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#1296 Justine / Justine (1970)

 2008-07-20
01. Flying / Love You More Than It's Good For Me To / Nostrils
02. She Brings The Morning With Her
03. Back to Boulder
04. Traveller
05. Sea Saw
06. Mini Splurge / Mr Jones / Is That Good Is That Nice?
07. Clocks / Hey I Used To Know You
08. Unknown Journey

09. Leave Me Be (Bonus Track)
10. Clown (Bonus Track)

Justine (UK)

随分前の自分のサイトで取り上げた事があるのだが、カナダのアンビアンス・マニェティーク(Ambiances Magnetiques)という、カナダのRIO支部というべき特異な音楽性を誇ったレーベルに属していたジュスティーヌという女性バンドを紹介した事があった。このバンドは1980年頃にカナダのフランス語圏であるケベック州モントリオールで結成されたワンダー・ブラスというバンドが母体。1990年頃迄の間に数枚のアルバムを発表した後に改めてジュスティーヌと名前を変え、更に音楽活動を継続していった。日本での知名度は限りなく無きに等しいバンドなので彼女達の音楽を知る人は余りいないと思うのだが、私は一時期かなり嵌って聴きこんでいた時期がある。で、今回再び久しぶりにジュスティーヌ(Justine)という名前の盤を見た。ジャケットの雰囲気はなんだか違う感じだ。既にあのケベックのジュスティーヌは存在していない筈なので、発掘盤かなにかの類かと思ったら、レーベルがアンビアンス・マニェティークではなくて、サンビーム(Sunbeam Records)。

サンビームはクラシック・ロックをコレクションしている人には最早お馴染みのレーベルで、かつて当方でも紹介させて頂いた Fresh Maggots、Moonkyte、Jaki Whitren などのアーティストの作品もサンビームだった。で、上記のジャスティンなのだが、調べた所このバンドは1970年に僅か1枚のアルバムを発表しただけで消えてしまったバンドなのだという。しかもメンバーの一人はあのジャクソン・ハイツのメンバーだった人。ああ、これじゃザ・ナイスのファミリー・ツリーに配置されるバンドなんだな、と勝手に自己解釈して記事を進めてみたい。ご存知ザ・ナイスは後にELPを結成する事になるキーボード奏者のキース・エマーソンがかつて在籍したバンド。ELPの母体バンドの一つとして知られるバンドだが、ご存知の様にバンドはキース・エマーソンとベース&ドラムスのリズム・セクションの2人との間で音楽的な意見の相違を原因として1970年の春に解散を遂げているのだが、この時のリズム・セクションの一人がリー・ジャクソンという左利きのベース奏者。
1943年、イングランド北東部の都市ニューカッスル・アポン・タインの生まれであるリー・ジャクソンはナイス崩壊後にジャクソン・ハイツというバンドを結成する。デビュー作はカリスマから発表された「King Progress」。カラフルな色合いのジャケットはヒプノシスの手によるもので、当時のメンバーはリーの他、チャーリー・ハーコート、トミー・スローン、マリオ・エンリケ、カヴァルビアス・タピアの計5人。だが、この布陣は最初だけ。更に所属レーベルも直ぐに変わってしまった。この後リー・ジャクソンはなんと自分以外のメンバーを一新してしまう。抜擢されたのは元フレイミング・ユースのドラマーであるブライアン・チャットンと、そして元ジャスティンのギタリスト、ジョン・マクバーニー(John McBurnie)。で、このジョン・マクバーニーが学生時代からの友人であるキース・トロウズデール(Keith Trowsdale)とジャスティンの母体となるグループを結成したのが1967年頃。

