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#1301 Doobie Brothers / The Captain and Me (1973)

 2008-08-15
01. Natural Thing
02. Long Train Runnin'
03. China Grove
04. Dark Eyed Cajun Woman
05. Clear as the Driven Snow
06. Without You
07. South City Midnight Lady
08. Evil Woman
09. Busted Down Around O'Connelly Corners
10. Ukiah
11. The Captain and Me

THE DOOBIE BROTHERS / The Captain and Me キャプテン・アンド・ミー(紙ジャケット仕様)

ドゥービー・ブラザーズと聴いて即座に連想するのは正直に言って私の場合、かつてスティーリー・ダンのツアーメンバーだったマイケル・マクドナルドという人物が参加してから以降。1970年代前半のサザン・ロック・シーンやウエストコースト・ロック・シーンを代表するバンドだったドゥービー・ブラザーズはマイケル・マクドナルドの参加以降はAORに接近、1978年に発表されたアルバム「Minute by Minute」は全米1位を記録、シングル「What a Fool Believes」も全米1位を記録している。堂々たる成功ぶりなのだが、当時は勿論いまもって評価の分かれる作品と言われている。マイケル・マクドナルドの音楽的才能にケチをつけるつもりはないが、今もってマイケル・マクドナルドは嘲りの象徴みたいな存在で、硬派なロック・ファンなどから攻撃の対象となって久しい存在だ。まあ、軟弱な男が喜ぶ音楽、みたいな感じでバカにされる存在で確か映画の中でもマイケル・マクドナルドが象徴的に扱われた場面があった筈だ。

1970年代に高い人気を獲得したウエストコースト・ロックを代表するバンドといえば勿論イーグルス。ウエストコースト・ロックやサザン・ロックといえば音楽の基盤をアメリカン・ルーツであるカントリーやブルースなどに置き、そこにロック・ギターやコーラス(ウエストコースト・ロックなら爽やか系、サザン・ロックなら骨太系)などを絡めたサウンドが真骨頂なのであるが、そんな音楽ばかりを演奏しては次第にアキがくる。いう訳でウエストコースト・ロックやサザン・ロックのジャンルに属するバンドの多くはロックが肥大化した1970年代半ば以降に音楽的転身を図る様になる。まあ、これは彼等ウエストコースト・ロック勢やサザン・ロック勢だけでなく、米英を始め当時の音楽産業に身を置いていた全ての音楽家に降り注がれた状態だったのだが。ウエストコースト・ロックの雄イーグルスの場合暗いイメージやハード・ロック系のサウンドを取り入れて音楽の幅を広げようと悪戦苦闘したのだが、ドゥービー・ブラザーズの場合はもっと衝撃的だった。
結成は1970年頃。母体はトム・ジョンストンやジョン・ハートマンらによって前年の1969年に結成されたカントリー系のグループ。このグループにデイヴ・ショーグレンやパット・シモンズらが加わって初期ドゥービー・ブラザーズの布陣が出来上がる。ワーナー・ブラザースと契約を結んだ彼等は早速同レーベルから最初のアルバム「The Doobie Brothers」を1971年に発表する。プロデューサーは元ハーパーズ・ビザールのテッド・テンプルマン。ちなみに”ドゥービー”とはマリファナか何かの隠語らしい。最初の作品はヒットはしなかったが続く第二弾「Toulouse Street」(1972年)はヒットを記録。シングル「Listen To The Music」が全米11位、「Jesus Is Just Alright」が同35位、アルバム「Toulouse Street」は最高21位を記録してRIAA(Recording Industry Association of America)公認プラチナ・ディスクを獲得した。途中ベーシストのデイヴ・ショーグレンがタイラン・ポーターに交代、2人目のドラマーとしてマイケル・ホザックが参加したが、一端火が付いたバンドの勢いはこの程度で収まる筈もない。

1973年、彼等はスティーリー・ダンのジェフ・バクスター(当時)がゲスト参加した「The Captain and Me」を発表。初期を代表する名作の一つだ。アルバムは全米最高7位を記録してダブル・プラチナ・セールスを樹立、シングル「Long Train Runnin'」「China Grove」もヒットを記録した。翌1974年には再びジェフ・バクスターがゲスト参加した「What Were Once Vices Are Now Habits(邦題;ドゥービー天国)」を発表。アルバムは前作を上回る最高4位を記録、シングル「Black Water」も最高1位を記録した。この後マイケル・ホザックの代わりにキース・ヌードセンが参加。またスティーリー・ダンを脱退したジェフ・バクスターも正式に参加。1975年の「Stampede」も最高4位を記録するなど、我が世の春を満喫していたのが1970年代中盤までのドゥービー・ブラザーズだった。記憶によれば、ここの時点迄は日本ではイーグルスよりもドゥービー・ブラザーズの方が人気が高かった筈。

