#1025 Shelagh McDonald / Stargazer (1971)

 2006-01-02
1. Rod's Song
2. Liz's Song
3. Lonely King
4. City's Cry
5. Dowie Dens Of Yarrow
6. Baby Go Slow
7. Canadian Man
8. Good Times
9. Odyssey
10. Stargazer

11. The Road To Paradise (Bonus Track)
12. Sweet Sunlight (Bonus Track)
13. Spin (version 1) (Bonus Track)
14. Rainy Night Blues (Bonus Track)
15. Spin (version 2) (Bonus Track)
16. Dowie Dens Of Yarrow (False Start)(Bonus Track)
17. Dowie Dens Of Yarrow (Demo) (Bonus Track)

Stargazer
Stargazer
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Shelagh McDonald
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アイランド・レコードのクリス・ブラックウェウルらが1960年代末に設立したレーベル、B&C(ビート&コマーシャル)。このレーベルは運営の初期にはジェネシスでお馴染みカリスマ・レーベルの作品を配給していた事でも知られるレーベルだ。1969年から1972年まで運営されていたレーベルで、閉鎖後はB&Cが運営中に設立した傘下レーベル、ペガサスにB&C所属のアーティストは移籍して音楽活動を継続している。両レーベルに跨って作品を発表したアーティストにアトミック・ルースターが存在した。ご存知ELPのドラマー、カール・パーマーが初期の頃に在籍していた事で知られるバンド。他にもスティーライ・スパン、アンディ・ロバーツ、スパイロジャイラといったバンドが両レーベルに跨って作品を発表している。さて、このB&Cレーベルであるが、このレーベルに在籍して2枚の作品を発表しながら、その後音楽シーンから消えてしまった女性シンガー/ソングライターを紹介したい。シェラ・マクドナルド。

いかにも美形のお姉さんといったシェラ・マクドナルドは英エセックス生まれの男性シンガー/ソングライターで1969年にRCAからデビュー作を飾った後、B&Cに移籍して作品を発表したキース・クリスマスに認められてプロ・デビューを飾る事になった女性。このキース・クリスマスが所属していた音楽プロダクションがセプテンバー・プロダクションというチームで、イアン・マシューズ、ミッキー・ジャップ、スティーライ・スパン、キース・クリスマス、スプリガンズ、フィンチといったアーティストの作品を手がけたサンディ・ロバートソンという人物が同プロダクションの首謀者。キース・クリスマスやスティーライ・スパン、アンディ・ロバーツ、スパイロジャイラ、シェラ・マクドナルドといったアーティストがセプテンバー・プロダクションと契約していた。いずれにせよ、所属アーティストの大半をレコード・デビューさせたのだから、サンディ・ロバートソンという人物のビジネス手腕はなかなかのものだったのだろう。
1949年スコットランド出身(1948年生まれという説あり)。容姿端麗、シェラ・マクドナルドは先輩格キース・クリスマスの薦めもあってサンディ・ロバートソン率いるセプテンバー・プロダクションに入り、そのまま流れるようにアイランドやカリスマ関連レーベル、B&Cと契約を結ぶ事になる。最初の彼女の作品は1970年の「Album」。キング・クリムゾンにも参加した英前衛ジャズ界の重要人物キース・ティペットやサンディ・デニーがフェアポート・コンヴェンションを脱退した後に結成したフォザリンゲイのジェリー・コンウェイ(ドラムス)、そしてセプテンバー・プロダクションのアンディ・ロバーツや彼女の発掘人キース・クリスマスなどが参加した、デビュー作にしてはなかなか華やかなメンバーが揃って制作されている。売り上げがどうだったかについては定かではないが、プレスの評判もなかなかで、その後彼女は2作目の作品となる「Stargazer」を制作するに至っている。

これの2作目は1971年に発表されるが、ちなみにこの時期B&Cからはキース・クリスマス「Pigmy」、スパイロジャイラ「St. Radigunds」、ポール・ケント「Paul Kent」といった作品も発表されている。この後上記のように所属レーベルのB&Cが閉鎖してしまうが、ネペンサやネオンといった短命レーベルに所属していたアーティストとは違い、B&C所属アーティストにはペガサスというレーベルが一時的な受け皿となっていた。アトミック・ルースターやスティーライ・スパン、スパイロジャイラといった連中はペガサスに自動的に移籍する形で音楽活動を続ける事になるが、何故かシェラ・マクドナルドの音信はここで途絶えてしまった。一説には3作目の作品用の曲も何曲か収録されていたというし、一体どんな理由で彼女は音楽シーンから消えてしまったのか。最近彼女のインタビュー記事がネットで掲載されたが、それによれば一般的に言われているようにLSDで体調を崩して故郷スコットランドに帰省してしまったのが実情らしい。

■ Shelagh McDonald - Vocals, Piano, Guitar

■ Keith Christmas - Guitar, 12 String Guitar
■ Rchard Thompson - Guitar
■ John Ryan - String Bass
■ Danny Thompson - String Bass
■ Dave Rchards - Bass
■ Pat Donaldson - Bass
■ Harvey Burns - Drums
■ Dave Mattacks - Drums
■ Ian Whiteman - Organ, Piano
■ Ray Warleigh - Sax
■ Kathy Kissoon - Backing Vocals
■ Mac Kissoon - Backing Vocals
■ Mike London - Backing Vocals
■ Robert Kirby - String & Choral Arrangement  

