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#1298 Jack the Lad / It's Jack The Lad (1974)

 2008-07-26
01. Boilermaker Blues
02. Back on the Road Again
03. Plain Dealing
04. Fast Lane Driver
05. Turning Into Winter
06. Why Can't I Be Satisfied
07. Song Without a Band
08. Rosalee
09. Promised Land
10. A Corny Pastiche (Medley) (Trad Arr.)
The Black Cock of Whickham - Chief O'Neill's Favourite
The Golden Rivet - Staten Island - The Cook in the Kitchen
11. Lying on the Water

12. One More Dance (Bonus Track)
13. Make Me Happy (Bonus Track)
14. Draught Genius (Bonus Track)

It's Jack The Lad

1960年代後半から1970年代を通じてのイギリスのフォーク・ロック・シーンにおける三大バンドと言えばペンタングル、フェアポート・コンベンション、スティーライ・スパン。これら三大バンドは1970年代を代表する英フォーク・ロック・バンドとして君臨した訳だが、彼等の人気に負けず劣らず高い支持と人気を獲得したバンドの一つにリンディスファーン(Lindisfarne)という名前のバンドが存在する。前身バンドを含めれば1968年から活動を開始したバンドで、1970年のデビュー作「Nicely Out of Tune」を皮切りに1974年の「Happy Daze」を最後に活動を一時停止する迄存続、その後1977年に再結成を果たして活動を再開しているのだが、1970年代後期は兎も角、初期の頃はイギリスでも高いセールスを記録している。前記のデビュー作が全英最高8位、続く「Fog on the Tyne」が堂々の1位を獲得、またアルバム収録曲「Meet Me On The Corner」が全英シングル・チャートで最高5位を記録。続く3作目「Dingly Dell」も最高5位を記録しているのだ。

バンドの続編となるライヴ「Lindisfarne Live」も最高25位を記録しているが、この時期バンドは大きな転機を迎えてしまう。デビュー当初のオリジナル・メンバーはアラン・ハル(ヴォーカル、ギター)、ロッド・クレメンツ(ベース)、レイ・ジャクソン(ヴォーカル、マンドリン)、サイモン・カウ(ギター)、レイ・レイドロウ(ドラムス)なのであるが、1973年の日本公演(当時の来日映像はNHKで放映されたらしい)の後にオリジナル・メンバー3人(ロッド・クレメンツ、サイモン・カウ、レイ・レイドロウ)が脱退してしまう悲劇に見舞われてしまう。リンディスファーンに残った2人は新たにケン・クラドック、チャーリー・ハーコート、トーマス・ダフィ、ポール・ニコルスの4人を迎え入れ、ロイ・トーマス・ベイカーのプロデュースを受けて新作「Roll on. Ruby」を1973年に発表。翌1974年にも「Happy Daze」を発表するが、アメリカ市場を意識した音作りを敢行した事が影響したのか市場で成功を収める事が出来なかった。
では、脱退した方はというと、新たにジャック・ザ・ラッド(Jack the Lad)というバンドを結成。ソロ作品を発表したり、アメリカ市場での成功を夢見た4作目以降の残党組のやり方を見ていると分裂してしまうのも無理からぬ事態だったと理解できなくもない。ラテン語装飾写本でケルト三大彩飾写本の一つでもある”リンディスファーンの福音書”という、英国の歴史を代表する宗教芸術書からバンド名を引用したにも関わらず(リンディスファーンのデビュー作のジャケットのデザインは多分に福音書を意識して制作されている)、母体リンディスファーンは最初の解散間際でアメリカ市場を意識した音作りを敢行した。これに対抗するかの如く、ジャック・ザ・ラッドは本来リンディスファーンが持っていた筈の英フォーク/トラッド路線を継承していった。様変わりしようとしていた本家のやり方に危機感を感じて本家を止めて分家を作って本家の伝統を受け継いだ様な物と解釈してもいいだろう。

