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#1343 Bonnie Raitt / Luck of the Draw (1991)

 2009-11-03
01. Something to Talk About YouTube
02. Good Man, Good Woman
03. I Can't Make You Love Me
04. Tangled and Dark
05. Come to Me
06. No Business
07. One Part Be My Lover
08. Not the Only One
09. Papa Come Quick (Jody and Chico)
10. Slow Ride
11. Luck of the Draw
12. All at Once

Luck of the Draw

ボニー・レイットって日本ではどれ位の人気があるのだろうか。海外、特に母国アメリカではロックの殿堂入りを果たしている程だから確固たる地位を築きあげてきたと言っても過言ではないのだが、日本ではアメリカ程の人気は獲得できていなんじゃないのかなあ、なんて思うのだがどうだろうか。彼女、勿論白人なんだが日本じゃアメリカのブルース・ギタリストは?と問われれば殆どの人が戦前のブルース歌手とかシカゴ系の黒人ギタリストを連想するだろうし、あえて白人のブルース・ギタリストを挙げてみろ、と問われてもECとか初期フリートウッド・マックに在籍していた人、ロリー・ギャラガー、ポール・コゾフ、マイク・ブルームフィールド、ジョニー・ウィンター、そしてスティーヴィー・レイ・ヴォーン位が関の山なのではないだろうか。勿論、熱心なブルース・マニアなら掘り下げてもっと名前が出てくるだろうが、一般的な洋楽ファンからすればまあ大体この程度の認知度程度だと思う。

白人のブルース・ギタリストの名前を一人挙げてみろ、と問われて日本じゃ恐らく殆どの名前が挙げないだろうと思われるボニー・レイット。上で書いた通り母国では既に殿堂入りの立派なギタリストなんだが、1970年代のデビュー当初から商業面における爆発的な人気を獲得していた訳じゃない。1971年のデビュー作「Bonnie Raitt」は本国でもランクインを果たせず、次回作の1972年作「Give It Up」でようやく全米138位を記録。売り上げ自体は全米レコード協会(RIAA)公認ゴールドディスクを記録したが達成したのが1985年。つまり発売から13年かかって記録したのである。デビュー当初からミーハーな人気を得ていた訳じゃない。その後発表された1970年代のアルバム「Takin' My Time」「Streetlights」「Home Plate」も大きなセールスを記録するまでには至らなかった。1977年のアルバム「Sweet Forgiveness」は全米最高25位を記録しているが、これが1971年~1988年の間では最上位の記録だったのだ。まあようするに遅まきの人だった訳。
1949年、米カリフォルニア州バーバンク出身。父(ジョン・レイット=ブロードウェイで活躍したスター)、母(マジョリ・ヘイドック=ピアニスト)という家庭環境だったからなのか、幼い頃から音楽に興味を持ち、10代に満たない頃からギターを手にするようになる。1967年、彼女は大学進学(ハーバード大学)の為マサチューセッツ州ケンブリッジへ移住、そこで間もなく音楽活動を展開するようになる。彼女はそこでディック・ウォーターマンという人物と交友を持つが、ブルース・プロモーターだったディック・ウォーターマンと知り合いになった事から彼女のその後の人生が決まる事になる。1960年代の後半から末と言えば米英でかつての黒人ブルース歌手達が再脚光を浴びていた時期でもあったから、彼女がブルースに興味を持って音楽活動を展開し始めるにはいい時期だったという訳。ミシシッピ・フレッド・マクダウェルやハウリン・ウルフといった、ロック・ファンにもお馴染みの人物と親交を深めていったのもこの時期だったそうで。

ミシシッピ・フレッド・マクダウェルの前座を務めるなど、デビュー間際で既に女ブルース・ギタリストとしてのステージ活動を展開していた彼女のデビューは1971年。「Bonnie Raitt」というワーナーから登場した作品がそれ。プレスから好評を持って迎えられるも商業的な成功は収められない、という彼女の成功前のかつての第一印象はここから始まった。まあ、1970年代当時から彼女の名前は日本でも度々音楽雑誌などで取り上げられていたと記憶しているが、メジャーな人気獲得という訳にはいかなかった。ちなみに日本でブルース・ブームが起こったのはは1970年代に入ってからで、そこから所謂ブルースの大御所が日本で紹介される様になった。1978年には三大キングのうちのBBとアルバートが来日してギター・バトルを繰り広げている。当時はこの来日の様子が新聞の片隅で取り上げられた事をなんとなく記録しているが、まずはこのレベルから。1970年代初頭にデビューしたばかりの白人女性ブルース・ギタリストが注目される土台は当時の日本にはまだなかったのだ。

