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#1339 Träd, Gräs och Stenar / Träd, Gräs Och Stenar (1970)

 2009-09-13
01. All Along The Watchtower
02. I Can't Get No Satisfaction
03. Sanningens Silverflod
04. Tegenborgsvalsen
05. All Makt Åt Folket
06. Svarta Pärla

Trad Gras Och Stenar

Träd, Gräs och Stenar と書いてトラッド・グラス・オーク・スターナーと読むそうです。このバンドは1970年代初頭から同前半まで活動を継続していた北欧はスウェーデン(ストックホルム)出身のサイケデリック・ロック・バンド。熱心な北欧ロックのファンや辺境ロック・マニアの人を除外すれば正直言って日本ではそれ程馴染みのないバンドの一つだと思うが、2000年代に再結成を果たしてなんと2007年には日本来日公演まで実現している。この連中、実は1960年代から音楽活動を開始していてメンバーは既に結構なお年らしい。彼等の過去の作品が1960年代~1970年代のロック再見直しブームにあやかって再評価されていたら再結成や日本公演がもっと早く実現していたかもしれない。それはさておき、彼等の歴史に少々触れてみる。ある方面では ”北欧のアモン・デュール” との異名を持つトラッド・グラス・オーク・スターナーの歴史の始まりは1967年の夏頃まで遡らなくてはならない。

ギタリストの Bo Anders Persson(1937年生まれだから現在既に70歳オーバー!) を中心としたエクスペリメンタルなサイケデリック・ロック・バンド、Pärson Sound が彼等の原点。当時のメンバーは他にベース担当の Torbjörn Abelli、チェロ担当の Arne Ericsson、Mecki Mark Men のドラマーとしても知られる Thomas Mera Gartz(1944年、ストックホルム出身)、ヴォーカル及びサックス担当の Thomas Tidholm(1943年、オレブロ出身)、そして正式メンバーではどうやらなかったようだが時にヴァイオリン奏者の Urban Yman。彼等は1968年頃まで活動を続けたようだが当時な正式なアルバムを発表する機会は得られなかったようだ。だが1967年から1968年にかけて彼等は録音作業も行なっていたようで、2001年には当時の音源をまとめた「Pärson Sound」なるアルバムがストクホルムのレーベル、Subliminal Sounds から発表されている。聴けば判るが Pärson Sound の混沌としたエキセントリックなカオス・サウンドは時代考証の点から言ってもアモン・デュールの一歩先、レッド・クレイオラや13thフロア・エレベーターズとほぼ同列の先見性と言ってもいいと思う。
1968年に彼等はバンド名を International Harvester と改名(これ以前に Bo Anders Persson は1967年に現代音楽畑の作曲家 Folke Rabe との連名名義による「Was? / Proteinimperialism」をドイツの前衛レーベル、Wergo に残している)。同年末には待望のデビュー作「Sov gott Rose-Marie」をフィンランドのレーベル、Love Records から発表。年が明けた1969年には今度はバンドを Harvester と再度改めて同年に「Hemåt」なるアルバムを地元ストックホルムの Decibel Records から発表した。ちなみにこの Decibel Records は1970年代の北欧プログレを語る際に欠かす事の出来ない存在として有名な、あの Silence の発起人としても知られる Anders Lind が Silence 設立以前に立ち上げたレーベル。ここまでなんだか非常に慌しい変遷だが、1969年夏にはまたしても改名。それがトラッド・グラス・オーク・スターナー(Träd, Gräs & Stenar)である。バンドは1970年に最初のアルバムとなる「Träd, Gräs Och Stenar」を発表。1971年にはギタリストの Jakob Sjöholm が新たに参加。

その後も「Djungelns Lag」(1971年)、「Rock för Kropp och Själ」「Mors Mors」(1972年)と発表。1973年には今度はホット・ボーイズ(Hot Boys)と改名、1974年に「Varma smörgåsar」なるアルバムを発表した。もうなんだか凄いもんだ。1968年から1974年までの7年間で前バンド名義のアルバムを含めれば7枚ものアルバムを発表した訳だから、(アルバムを制作・発表する機会が得られていたという点で)彼等は非常に恵まれていたと言っても過言ではないだろう。この後正式なアルバムが発表されていない事から、この後解散を迎えたのだろう。この後のメンバーの足取りであるが、ドラマーの Thomas Mera Gartz はサムラと並び称される北欧プロフレの雄 Arbete och Fritid に参加して「Ur spår」「...sen dansar vi ut」「Se upp för livet」「Håll Andan」といった1970年代後半までの作品に参加した他、1976年には自身のソロ作「Sånger」を発表。1980年代以降では Bitter Funeral Beer Band、Råttan Frittz、Triangulus、Prins Lätt といったバンドの活動に関与している模様。

