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#1284 Stud / September (1972), Goodbye Live At Command (1973)

 2008-06-13
[September (1972)]
01.Good Things
02.God Knows
03.Corner
04.Life Without Music
05.Samurai
06.Five To Mid-Day
07.Prelude
08.Bad Handlin
09.Ocean Boogie
10.Red Wine

[Goodbye Live At Command (1973)]
11.Samurai
12.Big Bill's Banlo Band
13.Horizon No.2
14.Ocean Budgie
15.Harpo's Head No.2

September (1972)Goodbye - Live At Command (1973)

誰が最初に書いたのは知らないが、ロックの世界では時に”馬のジャケットに駄作なし”と言われる事がある。私もこれまで幾つかの馬ジャケ・アルバムを入手してきたが、そう言われれば確かに出来の悪いアルバム若しくはバンドに遭遇した記憶が余りない様な気がする。馬の生物学的特徴レベルの話は兎も角、馬という生き物からは大体『走る』『パワー』『生命力』『野性的』『格好よい』『戦士・騎士の乗り物』『サラブレッド』といった、ポジティヴ/アグレッシヴなイメージを私達は連想しがちだ。更に民間伝承や神話の中にもユニコーン(一角獣)とかペガサスとかケンタウロスとかケルピーとかスレイプニルとかいった伝説上の生き物が登場する。馬に乗った人物像と言えば海外ならなんといってもフランス第一帝政の皇帝ナポレオン・ボナパルト、日本なら戦国時代の奥州の武将・伊達政宗の騎馬像が有名だ。この様に馬というとどうしても力強く前向きなイメージしか沸いてこない。

更に馬をジャケットに起用する理由は他にもあって、馬を広告に起用すると見る人の深層心理に訴えかけて購買意欲をくすぐるのだという。心理学上、馬は人間の性的欲望に訴える生き物で、生への衝動である性的欲望を密かにくすぐる事によってパッケージを手に取る人にレジに運びたい気分に至らせるのだとか。巧く考えたもんだ。この人間の深層心理を逆手にとって、自信作や力作をなんとしても売りたいという時に馬をジャケットに起用すれば何%だかは知らないが、通常のジャケ品よりも売り上げアップの可能性が増すらしい。で、今回紹介するイギリスのロック・バンドも馬つながり。バンドの名前も馬繋がりで、日本語で”種馬”を意味するスタッド(Stud)と名乗って音楽活動を展開していた。残念ながら彼等の活動は短い期間で終了してしまったが、当時のアナログ・レコードは今でも結構な値段が設定されている。レコード1枚に高価な金額を投入する気のない私としては、かねてからCDの入手を計画していたのだが、近年ようやく入手する事に成功したのである。
スタッドの結成は1970年、英ロンドンにて。当初のメンバーはジム・クリーガン(ギター、ヴォーカル)、チャーリー・マクラッケン(ベース)、ジョン・ウィルソン(ドラムス)の3人編成。この内、ベース&ドラムスのリズム隊はアイルランド出身のブルース・ギタリスト、ロリー・ギャラガーが結成したテイストのメンバーだった人達。ロリー・ギャラガー率いるテイストは1966年に産声を上げているのだが、1968年にロリー・ギャラガー以外のリズム隊が代わって装いも新たにイギリスを拠点として活動を展開している。この、1968年の再始動の際に参加したのが上記のチャーリー・マクラッケン(テイスト時代はリチャード・マクラッケン名義)とジョン・ウィルソンだった。ロリー・ギャラガーは1970年にテイストとしての活動に終止符を打ってソロ活動を開始しているのだが、残されたテイストのリズム隊が結成したのがスタッドというバンドに相当する。そしてもう一人、ジム・クリーガンだが、彼はブリティッシュ・ロック/ポップ・ファンにはちったあ知られた名前。

