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#1295 Bob Downes Open Music / Electric City (1970)

 2008-07-13
01. No Time Like The Present
02. Keep Off The Grass
03. Don't Let Tomorrow Get You Down
04. Dawn Until Dawn
05. Go Find Time
06. Walking On
07. Crush Hour
08. West II
09. In Your Eyes
10. Picadilly Circus
11. Gonna Take A Journey

Electric City エレクトリック・シティ(紙ジャケット仕様)

これまで何度か再発されるなど、日本国内ではジワジワと認知度上昇中?のヴァーティゴ・レーベル作品の一つである、ボブ・ダウンズ名義の「Electric City」。ジャズやアヴァンギャルド、プログレッシヴ・ロックのいずれのジャンルでも語る事の可能な作品として以前から洋楽ロック・ファンから親しまれているアルバムでもある。正式にCD化になった時期が遅かった為、CDになってから洋楽を聴き始めた世代の人には余り馴染みの薄い作品かもしれないが、それ以前、特に1970年前後が青春時代だった、私よりも上の世代の現在50歳代の洋楽ファンには比較的認知度の高いアルバムなのかもしれない。ジャケットはロボットというか、アンドロイドの制作を連想させるような、近未来を予感させるもの。1960年代後半のイギリスにおけるニュー・ウェーブ運動がボブ・ダウンズの様な知性派の音楽家をも刺激したのであろうか、何分にもSFチックな色合いを感じさせるジャケットでもある。

1937年、イングランドはデヴォン州の港湾都市プリマスの出身。フルート及びサックス奏者。作曲家としても数々の作品を世に放ち、ジャンルにこだわらない総合芸術家的な色彩を持つマルチ・アーティスト。10代のうちにサックスを学び始め、後にフルート演奏も習得したのだという。若き日の彼が何をしていたのは知らないが自身のバンド結成以前、即ちオープン・ミュージック結成以前に彼はマイク・ウェストブルックや一般的にはジェームス・ボンドの映画の音楽で広く知られているジョン・バリー(ジョン・バリー・セヴン)の元で演奏活動を展開していた時期があったらしい。ようするに彼は元来ロック畑の人間ではなく、ジャズ畑の人間である事が判る。その彼が自己をリーダーとするバンド、オープン・ミュージック(Open Music)を結成したのは1968年。大所帯のユニットとしても知られるオープン・ミュージックであるが当初はサックス、ギター、ベース、ドラムスという編成。最初の作品「Open Music」(PHILIPS SBL 7922)は1969年(1970年?)に発表されている。
「Open Music」(またの名は「Dream Journey」)発表当時のメンバーはサックス/フルートのボブ・ダウンズの他、クリス・スペッディング(ギター)、ハリー・ミラー(コントラバス)、デニス・スミス(ドラムス)、ジョン・スティーヴンス(ドラムス)という布陣。この人、実は1960年代末から1970年代初頭にかけて、かなりの枚数に参加している。1960年代の後半から1970年代の前半にかけて、イギリスではジャズが大流行でボブ・ダウンズを始めとするジャズ系の人達はジャズのみならずロックの世界でもお呼びが掛かるなど、引く手数多の状態だった。この時代のイギリスのレーベルを研究している人ならご承知の事だと思うが、この時代の特にプログレッシヴ・レーベルにはジャズ系のアルバムも非常に多いのだ。供給が盛んだったという事は需要が盛んだったという事。ブリティッシュ・ジャズの華やかな時代だった訳だ。元来イギリスではアレクシス・コーナーの時代からブルースもジャズも一緒くたに聴かれてきた。ロック、ブルース、ジャズの各要素が融合した音楽がこの時代に沢山存在したのもそんな時代背景があったからである。

メジャー・レーベルがブリティッシュ・ジャズに注目していた時代のボブ・ダウンズの作品を上げてみる。1970年にソロ名義の「Deep Down Heavy」をMFP(Music for Pleasure)から、そして自身のバンドであるオープン・ミュージック名義の作品「Electric City」をヴァーティゴから、更に「New Sounds」というタイトルの作品を他のレーベルからそれぞれ発表。1972年にはボブ・ダウンズ自身のレーベル、Openian から「Diversions」というアルバムを発表している。他のアーティストの作品参加も積極的。1969年から1972年にかけてレイ・ラッセル率いるロック・ワークショップ「Rock Workshop」「Very Last Time」、ジュリー・ドリスコール「1969」、カンタベリー系の名バンドのエッグ「 Polite Force」、アンドウェラズ・ドリーム「Love & Poetry」、フリー・インプロ系ベーシストのバリー・ガイ率いるアヴァンギャルド・ビッグバンド・オーケストラ、バリー・ガイ&ザ・ロンドン・ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラ「Ode」などの作品に参加。

ボブ・ダウンズ関連作品としては1970年代半ばには自主レーベルより「Episode at 4 Am」、そして2007年にハヤブサランディングより紙ジャケ化がなされた「Hells Angels」(マーク・チャリグ、ハリー・ミラー、ハービー・フラワーズ、ジェフ・クライン、ハりー・ベケット、ヘンリー・ローサー、ジョン・スティーブンス、バリー・ガイら参加)などの作品が存在する。1980年代以降のボブ・ダウンズの作品に関してはよく判らないが、彼の公式サイトの記載によれば「Songs for Mother Earth」「Dreams of Nature」「The Inner Universe I」「The Inner Universe II」「The Inner Universe III」などの作品が存在する。これまで店頭で見かけた事など1度もない様な作品ばかりだが、公式サイトで公開されているサンプル音源を聴いた限りにおいては、昨今流行のスピリチュアル・カウンセラーとやらの番組のバックに流れていればピッタリとくる事必至のスピリチュアルなサウンドの様である。嫌味じゃないよ。