Sov Gott Rose-MarieHematAin Schvajn DrajHomeless Cats

■ Bo Anders Persson - Guitar, Violin, Flute, Vocals
■ Arne Eriksson - Piano, Cello, Flute
■ Torbjörn Abelli - Bass, Harp, Flute
■ Thomas Gartz - Drums, Harp, Flute, Vocals

Thomas Tidholm も1970年代後半の一時期、Arbete och Fritid の活動に関与していた他、1978年には Bröderna Lönn なるバンド結成に参加、同バンドは1979年にアルバム「Säg det i toner ...」を発表している。更に当人も1984年にソロ作「Obevakade Ögonblick」を発表。近年では2006年に Jonas Knutsson との連名名義による「Himlen har inga hål」を発表している。ベーシストの Torbjörn Abelli、彼もまたArbete och Fritid の活動に関与、「Se upp för livet」「Håll Andan」の2枚のアルバムに参加している。まあ、こんな感じなんだか、実は彼等、2000年代に入って再結成。2002年の「Ajn Schvajn Draj」は彼等にとって実に30年振りの新作となった(「Gärdet 12.6.1970」「Unrealeased Live 1972」は1970年代の発掘音源ライヴ)。2007年にはなんと来日。日本のサイケデリック・ロック・バンド、アシッド・マザーズ・テンプルに招聘されて来日を果たしたというから驚きだ(この時の演奏は「Japan Tour 2007」の名でCD化)。ちなみに「Hemlösa katter」は2009年5月に発表されたばかりの新作。

さて、今回取り上げる作品「Träd, Gräs Och Stenar」(Decibel Records)は彼等のデビュー・アルバム。Pärson Sound~International Harvester~Harvester~Träd, Gräs Och Stenar~Hot Boys とバンド名を何度も変えて音楽シーンでの生き残りに掛けてきた彼等の1970年発表作品でもある。1970年当時の北欧ロック・シーンがどの様な状態だったのかについてはよく判らないが、ロックの本場イギリスとは地理的にそれ程遠くない事から、ロック先進諸国の流行がそれほどタイムラグなく聴かれていたに違い。アルバムは総体的に言って1960年代後半のサンフランシスコのロックというか、全体的にアシッドな空気に包まれたサイケデリック・サウンドと言ってもいい。では個別の曲にも触れてみる。冒頭「All Along The Watchtower」はボブ・ディランの曲。ジミー・ヘンドリックスのカバーがあまりにも有名なディランの定番曲だが、彼等はアシッド色の濃いアレンジに終始。当時2トラック音源で録音されたそうだが、録音機材に金が掛かっていない事でかえってアンダーグラウンドさを助長する効果が引き出されている。

続くは「 Can't Get No Satisfaction」。ロック・ファンなら誰でも知っているローリング・ストーンズの初期ヒット曲。1965年当時、全米のシングル・チャートで4週に渡り1位を記録した曲でもあり、(当時の)若者の満たされない気持ちを代弁した、所謂 ”世界を変えた” 曲でもある。Träd, Gräs Och Stenar の連中はオリジナルのリズムは尊重しながらも、1960年代当時のサンフランシスコ・サイケデリア・サウンドを彷彿とするアシッドな感覚を盛り込む事を重視。ノリがよっかったのか、ストーンズのオリジナルを遥かに超える11分という長尺なアレンジとなっている。デビュー作とはいえ、既に前身バンドで複数枚のアルバムを出しているの彼等、演奏は流石に手馴れたもの。続く「Sanningens silverflod」もアシッドな空気感が味わえるドロドロの呪術的なサイケデリック・ロック・サウンド。時にドイツのアモン・デュールなどとも言われる彼等だが、感覚的にはローリング・ストーンズ「Sympathy for the Devil」にも似た黒魔術的な雰囲気も味わえる。

「Tegenborgsvalsen」は3分にも満たない短い曲。まるでガレージ一発録音といった雰囲気の、ある意味デモ音源風の粗野な曲。実際、録音状態もあまりよくない。収録時間の都合で曲が足りなかったから入れました、という感じだろうか。曲の最後で拍手が入り、ああこれはライヴ音源なのか、と納得した次第。続くは「All makt åt folket」。ここまでの曲はとりあえずロック・ミュージックの形態に沿ったものだったが、ここにきて実験的なアレンジが施された奇妙奇天烈な曲が挿入されている。まさに混沌としたカオス・サウンド。だが、無秩序に流れるのではなく、整合性を持った雰囲気が味わえるのがミソでもある。偶然出来できちゃった アモン・デュール 「Psychedelic Underground」とは異なり、素面な状態で計画的に録音したものだったに違いない。「Svarta pärla」はエンディング曲。最初の1分で思い出すのがイギリスのストレンジ・フォーク・バンド、インクレディブル・ストリング・バンド(ISB)。恐らく彼等も当時はISBの変態カルト・アシッド・サウンドに魅了された口だったのだろう。

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