この後体調不調によりオリジナル・メンバーのトム・ジョンストンがリタイア。ツアーの代役はどうしよう、と関係者が悩んでいた所ジェフ・バクスターがある人物を紹介する。それがかつてスティーリー・ダンのツアーメンバーだったマイケル・マクドナルド。ソウルフルな歌声や作曲能力、演奏能力がメンバーに認められてマイケル・マクドナルドはドゥービー・ブラザーズに正式参加を果たすのだが、これが良くも悪くもバンドに大きな音楽的影響を及ぼす事になる。1976年、「Takin' It to the Streets」が発表。ゴールド・ディスク止まりだった前作と異なり、本作はプラチナ・ディスクを獲得。曲作りを担当していたトム・ジョンストンが抜けて同じウエストコースト・ロック一派とはいえ、特異なジャズ・ロック・サウンドでオリジナルな音楽性を築き上げていたスティーリー・ダンのジェフ・バクスター&マイケル・マクドナルドがバンドの中心を担う事になってバンドの音楽性は大きく方向転換してしまう。

ちなみにトム・ジョンストンは体調復帰後にドゥービー・ブラザーズに出戻りを果たしているのだが、大きく様変わりを果たそうとしているバンドの音楽性に嫌気がさしたのか、再び離脱してしまった。さて、バンドは「Livin' on the Fault Line」を経て、1978年に問題作「Minute by Minute」を発表。アルバムは堂々の全米1位を記録してトリプル・プラチナ・ディスクを獲得、シングル「What a Fool Believes」も全米1位を記録。個人的にもこの曲と当時のダリル・ホール&ジョン・オーツの躍進振りは本当に凄かった。ホール&オーツのヒットはまだまだ先まで続くのだが、ドゥービー・ブラザーズの「What a Fool Believes」は「What a Fool Believes」以降にヒット・シングルの傾向を変えたと言ってもいい程のインパクトを当時の音楽シーンに与えたと思う。良くも悪くも音楽シーンの潮流を変えたのがマイケル・マクドナルド歌う「What a Fool Believes」だったと言っても過言ではなかった。

ドゥービー・ブラザーズ・ファースト(紙ジャケット仕様)トゥールーズ・ストリート(紙ジャケット仕様)ドゥービー天国(紙ジャケット仕様)スタンピード(紙ジャケット仕様)ミニット・バイ・ミニット(紙ジャケット仕様)

■ Tom Johnston - Guitars, Harmonica, ARP, Vocals
■ Patrick Simmons - Guitars, ARP, Vocals
■ Tiran Porter - Bass, Vocals
■ John Hartman - Drums, Percussion, Vocals
■ Michael Hossack - Drums, Congas, Cymbals, Timbales

■ Bill Payne - Piano, Organ, Keyboards
■ Jeffrey Baxter - Guitar, Pedal Steel Guitar
■ Ted Templeman - Percussion
■ Nick DeCaro - String Arrangements
■ Malcolm Cecil - Synthesizer
■ Robert Margouleff - Synthesizer

2年後の「One Step Closer」(1980年)もヒットを記録するが1980年代に入ると流石に彼等の音楽も飽きられてきた。オリジナル・メンバーであったパトリック・シモンズの脱退を契機にバンドは解散を決意、1982年のフェアウェル・ツアーを最後にバンドは遂に解散。ちなみにこの時期のライヴは「Farewell Tour」の名で1983年に発表。解散後であるが、マイケル・マクドナルドに関してはいわずもがな。1982年のソロ「If That's What It Takes」は当時大ヒットを記録した他、ソロとして数多くの成功を獲得している事は先刻ご承知の通り。また、トム・ジョンストンは1979年に最初のソロ「Everything You've Heard Is True」を、1981年に「Still Feels Good」を発表。パトリック・シモンズはドゥービー・ブラザーズ解散後の1983年に最初のソロ「Arcade」を発表しているが、こちらはファンの間で評価が高い。この後、1980年代後半に再結成、1989年に「Cycles」を発表するが、ジェフ・バクスター&マイケル・マクドナルド抜きの初期メンバーで構成された事もあって往年のサウンドが蘇っているとの評判(私はこれまで聴いた事無し)。

