FC2ブログ

#1303 Glaxo Babies / Nine Months to the Disco (1980)

 2008-08-24
01. Maximum Sexual Joy
02. This Is Your Vendetta
03. Seven Days
04. Electric Church
05. Nine Months to the Disco
06. Promised Land
07. Tea Master and the Assasin
08. Free Dem Cells
09. Dinosaur Disco Meets the Swampstomp
10. Conscience
11. Slim
12. Shake (The Foundations)

13. Swampstomp (Bonus Track)

NINE MONTHS TO THE DISCO(紙ジャケット仕様)

ブリストル・シーンとかブリストル系とか、そんな言葉なんか全く知らなかった1970年代末から1980年代にかけて好んで聴いていたブリストル・サウンド。アフリカの音楽やジャマイカの音楽、勿論アメリカのソウルやファンクなどの黒人音楽、時に現代音楽やフリー・ジャズ、そしてロックなどの要素が混在一体となってユニークなサウンドを築き上げていたブリストル・サウンドの中心的存在は勿論ポップ・グループ。25年から30年近くも前にこんなバンドを追いかけていたのは私を含め、日本全国にそんなに数は存在しなかったと思うが、今じゃ”ブリストル・シーン”はロック読本系の雑誌で単独でコーナー、いや、場合によってはブリストル・サウンドだけで一冊本が出来上がってしまう程のようである。ストラングラーズのメンバーにその高い実力を認められたポップ・グループは1979年「Y」で衝撃のデビュー、その後も音楽活動を継続するが長く続ける事は出来ずに1981年には解散してしまう。

ポップ・グループのメンバーはマーク・スチュワート(ヴォーカル)、ジョン・ワディントン(ギター)、ギャレス・セイガー(ギター)、サイモン・アンダーウッド(ベース)、ブルース・スミス(ドラムス)。解散後、マーク・スチュワートは自身のバンド、マーク・スチュワート&マフィアを結成(後にソロに転向)、ギャレス・セイガーとブルース・スミスはリップ・リグ+パニック、サイモン・アンダーウッドはビッグバッグ、そしてジョン・ワディントンはマキシマム・ジョイを結成、それぞれのバンドが立派に本家ポップ・グループ不在のブリストル・シーンを大いに盛り上げてくれた。この中でマキシマム・ジョイを結成したジョン・ワディントンは途中でポップ・グループを脱退してしまっているのだが、彼の代役としてベースを担当したのがダン・カッシスという人物。彼はポップ・グループと同郷のブリストルのバンド、グラクソ・ベイビーズ(Glaxo Babies)に参加していた人だった。
グラクソ・ベイビーズはポップ・グループと同時代に活躍していたバンド。名前の由来は有名な製薬会社のグラクソ製薬から引用された。ポップ・グループ程の知名度はないが、今ではブリストル・サウンドを語る際には必ずと言っていい程取り上げられる存在としてその筋のファンから高く評価されている。結成は1977年頃。ポップ・グループの結成が1978年頃というからポップ・グループよりは実は同郷では少々先輩格のバンドだった。結成当初の中心を担ったのはトム・ニコルズ(ベース)、ダン・カッシス(ギター)、ジェフ・オルソップ(ドラムス)で、その後ロブ・チャップマン(ヴォーカル)やサックス奏者のトニー・ラフターらが加わってバンドの屋台骨が出来上がってくる。バンドは1978年に創設されたばかりの地元のレーベルでチェリー・レッド系の Heartbeat records と契約を結んで翌1979年にはシングル「Christine Keeler / Nova Bossanova」や4曲入りEP「This Is Your Life」などを発表。