いや、この状況は母国でも同じ。1971年のデビュー作から1986年の「Nine Lives」まで計9枚のアルバムを発表するが、チャート的には上でも触れた様に1977年作「Sweet Forgiveness」の最高25位がベスト、「Give It Up」「Sweet Forgiveness」という2枚のアルバムが長い月日をかけてゴールドディスクを獲得したのがせめてもの彼女のキャリアの全てだった。だが1989年、彼女の運気が変わった。ドン・ウォズのプロデュースによるキャピトル移籍第一弾「Nick of Time」がなんと全米最高1位を獲得。1987年頃にロイ・オービソンのテレビ番組に彼女が出演した事で知名度がアップした事も影響があったそうだが、あっという間に「Nick of Time」はゴールド、プラチナ、そしてその上を行くセールスを記録、シングル「Thing Called Love」もヒットを記録する。これまでさっぱりだった全英チャートでもランクインされる様になったのもこの頃からだ。アナログ・レコードからCDの時代へ、そしてロックのルーツとなったブルースやR&Bなどの音楽が再評価される世間の潮流も彼女にとっては充分プラスに作用したのだろう。

Bonnie RaittGive It UpTakin' My TimeStreetlightsSweet Forgiveness

■Bonnie Raitt – Acoustic & Electric Guitar, Guitar, Electric Piano, Vocals, Background Vocals, Slide Guitar

※ Guitar - Turner Stephen Bruton, Martin Goldenberg, John Hiatt, Richard Thompson
※ Acoustic Guitar - Turner Stephen Bruton, Mark Goldenberg, Scott Thurston
※ Electric Guitar - Robben Ford, Randy Jacobs, Johnny Lee Schell, Billy Vera, Scott Thurston
※ Bass - James "Hutch" Hutchinson
※ Drums - Curt Bisquera, Tony Braunagel, Ricky Fataar, Jeff Porcaro
※ Percussion - Tony Braunagel, Deborah Dobkin, Ricky Fataar
※ Timbales - Tony Braunagel
※ Conga - Paulinho Da Costa
※ Piano - Bruce Hornsby, Benmont Tench
※ Keyboard - Bruce Hornsby, Ivan Neville, Michael Ruff, Scott Thurston
※ Hammond Organ - Ian McLagan, Benmont Tench
※ Accordion - Steve Conn
※ Tenor Saxophone - Emilio Castillo, Steve Grove
※ Baritone Saxophone - Stephen "Doc" Kupka
※ Cello - Ernest Ehrhardt, Larry Corbett, Dennis Karmazyn
※ Viola - Carole Castillo, Rick Gerding, Pamela Goldsmith, Novi
※ Trumpet - Lee Thornburg
※ horns - Tower of Power
※ whistle - John & Phil Cunningham
※ Harmonica - Delbert McClinton
※ Bagpipes - Aaron Shaw
※ Vocals - John Hiatt, Johnny Lee Schell, Delbert McClinton
※ Background Vocals - Sweet Pea Atkinsonm, Sir Harry Bowens, Paul Brady, Glen Clark, Turner Stephen Bruton, Kris Kristofferson, David Lasley, Arnold McCuller, Larry John McNally, Daniel Timms

「Nick of Time」で一躍日の当る場所に躍り出た彼女は続く「Luck of the Draw」「Longing in Their Hearts」でも大ヒットを記録。1998年の「Fundamental」から「Silver Lining」「Souls Alike」当りでは勢いが無くなるが、2000年にロックの殿堂入りを果たしているのだから、もう商業的なセールスを気にせずに自由きままに音楽活動をすきなだけ自分のペースで行なう事が出来る様になったのが現在のボニー・レイット。思えばシェリル・クロウがデビューを飾ったのが1993年。1990年代以降の女性ロッカーの台頭を語る際に必ず語られる存在がシェリル・クロウなのだが、シェリル・クロウより先にボニー・レイットが「Nick of Time」「Luck of the Draw」といったアルバムでブルースなどのルーツ・サウンドにアダルト・コンテンポラリーなエキスを巧く融合させて現代風のアダルトなルーツ・ロックを構築させた功績は無視できまい。勿論昔ながらの ボニー・レイットのサウンドを知る人からは近年のアダルト・コンテンポラリーに接近し過ぎたサウンドは評価出来ないだろうがね。