もっとも、リンディスファーンというバンド自体、伝統的なトラッド音楽を追従するだけのバンドじゃなかった訳だから、本家分家とシリアスに考える必要もないのかもしれない。実は分家のジャック・ザ・ラッドにしたってそう。で、ジャック・ザ・ラッドであるが1974年に最初の作品「It's Jack The Lad」を発表。ロッド、サイモン、レイの3人、そしてアラン・ハルの代役はビリー・ミッチェルが務めた。この後ロッド・クレメンツが最初の1作を限りに脱退してしまうが、バンドは新たに元ヘッジホッグ・パイのフィル・マレー(ベース)とイアン"ウォルター"フェアバーンを抜擢。同年早くも2作目となる「The Old Straight Track」が登場。1975年にも同体制による「Rough Diamonds」をカリスマから発表、更に1976年には移籍先の United Artists から「Jackpot」を発表するがジャック・ザ・ラッドとしての活動はここまでだった。この後1977年にリンディスファーンのオリジナル・メンバー5人が再集結してリンディスファーンの再結成が行なわれた。

Nicely Out of Tuneフォグ・オン・ザ・タイン(紙)Dingly DellOld Straight TrackRough Diamonds

■ Billy Mitchell - Vocal, Guitars
■ Rod Clements - Bass, Vocals, Violin
■ Simon Cowe - Guitars, Vocals
■ Ray Laidlaw - Drums

■ Maddy Prior - Vocals on 'Song Without a Band'
■ Tommy Eyre - Keyboards
■ Jimmy Wrightson - Concertina

元リンディスファーンのメンバーによるフォーク・ロック・バンド、ジャック・ザ・ラッド。彼等が残した作品はカリスマに3枚、UAに1枚、計4枚が存在する。理念や思惑は兎も角、分裂騒ぎを引き起こしたバンドの片割れによる新バンドであるにも関わらずシリアスな先入観は必要無し、という実にリラックスした音楽が堪能出来る1枚。トラッド音楽と聴くと私達はなにかと緊張した音楽を連想しがちであるが、俺達の音楽を聴くにはそんな緊張は必要はないよ、といった雰囲気がジャケットに写るメンバーの笑顔からも見て取れる。実際、和気藹々なジャケットの雰囲気と比例するかの如く楽しい音楽を聴く事が可能だ。メンバーは元リンディスファーンの3人にビリー・ミッチェル。プロデュースは1970年代前半に Gracious、Justine、Gerry Rafferty、Mark-Almond、Unicorn、Kid Gloves、Laurie Styvers、Curtiss Maldoon、Gary Shearston、Kilburn & the High Roads などのアーティストの作品を手掛けるなど、当時忙しい毎日を過ごしていたヒュー・マーフィ。

カリスマ・レーベルというと兎角私達はジェネシスを筆頭としてプログレッシヴ・ロック・サウンドをイメージしてしまうのだが、実際にはリンディスファーンやジャック・ザ・ラッドのようなフォーク系も存在していた。で、元来フォークとは民謡を指す言葉で民衆の間に古くから親しまれていた音楽。本来なら大衆音楽という枠組みで語るのが正当だと思うのだが、ここ日本では特に英フォークを語る際には”トラッド”という言葉を含めた意味合いで紹介されるのが普通で、通常は大衆性を削除した堅苦しい伝承音楽としての側面がやけにクローズアップされた形で取り上げられるのが普通。昔はスティーライ・スパンに伝承音楽家のマーティン・カーシーが参加した事で英世間が大騒ぎした過去もあったようだが、ロックが既に市民権を獲得していたジャック・ザ・ラッドのデビュー年でそんな古臭い仕来りを持ち出す方がおかしいというもの。こんなどうでもいい前フリは兎も角、個別の曲を紹介してみたい。