演奏活動を本格的に開始したのが1968年に入ってからで当初はジョンとキースのデュオとして活動を展開していたのだという。同年秋にはアメリカ生まれの女性歌手ローリー・スタイヴァース(Laurie Styvers)を抜擢。ジャスティンと正式に名乗りだしたのはどうやらこの頃からのようだ。ジャスティンは『ジーザス・クライスト・スーパースター』『Oh! Calcutta!』『ヘアー』『エビータ』などでの仕事で知られるロバート・スティグウッドの事務所にデモ音源を送り届けるが、これが認められて晴れてジャスティンはレコード会社と契約を結ぶ。紹介されたのが米レーベルの Dot Records で彼等はヒュー・マーフィーという若いプロデューサーのサポートを受けて最初のシングル「Leave Me Be / Clown」を吹き込んでいる。発売は1969年5月。この時点では男性2人と女性一人によるトリオ編成だったらしい。同年夏にはハーモニーの更なる強化を実行、2人目の女性歌手としてアメリカン・インディアンの血が流れる米アーカンソー生まれのベスリン・ベイツ(Bethlyn Bates)という名の女性をバンドに招き入れている。

調べた所、どうやらジャスティンの活動には女性歌手が3人関わっていたようで、アルバム発表時点ではベスリン・ベイツの他、ヴァレリー・コープ(Valerie Cope)というリヴァプール育ちの若い女性歌手が更に加わっていたようだ。エキゾチックな容姿のベスリンとは異なり、ヴァレリーの方は長い髪のミステリアスな美女といった顔立ちの女性。ジャスティン参加以前にも女性グループに属して音楽活動を展開していた経験も持っていたらしい。最初のアルバム制作は1969年末から開始、当初はスタジオ・ミュージシャンが参加した体制で制作が進むも最終的にジャズ・バンドでの演奏経験を持つベーシストのジェリー・ホヴェル(Jerry Hovell)、そして更にドラマーのクリス・ギブ(Chris Gibb)が参加した、男性4人と女性2人(この時点でオリジナル歌手のローリー・スタイヴァースは参加していなかった様だ)からなる構成に落ち着いている。アルバム発表の時点ではこれ。但しクリス・ギブの顔はジャケットに掲載されていない。

Justine (Inner)Laurie Styvers / The Colorado Kid (1973)Ragamuffin's Fool/Bump & Grindヴェイパー・トレイルズ(ヴィーティーズ)

■ Valerie Cope - Vocals
■ Bethlyn Bates - Vocals
■ John McBurnie - Guitar, Vocals
■ Keith Trowsdale - Guitar, Vocals
■ Jerry Hovell - Bass
■ Chris Gibb - Drums

■ Laurie Styvers - Vocals
■ Dougie Wright - Drums

最初のアルバムは1970年6月。だがその後彼等の続編が制作される事はなかった。晩年にはベスリンとヴァレリーという2人の女性歌手の離脱を受けてオリジナル歌手のローリーが復帰したそうだが焼き石に水。ジョン・マクバーニーがジャクソン・ハイツに参加してしまった事もあって再び彼等が顔を揃える事はなかったのである。ちなみにジョンはジャクソン・ハイツではヴァーティゴ時代の「Fifth Avenue Bus」「Ragamuffins Fool」「Bump 'n' Grind」に参加。また、リー・ジャクソン繋がりか、レフュジーからイエスに参加したキーボード奏者のパトリック・モラーツが発表した初期ソロ2作「 Story Of I」「Out In The Sun」にも参加を果たしている。更に1970年代後半には一部のマニアには非常によく知られているAORバンドのヴェイパー・トレイルズ(Vapour Trails)に在籍して「Vapour Trails」という作品に参加。メンバーはジョンの他、Spirit of John Morgan や Arthur Brown's Kingdom Come の元メンバーら。なにが有名って、あの『ベスト・ヒット・USA』のテーマ曲が収録されていたのだからね。

