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#1371 Xaal / Seconde ère (1995)

 2010-12-27
01. Rah
02. Jamais Tranquille
03. Al Abad
04. Piège
05. Force

Xaal Seconde Ere

今回もまた紹介するのに弱り果てた。今回の主役バンドの名前はXaal。Xaal? Xaal と書いてなんと読む? インターネットでいろいろ調べてみたが、なんだかよく判らない。不確かかもしれないが、この言葉はどうやらシベリアに住むテュルク系民族であるサハ人(ヤクート人)の言語、サハ語(ヤクート語)の一種か(違うか?)。意味や読みは、、、、いや、やはりよく判らない。バンド名や1970年代初期のユーロ・ロック系(特にドイツ)を連想させるジャケット・ワークからして、なんだか1970年代のロック・バンドのようだが、彼等は1990年代前半に存在した、レッキとしたプログレッシヴ・ロック・バンド。出はフランス。どんな音楽のバンドかと言うと、俗に言う所のズール(Zeuhl)系と呼ばれる類の音楽。ちなみにこの言葉はフランスのジャズ・ロック/プログレッシヴ・ロック・バンドのリーダー、クリスチャン・ヴァンデが生み出したコバイア語(Kobaïan)で意味は”天”。マグマのデビュー時に歌詞として用意されたのがコバイア語だ。

アクの強い個性的なサウンドを得意としたマグマは1970年代以降のフランスのロック界における奇異な存在として、その地位を不動の物としていったのだが、その個性的で神秘的なサウンドをいつしかズール・サウンドと呼ぶ様になった。だから、ズール系と言えばマグマの様なジャズ・ロック/プログレッシヴ・ロック系サウンドの事を指すのが一般的。プログレッシヴ・ロック、ジャズ・ロック、RIO、エクスペリメンタル&アヴァンギャルド・ロック、アート・ロック、ロック・オペラ、プログレッシヴ・ロック、シンフォニック・ロックといったジャンルの音楽が混在したスタイルのロック・サウンドと思えばいい。代表的なバンドに勿論マグマ、そしてザオ、アール・ゾイド、ユニヴェル・ゼロ、ガポ、ヴィドルジェ、Dün、エスカトン、Cortex、シュブ・ニグラス、ジャン・フィリップ・グードら。日本でも吉田達也率いる高円寺百景やルインズがこのジャンルの範疇に入る。エクスペリメンタル・ロックやRIO、アヴァン・ロックといったジャンルの音楽と深い接点を持つサウンド・スタイルと思ってくれればいい。
このバンドの基本となるのは Jad Ayache(ギター)、Nicolas Neimer(ベース)、Patrick Boileau(ドラムス)の3人。所謂ロック・トリオ。1991年が結成時期とよく言われているバンドだが、実際には1980年代の後半。未発表だが、1980年代末の音源も残されていて、正規版かどうかは知らないが、「Piège」(1989年)という5曲入り未発表アルバムが残されている模様。これ以前にも音源が残されていて、「Recording Sessions #1」(1988年)、「Recording Sessions #2」(1989年)という作品も存在する模様。自主制作、というか自主制作にすらならなかった類のアーカイヴ音源集のようだ。入手するのは難しいかもしれないが、Xaal というバンドはズール系サウンドをこよなく愛する人から愛されるケースも多い様なので、コレクター諸氏の方々は是非みつけて欲しい。1990年にはカセット作品集「Xaal」を発表。正規契約を結ぶレコード会社もみつからずにカセット音源の提供。一般的に知られている彼等の(正式)デビュー作品はこの後の1991年だ。

「On The Way (En Chemin)」(若しくは「Xaal」というタイトル)という作品がそれ。前年に発表されたカセット作品集のCD版というべき内容だが、収録曲目数など微妙に違う。CDの提供先は Progressive Records(ちなみに同レーベルはこの時期に Visible Wind「A Moment Beyond Time」、Edith「A Space Between Ever and Never」といった作品を提供)。これとは別に別カバーによる新装版「En Chemin」も登場した。録音は Booster' studios。制作には上記の3人の他、Laurent Imperato(ギター)、Stéphane Jaoui(キーボード)も参加。マグマ・ファミリー、ヴィドルジェの Alain Guillard、Yvon Guillard の参加もある。プロデュースは Eric Salmon。次のアルバムは1995年。この間、音楽活動を展開していなかったのか、といえばそうではなくて、これもまたブート音源ではあるが、「Theatre Dunois」(1991年)、「Paris au théâtre Trévise」(1993年)といった音源の存在が確認されている。まあ、本当に苦労続きのバンドである。