本作は現存するシェラ・マクドナルドの2枚の作品の内、1971年に発表された2作目の「Stargazer」。前作の参加メンバーもなにげに豪華だったが本作も同様。彼女の人徳か、それともサンディ・ロバートソンの人脈だろうか。さて、本作の話に移るが、収録は全部で10曲(オリジナル)で、内1曲がバート・ヤンシュもカバーした作者不詳のトラッド・ナンバーのアレンジ。ボーナスも豪華で実に7曲も収録されている。シェラのCDは2枚のオリジナル作品の他、CD2枚組のアンソロジー盤「Let No Man Steal Your Thyme」(キャッスル盤)という作品が発売されているが、このCDのディク2がそっくり日本国内流通の紙ジャケCDと同じ構成になっている。セプテンバー・プロダクションのサンディ・ロバートソンのプロデュースによる本作はブリティッシュ・フォークの名盤として昔から語り継がれてきた名作。キース・クリスマスやサンディ・ロバートソンを通じて彼女の才能が知れ渡ったのか、本作にも前作同様の豪華なゲスト陣が参加している。

キース・クリスマスは勿論、フェアポート・コンヴェンションのリチャード・トンプソン(ギター)とデイヴ・マタックス(ドラムス)、フォザリンゲイのパット・ドナルドソン(ベース)、ペンタングルのダニー・トンプソン(ベース)ら。他にもキャット・スティーヴンスのバックを演じたジョン・ライアン(ベース)やハーヴェイ・バーンズ(ドラムス)、元ロニー・スコット・バンドの一員でニック・ドレイクやアンディ・ロバーツ、ジョン・マーティン、クレア・ハミルといったアーティストの作品に参加したレイ・ウォーリー(サックス)などの有能なセッション・マンも揃っている。フェアポート・コンヴェンション、フォザリンゲイ、ペンタングル、キャット・スティーヴンスのバックを演じた手堅いメンバーのサポートを受けた本作は生ギターの弾き語りといった、よくありがちな純フォーク系作品の枠に収まりきらないフィメール物の優秀作品として広く薦められるものだ。

心に染み入るような暖色系のシェラの歌と生ギターを中心にバックの演奏陣や弦、コーラスなどが彼女のオリジナル曲が持つファンタジックな崇高さを見事にカバーしている。派手さはないが純朴で天使のような彼女の歌を聴いていると、本当に心が洗われるように感じる。時に美しい歌声の向うにブリティッシュ・フォークらしい翳と憂の気配も感じるが、この後のドラックによるシェラのドロップ・アウト人生を考えると「Stargazer」における虚ろげな部分が物悲しい湿り気のある音色として聴こえてしまう事もなくはない。B&Cからデビューする以前にさしたる経歴を持っていなかったと思われるが、そんな経歴がウソに聴こえる程に曲の出来ががすこぶる良好な為、湿っぽくなり過ぎないのも特徴である。ニック・ドレイク、スプリガンズ、ストローブスといった作品に関与した事もあるロバート・カービーの弦のアレンジもソツがない。フォーク系作品としてはかなりバックの演奏陣が厚い気がするが、説得力のあるシェラ・マクドナルドの歌はバックの演奏に負けてはいない。

シェラ・マクドナルドは本作完成後に3作目の作品製作に乗り出すものの、薬物で体調を壊してパラノイア(妄想性障害)となり、喧騒な音楽ビジネスの現場を離れてスコットランドの彼女の両親と共に同居して音楽の世界とは離れた隠遁生活を送っていたそうです。その後書店を営むゴードン・ファークァーという男性と知り合い結婚。その後はスコットランドの地で愛する夫と共に静かながらも充実した人生を送っていたようだ。今もって沈黙を続けているシェラ・マクドナルドだが、一説によれば再び音楽活動を再開したい意志があるのだという。昨今のブリティッシュ・フィメール・フォーク再評価の風向きが彼女に勇気を与えたのだろうか。だとすればヴァシュティ・ブニヤンのようにいつの日にかシェラ・マクドナルドの新作が東洋の辺境の地にまで届く日がくるかもしれない。勿論新作が届こうが否かに限らず、シェラ・マクドナルドが私達に残した作品は永久に美しい旋律を奏で続けるに違いない。

追伸、本作にはボーナス・トラックとして7曲が追加収録しているが、本作収録曲の「Dowie Dens Of Yarrow」の発表テイク2曲を除く5曲がまったくのアルバム未収録。アダルト・コンテンポラリー寄りの作品だが病に蝕まれていたとはにわかには信じがたい程のレベルの高い作品である。このまま3枚目の作品が製作されていたら、と思うと本当に残念でならない。

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コメント
すいません。見落としてました!
とても参考になりました。
本当に復活してほしいですね。
【2006/02/06 23:57】 | モコマキ #- | [edit]
コメントありがとうございます。ヴァシュティが復活した位ですから、次は是非彼女の復活を願いたいものですね。
【2006/02/07 18:29】 | Cottonwoodhill #- | [edit]
さすがの詳しさ!

それにしてもこのアルバムのジャケットの彼女、キャサリン・ロスみたいです。
【2008/07/14 10:18】 | ぷくちゃん #- | [edit]
コメントありがとうございます。キャサリン・ロス、いいですね。『ステップフォードの妻たち』、よかったですよ。勿論オリジナルの方です。
【2008/07/14 20:17】 | Cottonwoodhill #- | [edit]












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