「Boilermaker Blues」は英トラッド/フォークというよりはバーズやフライング・ブリトー・ブラザースを思わせるフォーク・ロック。グラム・パーソンズからの影響もあるのだろうか、バンジョーやフィドルなども用いられたカントリー然としたイメージも持ち込まれている。「Back on the Road Again」はビリー・ミッチェル単独の手によるオリジナル。おおらかな雰囲気の曲調で始まり、途中からブリティッシュ・モダン・ポップ調のバブルガム・ポップ然とした曲調になってしまうのに唖然。続く「Plain Dealing」はロッド・クレメンツ提供曲。これも米ルーツからの影響を感じさせるおおらかなフォーク・ロック、というよりカントリー・ロック。所謂土の香りのするアコースティック・ロックでこんな音楽を演奏するのならなにもアラン・ハルの元を去って新バンドを結成する事もないだろう、リンディスファーンでやればいいだろう、という皮肉のひとつも言いたい所である。人間関係がもたらした分裂騒ぎだったのかもしれないけどね。

「Fast Lane Driver」もロッド・クレメンツ提供曲。フォーク・ロックというよりは寧ろ限りなくブリティッシュ・ポップの路線に近い雰囲気を持つ曲。「Turning Into Winter」はジャック・ザ・ラッドに参加する以前にリッチー・ヘブンス「Portfolio」(1973年)でギターを弾いていたビリー・ミッチェルの曲。これまでの5曲の中で最も英トラッド/フォークの定番スタイルを連想させる。「Why Can't I Be Satisfied」はロッド・クレメンツ提供曲。フォーク・ロックとブリティッシュ・ポップの折半といった雰囲気を持つ曲。ロッド・クレメンツの作る曲にはポップとフォークの折半みたいな曲調が多い様だ。「Song Without a Band」はサイモン・カウ提供曲。ゲストで英フォーク・ロックの雄、スティーライ・スパンの女性歌手マディ・プライアが参加。フォーク・スタイルのロックに拘らない?バンドらしく、フォークやロック、ジャズの要素を盛り込んだ一筋縄ではゆかぬ癖のある曲調が展開。

続く「Rosalee」もサイモン・カウ提供曲。ジョージ・マーティンがプロデュースを担当した「山高帽の男」の存在で知られるスタックリッジの専売特許である”田舎のビートルズ”の称号を彼等にも貸して上げたいと思わせる、ビートルズ・プラス・フォーク・ロックな逸品。例えて言うならば、ポール・マッカートニーが作った曲をリンゴ・スターに歌わせたらこうなりました、的な雰囲気を持つ長閑なスタイルの音楽を書けば言い得て妙かもしれない。「Promised Land」はビリー・ミッチェルの曲。米カントリーと英トラッドの匂いが交錯する美しいサウンド。アメリカのアコースティック・サウンドも十二分に意識した連中らしい音楽だ。「A Corny Pastiche」はメドレー形式にとる作者不詳のトラッド・ソング。マンドリン、フィドル、アコーディオン、バンジョー、生ギター等々、この手の音楽に欠かす事の出来ない楽器が盛り込まれた意欲的なナンバー。エンディング「Lying on the Water」は歌詞付きのダイナミックなフォーク・ロック。

なお、CDにはボーナス・トラックが3曲。「One More Dance」は1973年のシングル曲でロッド・クレメンツ提供曲。本編でのロッド・クレメンツの提供曲と同様、フォーク・ロックとブリティッシュ・ポップの折半みたいな、なんとなく中途半端な曲。「Make Me Happy」はあっと驚くハード・ロック調の曲。これは、う~ん、なんだか余計な収録だと書かざるを得ない。「Draught Genius」はシングル「One More Dance」のB面に収録された地味な曲でチェコの民俗舞曲ポルカを盛り込んだ軽快な逸品。B面曲らしいと書いておく。

Lindisfarne - The Official Website
It's.... Jack The Lad!
Rod Clements - Stamping Ground
Billy Mitchell - Official Website

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