さて本作「The Captain and Me」は1973年発表の通算3作目に相当する作品。全米最高7位(RIAA公認ダブルプラチナ・ディスク)。前作で沸き起こったドゥービー・ブラザーズ・ブームの最中に発表された初期の名作。いや、1970年代前半の全アメリカン・ロックを代表する傑作。プロデュースはテッド・テンプルマン。テッド・テンプルマン抜きに初期のドゥービー・ブラザーズは語れないが、ドゥービー・ブラザーズのお陰でロックの世界でも成功する事が出来たと考えれば非常に感慨深い。ドラマーが2人にベーシストが黒人というのも珍しいケース。ツイン・ギターやツイン・キーボードという構成はロックの世界で時として見られるケースなのだがドゥービー・ブラザーズはドラマーが2人。しかもベーシストが黒人。だからこそ他に例をみない力強く粘っこいリズム・セクションが生まれのだろう。リトル・フィートのビル・ペインやスティーリー・ダンのジェフ・バクスターらがゲスト参加。

個別の曲に簡単に触れてみる。冒頭曲「Natural Thing」はトム・ジョンストン提供曲。後の爽やか路線を連想させる、撓やかで流れる様なメロディが特徴。泥臭く力強い音楽ばかりを想像してしまいがちな初期のドゥービー・ブラザーズであるが、初期の時点でさえ既に一本調子のバンドではなかった事の証いたいな曲。続く「Long Train Runnin'」は初期を代表する名曲の一つ。全米最高8位を記録。この曲を聴いて当時の青春時代を思い出す50代以上の人も多い筈。曲はトム・ジョンストン提供。ファンクとラテンの色彩を隠し味にした小気味良い楽曲で、大概のロック・ファンならトム・ジョンストンのカッティング・ギターとハーモニカ演奏に心を奪われる筈。「China Grove」も初期ドゥービー・ブラザーズの代表曲。全米最高15位。これもトム・ジョンストン提供曲。これぞドゥービー・ブラザーズといったノリの良さと力強さ、スマートさが同居した問答無用の1970年代アメリカン・ロックの名曲の一つ。

「Dark Eyed Cajun Woman」はまるでB.B.キングみたいな洗練された都会的なブルース・ソング。オケのアレンジはニック・デカロが担当。ちなみにケイジャン(Cajun)とは米ルイジアナ州に住む、アカディア植民地に居住していたフランス語系の移民とその子孫のこと。「Clear as the Driven Snow」はパトリック・シモンズ提供曲。これまでのトム・ジョンストン提供曲とは毛色の異なるフォーキッシュなナンバー。「Without You」はメンバー全員の共作による、同時代のアメリカを席巻していたグランド・ファンク・レイルロードを彷彿とさせる様な豪快で泥臭い骨太のロックンロール。フォーキッシュなナンバーの後にこんな曲がくるのも乙な物。ジョン・ハートマンとマイケル・ホザックという、2人のドラマーを抱えるドゥービー・ブラザーズにはもってこいのナンバーだろう。「South City Midnight Lady」は再びパトリック・シモンズ提供曲。「Clear as the Driven Snow」同様、フォーキッシュな味わいの曲で例えればオリヴィア・ニュートン=ジョン当りに歌わせても似合いそうな可愛らしい曲と言える。

「Evil Woman」もパトリック・シモンズ提供曲。これまでのパトリック・シモンズ提供曲の傾向とは異なる、「Without You」と同様の骨太ハード・ロック。力強さや分厚いリズム・セクションなど、ハード・ロックの視線で語っても充分に及第点を上げられるナンバーだろう。「Busted Down Around O'Connelly Corners」は僅か1分にも満たないインストゥルメンタル。作曲者のクレジットは James Earl Luft。意味があるのかどうかよく判らない夢見心地のフォーク・ナンバー。「Ukiah」はトム・ジョンストン提供曲。軽快なリズムのジャジーな展開の曲。「The Captain and Me」はアルバムのタイトル曲。カントリー・タッチのアコースティック・ロック。柔らかい曲もあれば豪快極まりない曲もある。フォーキッシュなナンバーもあればグランド・ファンク・レイルロードに挑戦状を叩き付ける様なハード・ロックもある、という具合に通算3作目にして既に幅広い音楽性を披露しているのが本作の特徴だ。

Doobie Brothers - The Official Website
Michael McDonald
YouTube - Doobie Brothers / China Grove 1973

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