お馴染みジョン・ピールの絶賛という後押しも手伝ってグラクソ・ベイビーズの人気は高まり、翌1980年には待望の最初のアルバム「Nine Months To The Disco」が発表されるにまで至る。この時点でドラマーはジェフ・オルソップからチャールズ・ルウェリンに交代。ヴォーカルのロブ・チャップマンはポップ・グループに擦り寄って次第に前衛性を増していくバンドの方針に嫌気が差したのか、途中でバンドを脱退してしまったが代わりにティム・エイレットというインストゥルメンタリストが参加している。同1980年にもグラクソ・ベイビーズはシングル「Shake (The Foundations) / She Went to Pieces」、4曲入りのEP「Limited Entertainment」を発表、更に編集盤「Put Me on the Guest List」(過去のシングルや未発表曲などを集めた内容)も発表されるが、彼等の寿命はここまでだった。1981年解散。解散後は上でも触れた様に、元メンバー達の何人かはポップ・グループのジョン・ワディントンと融合してマキシマム・ジョイに流れている。

Put Me on the Guest List(紙ジャケット仕様)And we call this Leisure Time(紙ジャケット仕様)ステーション・オブ・MXJ(紙Y(最後の警告)

■ Dan Catsis - Guitar, Vocals
■ Tom Nichols - Bass, Vocals
■ Charlie Llewelyn - Drums
■ Tony Wrafter - Tenor Saxophone
■ Tim Aylett - Other Instruments

グラクソ・ベイビーズは2007年12月にハヤブサランディングスより紙ジャケ化されたので購入して聴いた人も多いかと思う。本作「Nine Months To The Disco」は1980年に発表された彼等の唯一の作品。これ以外にも「Put Me On The Guest List」「Dreams Interrupted: The Bewilderbeat Years 1978-1980」「The Porlock Factor: Psych Dreams and Other Schemes 1985-1990」といった編集盤が存在するが、オリジナル作品としては本作が最初で最後。メンバーは上の5人。ちなみに初期メンバーのロブは脱退後にトランスミッターズ(Transmitters)に参加して同バンド唯一の作品である「And We Call That Leisure Time」(1981年)に参加。また、トム・ニコルズとジェフ・オルソップは解散後にヴァルチャーズ(Vultures)というバンドを結成したそうだが、聴いた事はないのでどんなバンドなのかは皆目不明。余談だがグラクソ・ベイビーズは1985年にロブ、ダン、チャーリーらによって再結成を果たしているそうだ。

さて本作。「Nine Months To The Disco」の中身に少々触れてみたい。収録は全部で12曲。CDではボーナス・トラックとして約7分におよぶ未発表曲「Swampstomp」が追加収録。さて本題。冒頭曲「Maximum Sexual Joy」はポップ・グループ解散後の枝葉バンドのファンク路線のサウンドとジョイ・ディヴィジョンを融合させた感の様なニュー・ウェーヴ風ファンク・サウンド。いや、ポスト・パンクか。当時よく存在したサウンド形態の一つで、個人的にも1970年代末頃から暫くの間はこの手のニュー・ウェーヴ風ファンク・サウンドはよく聴いていたものだった。ちなみにタイトル名から”Sexual”の部分を除けば後のグラクソ・ベイビーズの後続バンドの名前となる。続く「This Is Your Vendetta」は後にグラクソ・ベイビーズの兄弟バンドと呼ばれるようになるポップ・グループからの影響も色濃いアヴァンギャルドなインストゥルメンタル・ロック。リップ・リグ+パニック同様、ローランド・カーク当りのフリー・ジャズからの影響を感じて聴かねばならないだろう。

続く「Seven Days」も同様。歌詞は無く、ポップ・グループ経由による、フリー・ジャズやファンク、現代音楽、ダブといった音楽からの影響をひしひしと感じるインパクトの強い曲。僅か4分程度の曲だが非常に強い印象が残る曲。リップ・リグ+パニックにもこんな曲あったんじゃないか、と思わせる様な曲でもある。アレンジに工夫を凝らせば本曲1曲だけでアルバム片面全部が費やせる大作に発展出来たかもしれない。「Electric Church」はチープなリズムボックスをバックに猥雑なサックスが展開される典型的なフリー・ジャズ。ロック色は皆無。「Nine Months to the Disco」はアルバムのタイトル曲。テープの逆回転を利用した曲で、ジョン・ライドン率いるパブリック・イメージ・リミテッドの「Death Disco」や「Flowers of Romance」同様、踊れそうで踊れない、アンチ・ダンス・ミュージックの視線で語るべき曲。本来はこういう視点で彼等の様なポスト・パンク勢は語るべきだ筈だったと思うのだが、何処からどう変わってしまったのかね。

