラン・パーソンズ・プロジェクト発足以前に関わっていた経験を巧みに生かして制作された。ビートルズ、ピンク・フロイド、パイロット、10cc、等々。こうした音楽の要素をある時は大胆に、ある時はさりげなく盛り込まれているのが本作の特徴。アラン・パーソンズ・プロジェクトは作詞/作曲をエリック・ウルフソン、サウンド・プロデュースをアラン・パーソンズ、アレンジをアンドリュー・パウエルが主に担当するなどの的確な住み分けがなされていた分業プロジェクト。ちなみにアンドリュー・パウエルは1949年英ロンドン生まれのウェールズ人。シュトックハウゼンやリゲティに師事して本格的に音楽を学んだ逸材で、ケンブリッジ大学在籍時代にはフレッド・フリスやティム・ホジキンソンらによるヘンリー・カウに一時期加入していた経歴をも持つ。

本作ではこの主軸3人に加え、パイロットのメンバー全員(デヴィッド・ペイトン、スチュアート・トッシュ、イアン・ベアンソン、ビリー・ライオール)が参加した他、アーサー・ブラウン、元インフルエンスのジョン・マイルズ、ホリーズのテリー・シルヴェスター、ザオのフランシス・モンクマンなどの実力者達が参加している。1976年に発表された作品である事を考えると、ある意味時代錯誤というか、既に廃れつつあったプログレッシヴ・ロック風情のサウンドが展開されているが、主役の3人がエンジニア/ソングライター/アレンジャーである都合上か、表立って”ロック”なサウンドが確立されていないのが特徴でもある。個別の曲に触れるのはよそう。サウンドは大雑把に言ってしまえばピンク・フロイド&パイロット・ミーツ・オーケストラ・オン・ロック・オペラといった出で立ち。プログレッシヴ・ロック、ブリティッシュ・ポップ、クラシックといった要素がなんの違和感なく融合しているのが素晴らしい。

最後まで本作を通して聴くと、題材はあの怪奇作家のエドガー・アラン・ポーだったなんて事、すっかり忘れてしまう位、安心して聴く事の出来るブリティッシュ・ポップとプログレッシヴ・ロックの混合作品として仕上がっている。ロンドンのキングズウェイ・ホールで録音された「The Fall of the House of Usher(アッシャー家の崩壊)」における前奏曲「Prelude」でのオケのパートも真っ当過ぎる位の本物のクラシック音楽。オーケストラを導入したロック・シンフォニー作品としても堂々たる名曲と言ってもいい。ちなみに本CDは海外で2枚組デラックス・エディションとして発売された物を日本独自の企画により英オリジナル・レコードの仕様に準じた見開き紙ジャケットとして発売した物。1976年版と1987年リミックス版の最新リマスター音源を中心にデモ音源やインタビュー音源、オーソン・ウェルズによるラジオ・スポット、エリック・ウールフによるガイド・ヴォーカル・メドレーなどを収録した構成となっている。

The Alan Parsons Project, APP, CD, Official Site
Eric Woolfson Music - ericwoolfsonmusic.com

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