■ Patrick Boileau - Drums, Synthesizers
■ Jad Ayache - Guitar, Synthesizers
■ Nicolas Neimer - Fretless Bass
■ Alex Ferrand - Saxophone
■ Nicolas Genèt - Trumpet

この後、ようやく登場する今回の主役「Seconde ère」。1995年作。1990年代の作品とは思えない、なんとなく1970年代のプログレを思わせるジャケット・アートだが、飛び出す音楽の方もやはり1970年代風。録音には上記のギター、ベース、ドラムスの他、サックス奏者やトランペット奏者が参加。オリジナル・メンバーの一人、ベーシストの Nicolas Neimer はなんとフレットレス・ベースの演奏まで披露してくれる。この楽器の使い手のしてはジャコ・パストリアスの存在が有名で、ロック系では元ジャパンのミック・カーン、元ポリスのスティング、ブルー・マーダーのマルコ・メンドーサ、トニー・フランクリンといった存在が知られているが、プログレッシヴ・ロックの住人ならトニー・レヴィンの存在は外せない。ブランドXでの活動などで知られているパーシー・ジョーンズの名前も外せないが、1980年代にプログレッシヴ・ロックの洗礼を受けた人なら、やはりトニー・レヴィンの存在は別格だ。

キング・クリムゾンの存在は彼等にとっても別格だったという事なのだろう。そんな彼等の思いが詰まった作品が「Seconde ère」。収録は全部で5曲。既にCDの時代に突入していたにも関わらず、収録時間は38分程度。こんな所からも、彼等の頭が1970年代、アナログ・レコードの時代の感覚のまんまだった事が判る。録音は1994年。プロデュースは Xaal。専属ヴォーカリストを置かないインストゥルメンタル・バンドだが、本作でもその方針は徹底されており、ヴォーカル・パートは存在しない。簡単だが曲の方にも触れてみる。冒頭「Rah」は9分程度の楽曲。1990年代という時代を感じさせない、いかにも、といった感じの1970年代プログレ風の思わせぶりなイントロ。重苦しい重厚なサウンドから連想するのは、やっぱりキング・クリムゾン。はたまた分厚く呪術的なリズムはマグマ的というべきか。こんな感じでヘヴィなリズムが中盤まで続くのだから、この手のサウンドが好きな人ならたまらない。

ただ、曲の構成自体にそれほど複雑さは感じない。1970年代の暗黒系プログレを表面的にコピーしてみました、程度の緻密さだ。演奏技量は(結成から本作を発表するまでの間に時間が経過している事もあってか)かなり非凡な物を持っていると感じさせるものがあるだけに残念だ。続く「Jamais Tranquille」は6分弱程度の楽曲。前曲とは空気が一転する、初期ジェネシス風の田園プログレ。だが、これも途中までで、中~後半からやはりここでもメタル・キング・クリムゾン風のアプローチ。暗黒系チェンバー・ロック/RIOのユニヴェル・ゼロやプレザン当りとの対比も面白い。「Al Abad」は10分越えの大作。本作品中の聴き所の一つ。エキゾなオリエンタル調の静かなイントロから曲は始まる。その後、これまでの曲では目立たなかった木管楽器(サックス)が登場する。導入部分のイメージを壊さないジャズ・ロック風の演奏が展開される。さっきまでの展開がメタル・キング・クリムゾン風なら、こちらはメル・コリンズ在籍時の初期キング・クリムゾン風。

「Piège」は1989年の未発表音源にも、その存在が確認されている7分に満たない楽曲。1980年代後半当時の結成当初からステージなどで演奏してきた楽曲であるだけに、落ち着いた完成度の高い演奏が披露されている。硬質な演奏は1990年代以降のプログレッシヴ・ロック・バンドらしい展開。中盤以降は彼等のテクニカルな側面も披露されているが、プログレッシヴ・ロックらしい演奏というよりは、どちらかと言うとフュージョン・グループみたいなアプローチだ。「Force」はアルバムのエンディングを飾るテクニカル・ロック。冒頭のメタル・キング・クリムゾン風な演奏やマグマ風のアレンジは何処へやら、の清々しいジャズ・ロック。草木も眠る丑三ツ刻から演奏を始めて気がついたら、お日様真っ盛りの昼間になっていた、といった感じの展開。こんな感じで、まあ及第点以上のアルバムを制作した彼等だったが、プログレ再評価の気運が盛り上がった1990年代の音楽シーンでも彼等の活躍の場はこれ以上存在しなかった模様である。

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