余談はさておき本作。「Justine」はビートルズやローリング・ストーンズもかつて使用したロンドンの Trident Studios で録音、1970年に英UNIレーベルから発表されたジャスティン唯一のアルバム。CD(Sunbeam Records)には1969年のデビュー・シングルでローリー・スタイヴァースのヴォーカルをフューチャーしたDOT原盤2曲が追加収録。アルバム時での正式メンバー?は女性2人にギター2人、プラス、ベーシスト1人の計5人。ジャケットにはこの5人しか写っていないが他にドラマーのクリス・ギブも参加。CD冊子のバンド名とジャケ写真の整合性がないので注意されたし。プロデュースはデビュー・シングル同様、ヒュー・マーフィーが担当。では個別に順を追って紹介してみたい。冒頭曲は「Flying」「Love You More Than It's Good For Me To」「Nostrils」の3部からなるメドレー形式の曲。はまろやかで撓やかな女性ヴォーカルとバックの男性ヴォーカルとのハーモニーが艶やかな夢見心地なフォーク・ポップ。何処と無くビートルズ臭もあり。

「She Brings The Morning With Her」もまた美しいメロディー・ラインを中心に構成された味わい深い楽曲。「Back to Boulder」はアメリカの太陽燦々といったネアカなハーモニー・ポップとは対極的な、気持ち暗めに進行する哀愁を帯びたバラード。「Traveller」は大人のソフト・ロックのファンにも是非聴いて欲しいドリーミーで繊細な味わいを感じさせてくれるジャジーな進行のナンバー。「Sea Saw」は女性歌手達の可愛らしくも暖かみのある歌が堪能出来る、洗練された味わいのフォーク・ソング。続く3部構成による「Mini Splurge」「Mr Jones」「Is That Good Is That Nice?」は実に凝った構成を見せる、ブリティッシュ・ポップらしい幻想的なナンバー。後期ビートルズに匹敵する、かなり斬新で実験的な手法が用いられた曲だと思うが、それを感じさせない品位も同時に組み込まれている。実にレベルが高い。1970年代に隆盛を極めた、ビートルズの良質遺伝子を引き継いだ英モダン・ポップの先駆け的存在として認知してみるのも面白い。

続は再び「Clocks」「Hey I Used To Know You」の2部構成によるメロディー。CD冊子によれば、彼等の音楽には米西海岸のハーモニー・ポップからの影響が強く感じられる、なんて事が書かれてる。確かにそんなエキスを感じさせる曲なんだが、それと同時にイギリスのバンドらしい鄙びた感性というか、悲恋と哀愁、叙情性が感じられるのも彼等の特徴。「Unknown Journey」はオリジナル最終曲。プログレッシヴな感覚を持ち込む事が前向きに高く評価された時代の作品らしい、実験的精神が盛り込まれた風変わりなサイケ・ポップ。続く2曲は初期のローリー・スタイヴァース時代のナンバー。「Leave Me Be」は1960年代末のイギリスによく見られたポップ感覚込みのブリティッシュ・サイケ。録音状態は兎も角、曲作りの感性という点では1969年と1970年の時点でそれほど差異はなかったようだ。「Clown」は最後の最後で登場した、フォーク・ソング然としたナンバー。勿論サイケ・ポップ感覚もあり。これでお終い。実に面白い作品だね。

ジャスティンのサウンド面の中心的存在である(筈の)ジョン・マクバーニーとキース・トロウズデールはジャスティン結成以前にビートルズからブルース・ミュージックまで満遍なく興味を持って聴いていた時期があったというが、そうした多趣味な2人の音楽性が発揮された実に個性的な音楽と言ってもいいかもしれない。1960年代半ばから後半にかけての米西海岸の音楽。そして当時のイギリスの音楽シーンで披露されていたブリティッシュ・サイケ並びにアシッド・フォーク。そして後期ビートルズが齎らしたポップかつ実験的なサウンド・エッセンス。こうした要素が実に巧く溶け込んでいる。西暦2000年代になってようやく注目され始めた様な、実にマニアックな知名度を持つバンド及びアルバムであるが、彼等の音楽のレベルは実に高い。暗いトーンを感じさせるダークなジャケとは裏腹の、実に多彩な音楽性が披露されたアルバムと言える。ISBやアップル・ブティックの店員が結成したザ・フールの作品程奇妙奇天烈ではないのだが、真面目に作っているのが伝わってくるだけに本作は捨てがたい。買って。

Sunbeam Records

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