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#1370 Golem / Orion Awakes (1978/1979) ?

 2010-12-25
1. Orion Awakes
2. Stellar Launch
3. Godhead Dance
a) Signal
b) Noise
c) Rebirth
4. Jupiter & Beyond
5. The Returning

ORION AWAKES

”私のこの1枚”で取り上げようかどうか、非常に迷った1枚。アーティストの名前はゴーレム(Golem)。彼等が世に残した作品は「Orion Awakes」というサイケデリック・ロック・アルバム1枚きり。一応、1973年作品となってはいるが、実態は不明で実際には1970年代の異なる時期に録音された音源をコンパイルした、アーカイヴ物的な性格を持つ作品かもしれない。なにせこのバンド、本当にごく最近になってようやく知られる様になったバンドで、出はドイツはケルン出身なんだが、ジャーマン・ロックを専門的に扱う本や冊子でも、ちょいと前に発売された様な物なら紹介はものの見事なまでにスルーされている可能性もある。ご承知の様にサイケデリック・ロックと言えば1960年代の後半に流行した米国発のロックの一ジャンルのこと。ブームとしてのピークは1960年代の中~後期なんだが、1970年代に入ってもしつこくサイケデリック・ロック・サウンドを追求し続けたバンドの存在も少なくはなかった。

後にモーターヘッドを結成する事になるレミー・キルミスターがかつて在籍していたホークウインドなんかはその典型的な例。デビュー作品が1970年だから、ブームとしては遅れてきたサイケデリック・ロック・バンドという事になる。SF作家の作品からの影響も色濃いバンドであったが故、独特の浮遊感を持つ彼等の音楽は時としてスペース・ロックなんて言い方もされる。他にもフランスのゴング(1969年デビュー)、日本でも1970年代にはフラワー・トラベリン・バンドやJ・A・シーザー、1990年代以降でもゆらゆら帝国やアシッド・マザーズ・テンプルといったバンドが精力的な音楽活動を展開している。サイケデリック・ロック、イコール、1960年代の音楽と即座に連想する団塊の世代やポスト団塊の世代の方からすれば、1970年代のサイケデリック・ロック・バンドとか、1980年代、1990年代、最新のサイケデリック・ロック・バンドとかいう言い方には多少なりとも違和感を感じておられるかもしれません。
ちなみにゴーレム(Golem)とはユダヤ教の伝承に登場する動く泥人形のこと。ヘブライ語で「胎児」という意味があるそうだ。戦前から小説や映画の題材として使われる有名なキャラクターで、近年ではゲーム(特にRPG)の中でも結構頻繁に登場する有名なキャラクターでもある。ロックの世界でも、この名前はバンド名としても比較的よく利用されてきた。1990年代以降に限っても、アメリカやフランス、イタリア、ブラジル、デンマークなどの国で、この名前を名乗っていた(いる)例がある。今回紹介するゴーレムは1970年代に存在したサイケデリック・ロック・バンドなのだが、ドイツ国内には彼等以外にもゴーレムと名乗ったバンドが存在する。1989年に結成、1990年代に「Eternity: The Weeping Horizons」「The 2nd Moon」といったアルバムを発表したデス・メタル・バンド、更に2004年に「Homesick Songs」といったアルバムを発表した同名のバンドも存在する。神話や民間伝承に登場する神秘的なキャラクターって、いつの時代でも若者の心を虜にするもんだ。

今回のゴーレムだが、メンバーはウィリ・ベルグホッフ(Willi Berghoff)、マンフレッド・ホフ(Manfred Hof)、マンゴ(Mungo)、ヨアキム・ボーネ(Joachim Bohne)の4人編成。収録されている曲の録音時期が異なっているからなのか、ロルフ・フェラー(Rolf Föller)という名のギタリストが参加している曲もある。1970年代に存在した?、独ノルトライン・ヴェストファーレン州ケルンに存在したピラミッド(Pyramid)というレーベルから1970年代当時、100枚限定の自主制作盤として発表された物のようだ。上記でも書いた様に、1973年に発表された、とも言われているのだが、本アルバムのレーベル番号は”PYR 015”。同レーベルの Galactic Explorers「Epitaph for Venus」(PYR 005)が1972年、Cozmic Corridors「Cozmic Corridors」(PYR 009)が1972年、The Nazgûl「The Nazgûl」(PYR 008)が1976年という事のようだから、”PYR 015”のレコードは恐らく1970年代後半(1978年か1979年)に発売されたのではないかと推察する。 

実際、本作に収録されている曲は1970年代の異なる時期に録音されているみたい。で、CDが最初に登場したのは1996年。Psi-Fi という英レーベルから発売された。同レーベルはピラミッド・レーベル作品を復刻する為に存在していた様な会社で、ゴーレム以外にも Cozmic Corridors、Galactic Explorers、Pyramid、Temple、The Nazgûl といったバンド(アーティスト)のピラミッド作品を1996年から1998年にかけて発売している。1996年には他にもヴァージン・レーベルから「Unknown Deutschland - The Krautrock Archive Volume 1」「Unknown Deutschland - The Krautrock Archive Volume 2」「Unknown Deutschland - The Krautrock Archive Volume 3」というCDコンピが登場しているが、このコンピにもゴーレムら、ピラミット系アーティストの曲が収録されている。だから、まあ、熱心なジャーマン・ロック・ファンに知られる様になった起点となる年が1996年と言ってもいいと思う。