「Luck of the Draw」。1991年作。1990年9月から1991年2月にかけて録音され、1991年6月に発表。プロデューサーは前作に引き続きドン・ウォズ。チャートこそ最高2位止まりだったが、売り上げは前作を上回るセールスを記録。3部門でグラミー賞を獲得した前作に続いてまたしてもグラミー賞を3部門で受賞した。所謂ブルース・ロックにカテゴライズされる作品だが、1960年代や1970年代の泥臭いブルース・ロックと混合されるなかれ。今から既に18年も前の作品だが、既に煌びやかな1980年代も終わり、クラシック・ロックやルーツ・ロックに対する再評価の気運が上り始める1990年に入っていた事もあって、アダルト・コンテンポラリーなエキスを内包したロックが当り前のジャンルとして受け入られる西暦21世紀の今の自分が聴き返しても充分過ぎる位鑑賞に耐えうる音楽である事は保証しよう。今のエリック・クラプトンが好きな人なら充分にお奨め出来ると思う。

個別の曲にも簡単に触れてみる。「Something to Talk About」はカナダのSSW、Shirley Eikhardの曲。ボニー・レイットが取り上げた事で一躍知名度がアップしたと言われるSSWだが、実際にはカナダでは母国のジュノー賞を数回受賞するなど、既にカナダでは著名な人物だった。曲はレイドバックした実にのびのびとした安心感溢れる演奏が繰り広げられている。「Good Man, Good Woman」はテキサス・ブルース・ロック界隈のデルバート・マクリントンとのデュエット。1990年代以降よくみられるアダルト・コンテンポラリーなエキスを内包したブルース・ロック。コアなブルース・マニアはこういう曲認めないだろうけどね。「I Can't Make You Love Me」は全米最高18位を記録したスマッシュ・ヒット曲。曲はしっとりとした落ち着いたバラード・ナンバー。デビューしたばかりの20代の頃では決して歌えなかったであろう大人の雰囲気たっぷりな曲でもある。プレス受けは良かったものの市場ではさっぱりだった10数年間の苦労が決して無駄ではなかったと言える堂々の歌いっぷりだ。

「Tangled and Dark」はファンク調のギターとリズムが眩しい佳作。「Come to Me」はレゲエ・タッチの軽やかなナンバー。こうしたタイプの曲でも違和感なく演奏してみせる姿勢は流石大人の演奏家。そしてドン・ウォズの手腕と言える。エレクトリック・ギターはシェリル・クロウ調、というよりはローリング・ストーンズ調。「No Business」は本作にも参加した1952年インディアナポリス生まれのジョン・ハイアットの曲。ジョン・ハイアットもボニー・レイット同様、1970年代前半にデビューしながらも商業的な成功を収められずに苦労した人でボニー・レイット同様、1980年代後半にレーベル移籍(こちらはA&M)してから日の目の当る場所に出てきた人だ。そんな経歴を意識してか知らずか、彼女はまるで自作の曲の如く、堂々と歌い上げる。実に気持ちの良いブルース・ロック・ナンバーだ。「One Part Be My Lover」は「I Can't Make You Love Me」と同様のバラード・ソング。ライオネル・リッチーのバラードを彷彿とさせる、所謂典型的なアメリカン・バラード。

「"Not the Only One」は アイルランドのSSW、ポール・ブレイディの曲。1980年代風の軽やかで爽やかなAOR風の耳に心地良いアレンジ。何処と無くクリスティン・マクヴィー=フリートウッド・マックを彷彿とさせる部分もある。「Papa Come Quick (Jody and Chico)」はルイジアナの南西部の伝統的なフォーク音楽を基盤とした楽しい音楽だ。「Slow Ride」はタイトなリズムが1980年代サウンドの名残りを感じさせる重厚なナンバー。「Luck of the Draw」はアルバムのタイトル曲でこれもポール・ブレイディの曲。アイルランド人の作った曲だがアレンジがいかにもアメリカというか、大陸的なアレンジであるが故、ケルト音楽色は余り感じられない。「All at Once」はアルバムのエンディング曲。これも「One Part Be My Lover」「I Can't Make You Love Me」と同様のバラード・ソング。アメリカ人が作るアメリカ人の為の音楽だから、エレガントでアダルトな雰囲気たっぷりな、こうした曲が挿入されるのも仕方ないのかな。

Bonnie Raitt - Official Site

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