ジム・クリーガンは1946年、英サマセット州ヨーヴィル出身。1967年から1969年までの間に活動していた英サイケデリック・ポップ・シーンの名バンド、ブロッサム・トゥズ(Blossom Toes)の中心人物の一人として活動していた人物でもある。このバンドは1967年と1969年にそれぞれ「We Are Ever So Clean」「If Only for a Moment」という作品を発表した後に崩壊しているのだが、この後にジム・クリーガンが参加したバンドがヘヴィネスやジャズ・ロック、ブルース・ロック、フォーク・ロックなどのエキスを内包した異色のロック・バンド、スタッドという事になる。最初の作品は「Stud」(1971年)。デッカ系列のデラム(Deram Records)から発表された。たった3人で制作されたとは到底思えない幅広い音楽を内包したデビュー・アルバムを発表した後に、ジョン・ウィーダーなる人物が参加。かつてスティーヴ・マリオットやエリック・バードンらと競演歴を持つ演奏家で1969年から1971年までファミリーという、当時イギリスで高い人気を誇ったバンドに在籍していた。

ちなみに脱退したジョン・ウィーダーの代わりにファミリーに参加したのが後にキング・クリムゾンに参加する事になるジョン・ウェットン。ジョン・ウィーダーがファミリーを脱退する際、当時ファミリーのメンバーだった元ブロッサム・トゥズのジョン”ポリ”パーマーがかつての仲間ジム・クリーガンに相談、そしてそのジム・クリーガンの仲介を経てジョン・ウェットンがファミリーに参加する事になったのが事の真相の様だ。さて、スタッド、アルバム制作後にドイツ国内でツアーを行う事になるのだが、同国で好評を博した事から独レーベルの BASF と改めて契約を結んで1972年に「September」、1973年にも「Goodbye - Live At Command」なる作品を発表するのだが、いずれもドイツ国内だけの販売のみ。この後スタッドは解散。ジム・クリーガンはキング・クリムゾン加入の為ファミリーを脱退したジョン・ウェットンの代役として今度は自分がファミリーに参加。更にファミリー解散後は自身のソロ活動の他、妻リンダ・ルイスの活動のサポート役も担っている。

We Are Ever So Clean [Import]Every One of UsIf Only for a Moment [Import]On the BoardsIt's Only a Movie

■ Jim Cregan - Vocals, Lead Guitar, Acoustic Guitar
■ Rchard McCracken - Bass, Acoustic Guitar
■ John Wilson - Drums, Percussion
■ John Weider - Violin, Piano, Guitar, Vocals

スタッド解散後の元メンバーの足取りには上で紹介したファミリーやリンダ・ルイスの他、フクロウのジャケットで知られるキース・ウェストのムーンライダー、再結成スペンサー・デイヴィス・グループ、イースト・オブ・エデン、スティーヴ・ハーレイのコックニー・レベル、ロッド・スチュワート、リタ・クーリッジ、グラス・タイガー、マリー・ヘッド、ストリートウォーカーズ、更にグルジア生まれの美女歌手ケイティ・メルア(彼女の曲「The Closest Thing to Crazy」にジム・クリーガンがギターで参加)といったソロ歌手やバンドの名前も絡んでくるのだが、細部にまで拘るのはまたの機会にしておいて、スタッドの作品紹介に移る。さて、スタッドが発表した作品はスタジオ作2枚、ライヴ作1枚の計3枚しか存在しないのだが、今回はその内彼等が独BASFに残した2枚の作品(スタジオ1作&ライヴ1作)をカップリングした、所謂2in1作品を取り上げる。即ち、1972年と翌1973年に発表した「September」と「Goodbye - Live At Command」がその対象となる。