「Promised Land」も一風変わった、ユニークなアレンジのニューウェーヴ・サウンド。ポップ・グループ風の実験サウンドが好きな人にはお奨めの一品。続く「The Tea Master and the Assassin」。ここまで来るともうブリストル・サウンドというよりは初期のキャバレー・ボルテールや初期のスウェル・マップスを彷彿とさせる、インダストリアルなホーム・レコーディング・サウンド。凡そロック・ミュージックとは似つかわしくない曲ばかりが並ぶ本作だが「Free Dem Cells」は強烈なファンクのリズムが飛び交うファンク・ロック・サウンドが展開。1980年のニューウェーヴ/ポスト・パンクと言えばこの様な形態のリズムとメロディが浮かんでくる。歌詞は無し。フォールのマーク・E・スミス当りに歌わせてみればしっくりいったかも。「Dinosaur Disco Meets the Swampstomp」もポップ・グループからの影響が感じられる実験サウンド。「Nine Months to the Disco」同様、当時世界で大流行のディスコ・サウンドをシニカルな視点で解体してみせた、グラクソ・ベイビーズ流ディコ・サウンドだ。

「Conscience」はポップ・グループの妹的存在(当時)でもあったスリッツのヘタウマ(死語?)なサウンドを彷彿とさせるヘナチョコな脱力ロック。本作では珍しく歌詞入り。ほんの僅かな「Slim」に続いて披露されるのはオリジナル最終曲の「Shake (The Foundations)」。当時シングル・カットされた曲だけあって、ソツのない纏まった印象をリスナーに与えるファンク・ロックだ。本CDでは更にもう1曲。「Swampstomp」は本編でも見られた、実験精神豊かでフリーキーなサウンド。アルバム制作当時、恐らくはこの様なポップ・グループからの影響も色濃い実験サウンドが数多く録音されたに違いないだろうが、こんな曲ばかりではアルバムのバランスが悪い、という理由で当時はお蔵入りしたのであろう。これでお終い。フリー・ジャズ、ファンク、前衛音楽や実験音楽、インダストリアル、ダブ、そしてロック(ニューウェーヴ)など、多種多様なエキスが見られるミクスチャー・サウンド。

港湾都市で多くの移民及びその子孫達が数多く生活を送っているブリストルという土地柄、特定のジャンルに拘らない雑多な音楽性が感じられるのが彼等、ブリストル勢の特徴だ。ブルース・ベースの古典的なクラシック・ロックとは異なる、魅力的なサウンドがここには存在する。

MySpace.com - GLAXO BABIES - Experimental / Punk / Dub

ページ最上部へ
関連記事
FC2ブログランキング人気blogランキングへにほんブログ村 音楽ブログへブログランキング【くつろぐ】参加中
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://cottonwoodhill.blog21.fc2.com/tb.php/4830-596010c8
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫
FC2カウンター

プロフィール

はじめに

Author:Cottonwoodhill
未確認・不確定な事でも堂々と書いてしまう無責任洋楽ブログ。根は洋楽ミーハーCottonwoodhillは感覚派B型人間なので記事の整合性が欠ける場合多々有り。過去の記事への不快なコメントなどは問答無用で削除します。

RSSフィード
CalendArchive

最近のアルバム評
Powered by 複眼RSS

最近のアルバム寸評

今日のBGM
ゼン・プレイ・オン(紙ジャケット SHM-CD)

最近のコメント
最近のトラックバック
LIVE TRAFFIC MAP
Myスカウター

スカウター : Cottonwoodhill 別別館

FC2検索

タグランキング

トラックワード
FC2 SEO リンク
FC2 アクセスランキング

TopHatenar

フィードメーター
フィードメーター - Cottonwoodhill 別別館
あわせて読みたいブログパーツ

ブログ通信簿

サイト価格ランキング


サイト売買のサイトストック

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
音楽
177位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
洋楽
38位
アクセスランキングを見る>>

フリーエリア
  1. 無料アクセス解析