Electric City(1970)BOB DOWNES / Deep Down Heavy (1970)DiversionsEpisodes at 4am

■ Bob Downes - Vocals, Tenor & Baritone Sax, Alt & Concert Flute, Mouthpiece, Vocals,

※ Guitars - Chris Spedding, Ray Russell
※ Bass - Herbie Flowers, Harry Miller, Darryl Runswick
※ Drums - Alan Rushton, Clem Cattini, Dennis Smith
※ Trumpet - Kenny Wheeler, Ian Carr, Bud Parks, Harold Beckett, Nigel Carter
※ Flugelhorn - Ian Carr, Bud Parks, Harold Beckett
※ Saxophone - Don Faye (Baritone), Dave Brooks (Tenor),
※ Timbales/Conga - Robin Jones

さて、本作「Electric City」はヴァーティゴ・レーベルに唯一残されたボブ・ダウンズ・オープン・ミュージック名義の作品。1970年代後半以降にドイツに移り住んでからの活動に関しては全くと言っていい程日本で紹介されないし、彼がロンドン・コンテンポラリー・ダンス・シアターやバレー・ランバート(現:ランバート・ダンス・カンパニー)、マイアミ・ワールド・バレー、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、シュトゥットガルト州立劇場などの為に舞踏作品を提供している事実やケンブリッジ・シアター・カンパニーの依頼を受けて作曲作品を提供している事実も日本ではほぼ黙殺されている。舞踏音楽はジャンル的には通常はクラシック音楽の世界に属する類のコンテンポラリー音楽なので日本のロック・ファンが知らなくても仕方あるまい。輸入盤レコード店に入ったとしても大概の人はクラシック音楽売り場には足を運ばないからね。なので、日本でボブ・ダウンズと言えば「Electric City」そのものを指すのが一般的。

ちなみにタイトルにある”Electric”についてだが、これは勿論電気、即ち現実的に解釈するならばロック・ミュージックを指す物として捕らえた方が良いだろう。マイルス・デイヴィスが既存のアコースティック・スタイルのジャズの枠組みから脱却して新たなサウンドを導き出す為にエレキ・ギターやエレキ・ベースなど、アンプを必要とする電気楽器を導入して新たな時代に突入した様に、1960年代後半から1970年代初頭にかけてイギリスでも数多くのジャズ・ミュージシャンがエレクトリック・サウンドの導入を目指している。ロックの世界の住人がジャズ・サウンドの導入を試みた様に、即物的な書き方で申し訳ないが、ジャズの世界の人もロック、即ちエレクトリック・サウンドの導入を積極的に目指したのだろう。例えて言うならばコロシアムがロックの世界からの投げ掛けとするならば、オープン・ミュージックはジャズの世界からのロックの世界に対する回答という訳だ。

余談はさて置き、「Electric City」に収録された個別の曲にも簡単に触れてみる。収録は全部で11曲。全てボブ・ダウンズの手によるもの。「No Time Like the Present」はノイジーなギター・サウンドをバックにした、イキナリのホーン・セクション入りジャズ・ロック。ヴォカルは一応ボブ・ダウンズ本人。「Keep Off The Grass」は粋なホーン・セクションから始まる軽快なインストゥルメンタル・グルーヴ・サウンド。フルートはボブ・ダウンズ。続く「Don't Let Tomorrow Get You Down」はファンキーなリズムが盛り込まれたファンク・ロック。ロック畑ではない人物ばかりが終結してよくぞここまでやったもんだと感心。ロックを飛び越えてファンクにまで接近したんだからね。「Dawn Until Dawn」は再びホーン・セクションをフューチャーしたインストゥルメンタル路線のジャズ・ロック。クールな佇まいを崩す事なく洗練された演奏を淡々と披露しているのが特徴。流石はジャズ/ロックの世界を又にかけた重要人物ばかりの集合体である。

続く「Go Find Time」はファンクな要素を含むブルース・ロック調のナンバー。ジャズの世界の人にとっては簡単過ぎるコードやメロディだったと思うが、ロック・ミュージックが持つ衝動性や刺激性を悪戯に模倣する事なく彼等なりのロック・ミュージック、即ちエレクトリック・サウンドを再現している。続く「Walking On」はスタイテス・クォーもびっくりのブギ・ロック。粘っこい表現に少々びっくり。この手の音楽が来る事を全く想定して聴いていないのだから本当に驚きだ。「Crush Hour」では洗練されたジャズのエキスとビートを効かせたロックのリズムとの融合が実に心地よい。「West 2」はあっと驚くカリブ風のダンス・ミュージック。「In Your Eyes」「Piccadilly Circles」はコロシアムも驚く激辛の骨太ジャズ・ロック。ここまでどちらかと言うと大人しいジャズ・ロックばかり揃っていたので、後半部分における畳掛ける様な展開はロック・フィールドの分野のファンには嬉しい展開に見えるかもしれない。

エンディング曲「Gonna Tkae A Journey」は最後の最後でようやく展開?のフリー・ジャズ的な展開を見せるジャズ・ロック。フリー・ジャズとロックの融合もなかなか聴き応えがある。これでお終い。ロック、ジャズ、フリー、ブルース、ファンク、ブギ、ダンス・ミュージックなどの要素が渾然一体となって披露される様は極めて個性的。一聴の価値はまあ、あるだろう。多分。

Offical Website of Bob Downes

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