デビュー作の「Stud」ではロリー・ギャラガー抜きのテイストに元ブロッサム・トゥズのジム・クリーガンが加わった構成だったのだが、今回の作品ではスティーヴ・マリオットのモーメンツ、ジョニー・キッド&ザ・パイレーツ、エリック・バードン&アニマルズ、ファミリーといったバンドを経て当バンドに参加する事になったジョン・ウィーダーの名前が加わった。これにより当初のトリオ編成から4人編成のバンドへと変化している。ギターは勿論、ピアノもヴァイオリンも演奏OKという達者なメンバーが一人増えた事による影響だろうか、緊迫感や圧迫感が多少薄れ、僅かながらも前作より演奏面で余裕が感じられるのが特徴だ(注;ファミリーではジョン・ウィーダーはベースを担当)。メンバー補充の余裕がサウンド面にも影響を与え、よりのびやかで開放感のあるサウンドが見て取れるのも特徴。では個別の曲に簡単に触れてみる。「Good Things」はアメリカン・ロックの憧憬を感じさせるレイドバックした泥臭いロック。歌にスター性が感じられないのがどうにも。

「God Knows」はピアノ、アコースティック・ギター、ヴァイオリンを盛り込ませた感傷的なバラード・ソング。3人編成の前作では到底醸し出す事の出来なかった枯れたサウンドだが、反面良くも悪くも緊張感はダウンした。「Corner」はジョン・ウィーダーの牧歌的なヴァイオリン演奏がイギリスの田園風景を連想させるかの様な味わい深いナンバー。イギリスの田園地方になんて行った事もないのに勝手な事書いて申し訳ないが、あくまでもイメージだから許して下さい。「Samurai」はファンク色を加えたスワンピーなナンバー。リズム隊はかつてあのロリー・ギャラガーを脇で支えたテイストの残党。1970年のワイト島フェスティバルで圧倒的なパフォーマンスを披露して観客の度肝を抜いた経歴を持つ2人だけあって、ブルージーなフィーリングの演出に抜かりはない。本作における聴き応えのある演奏の一つ。だけどやっぱり歌が減点なんだな。「Five To Mid-Day」は旧B面の冒頭曲。なんだかロバータ・フラック「Killing Me Softly with His Song」を思わせる曲だね。

「Prelude」はクラシック・ギター風の演奏をフューチャーした小品。「Bad Handlin」はフォーキーな佇まいを前面に推し出した一風変わったインストゥルメンタル・フォーク・ロック。イギリスのバンドらしい牧歌的で田園風なアレンジが盛り込まれた曲であると同時に、やたらリズムを強調されていのも彼等の特徴か。「Ocean Boogie」は旧B面の冒頭曲Five To Mid-Day」同様、何処となくロバータ・フラックが歌った方が似合いそうなバラード・ソング。「Red Wine」はアルバム「September」の最終曲。馬ジャケでデビューしたバンドだけあって、アルバムの最後にはやはりこういう曲を持ってきたね。表面的な印象で申し訳ないが、カトルマンを被ったカウボーイの掛け声が演奏の向うから聞こえてきそうな、踊るフィドルの音色が眩しい典型的なカントリー・ミュージックだ。アメリカン・ルーツに対する彼等也の憧憬の深さが伺い知れる最終曲と言えよう。やはりここでもリズム隊は派手。ベースなんか、やたらボコボコ跳ねてます。

この後の曲は1973年発表のライヴ盤「Goodbye Live At Command」より。1作目や2作目に収録された曲などが演奏されている。ライヴという触れ込みだが、ライヴ会場ならではの猥雑な空気感が余り感じられない。1973年のライヴ盤という割には音質がかなりクリアーだ。レコードの時代からこうだったのか、それともCD化に際して音質向上の効果が認められたかについては判らない。コンサート音源というよりはリサイタル音源といった言葉の方が相応しいお上品が印象が「Goodbye Live At Command」の特徴である。「Samurai」は「September」に収録されていた、ロバータ・フラック風のスムースなバラード・ソング。バンジョーをフューチャーした「Big Bill's Banlo Band」("Banlo" は "Banjo" のスペルミス?)は「Red Wine」と兄弟ソングみたいなカントリー・ソング。続く「Horizon No.2」ではロック・バンドらしい、ヘヴィでブルージーな演奏がようやく披露。「Ocean Budgie」は「September」収録の「Ocean Boogie」と同じ曲。これもスペルミス。「Harpo's Head No.2」はデビュー作で見せた長尺インプロのステージでの再現。

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