■ Willi Berghoff - Guitars
■ Mungo - Bass
■ Joachim Bohne - Drums
■ Manfred Hof - Organ, Mellotron, Synthesizers

■ Rolf Föller - Guitar

2度目のCD化は2009年(2010年?)。1960年代から1970年代を通じたサイケデリック・ロック系列の隠れた作品の復刻を得意とする米レーベル、Lion Productions(2001年設立)から。同レーベルは Acme Records(1994年に Gary Ramon より設立された)系列だが、この Acme はかつてのPsi-Fi を傘下としていたレーベルでもあったというから、ピラミット系アーティストの音源は現在は Acme Records で管理されているのだろう。まあ、いずれにせよ、今も昔も以前として世間の認知度は限り無くゼロに等しいバンドといってもいいかもしれない。では作品の方にも触れてみる。プログレシッヴ・ロック全盛の時代、あるいはKosmische Musik や Ohr、Pilz、Brain Records といったレーベルが華やかだったコズミック・ミュージック全盛の時代、はたまたニュー・ウェーヴやポスト・パンク全盛の時代、一体どの時代の録音だったのか、最新のリマスター処理を施された後だと皆目見当もつかないのだけれども。

「Orion Awakes」はアルバムのタイトル曲。恐らく1970年代前半の、コズミック・ミュージック華やかな時代の音源と思われるドローン系サイケデリック・サウンド。これぞまさしく1970年代初期のジャーマン・ロック・サウンド。あの時代のどんよりとしたドロドロとしたアングラ臭たっぷりな根暗サウンドが好きな人なら喜ばれる事必至。だが一方、どこか1970年代後半のインダストリアル・ミュージックの匂いも感じられる。それもその筈、新たなリマスター処理の為に元スロッビング・グリッスル~サイキックTVのジェネシス・P・オリッジが呼ばれてプロデュースを受け持っているからだ(オリジナルのプロデュースはウィリ・ベルグホッフ&マンゴ)。そんな訳で本CDを評価する際にはジェネシス・P・オリッジの好みが多かれ少なかれ注入されている事も理解した上で聴いた方がよかろう。勿論ベースとなっているのは1970年代初期のジャーマン・ロックが持っていた、アシッドでサタニックな危ないフィーリング。この点も忘れてはならない。

「Stellar Launch」も同様。これもまた、エコーやワウを効かせた1970年代のジャーマン・ロックによくありがちだったノイジーなサイケデリック・ヘヴィ・サウンド。ジミ・ヘンドリックスを思わせる(今となっては懐かしい)歪んだギター、暗黒の彼方に引き摺りこまれそうな骨太なリズム・セクション、何処をどう切ってもその筋のヘヴィ・マニアを唸らせるサウンド。「Godhead Dance」は3部に分かれた組曲形式のドラッグ・サウンド。混沌という言葉がこれほど似合う音楽もなかろう。本来のオリジナル・マスターからの音源はきっとそれ程いい音質でなかった筈だが、最新のリマスター処理&新装プロデュースのお陰で、最近サイケデリック・ロックを聴き始めた様な世代の人にも受け入られそうな感覚もインプットされている。良好。「Jupiter & Beyond」は14分を越える大作。これまでの曲と異なり、ビートを効かせたアップテンポな演奏が披露されている。これがまず導入部。3分過ぎからは1970年代後半のインダストリアル・ミュージックを彷彿とさせるアレンジ。

中間部から後半にかけては、初期ピンク・フロイドを思わせる澱んだサウンド。1960年代の後半から1970年代初頭にかけて、この手のサイケデリック・サウンドを演奏しようと考えた連中に対するピンク・フロイドからの影響はやはりここでも絶大。「The Returning」はアルバムのエンディング。これなんかまるっきりインダストリアル・ミュージックというかポスト・パンク。個人的な感想でなんだが、なんかワイヤーみたいな音楽だ。この曲のオリジナル録音は間違いなく1970年代後半であると思われる。これで本編はお終い。ボーナス・トラックも無し。恐らくは最新のCD化に際して多分かなり大胆な処理が施されたと思われるので、本作品を1970年代ジャーマン・サイケの隠れた名盤を評するのには少々抵抗があるが、買って損はない。ジャーマン・コズミック・サウンド、スペース・ロック、サイケデリック・ロック等々。そしてトリップ、アシッド、ドラッグ、サタニック、アンダーグランド、カオス、等々。本作を評するのに適切な言葉だが、こんな言葉群に触手を動かされる人なら間違いなくお奨め。

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