#1413 Ellen McIlwaine / Everybody Needs It (1982) + The Real Ellen McIlwaine (1975) (1995)

 2011-05-08
「Everybody Needs It (1982)」
01. I Want Watcha Got (Boston Song)
02. Say A Single Word
03. Everybody Needs It
04. Come Sit Down And Tell Me
05. Danger Zone
06. Nothing Left To Be Desired
07. Regretting Blues
08. Hang On To A Dream
09. Cure My Blues
10. Keep On

「The Real Ellen McIlwaine (1975)」

11. Higher Ground 【YouTube】
12. Lazy Day
13. He The Richmond
14. Up In Heaven Shouting/ I Am So Glad
15. Blueberry Hill
16. The Secret In This Lady's Heart
17. Virginia Creeper
18. Thirty-Piece Band
19. Crawling Kingsnake
20. Down So Low
21. Let's Go Down To The Ocean
22. Born Under A Bad Sign 【YouTube】
23. Let Me Be

Everybody Needs It (1982) + The Real Ellen McIlwaine

前回紹介した、アメリカ生まれで日本育ち、そして現在カナダ在住のSSW、エレン・マキルウェイン(Ellen McIlwaine)の続編。前回は彼女が1960年代末に唯一バンド名義で発表したフィア・イトセルフの「Fear Itself」(1969年)を発表したが、彼女の評価が高まるのは1970年代以降のソロ活動以降。いや、高まると言っても、それはマニアックな場面での話であり、今もってメジャーな舞台では彼女の名前はマイナーな存在でしかないだろう。近年、彼女のソロ時代の作品がフリー・ソウルやグルーヴといったキーワードにひっかかって好き者の間でなんだか高評価される様になってきたらしいのだが、ソロ時代の作品がCDできちんと再発された形跡は殆ど存在しない。一部の作品が(私の嫌いなフォーマットであるが)2in1 といった形式で再発されている位だ。だからまあ、彼女の実力が正当に評価される余地はまだまだあるという訳だ。今回紹介するCDはその(私の嫌いな)2in1 のひとつなんだけど。

復習の意味で再度書いておく。男勝りの力感溢れるヴォーカルとギター演奏が真骨頂の才女、エレン・マキルウェインは1945年、米テネシー州ナッシュヴィル生まれ。南長老教会の牧師(教師?)だった父親の都合により家族揃って2歳の時になんと我が日本(神戸)に移り住む。エレン・マキルウェインは2歳から多感な少女時代であった17歳まで日本で生活を送るのだが、その日本在住時代にラジオから流れてきたR&Bやブルースなどの黒人音楽に感化され、帰国後の1960年代半ば以降、ギターを手に取ってプロの世界に足を踏み込んで行く。当初はテキサス、そしてアトランタからNY、そして再度アトランタに舞い戻ってフィア・イトセルフ(Fear Itself)という当時の時流に沿ったサイケなブルース・ロック・バンドを1967年に結成して1968年にNYで録音を敢行、そして1969年にアルバム「Fear Itself」を発表する。前回の記事はここまでだった。今回はそれ以降に触れておく。フィア・イトセルフとしての活動は僅かアルバム1枚限り。アルバムを吹き込んだ後、彼女はウッドストック界隈を根城としてソロ活動を開始する。
ソロ歌手として彼女は大手ポリドールと契約、1972年に待望のソロ作品「Honky Tonk Angel」を発表する。ファンキー・フォーク、ジャズ、フリー・ソウル系のファンに密かに愛される隠れた名盤だそうだが、私は今持って持ってはいません。一部の収録曲は YouTube で聴く事も出来るがなる程確かに、これはいいかも、といった良質な曲が揃っている模様。翌1973年には前作の出来栄えを更に上回る「We the People」を発表する。歌手やソングライターとしての実力は勿論の事、彼女自身が演奏するスライド・ギターの演奏も圧巻。ちなみに当時のポリドールにはエリック・クラプトン、ロリー・ギャラガー、ロイ・ブキャナンといった実力派のギタリストが在籍していた。1974年には彼らの曲に加え、エレン・マキルウェインの曲をも含めた「The Guitar Album」というオムニバス・アルバムがポリドールから発表されている。1975年、今度はカナダはモントリオールに移って、そして Kot'ai という地元のレーベルに「The Real Ellen McIlwaine」というアルバムを吹き込む。

この作品は Ville Emard Blues Band というケベックのバンドをバックに従えて吹き込んだアルバムで、彼女が敬愛するジミ・ヘンドリックスに捧げられたアルバムだったそうだ。このカナダ録音の本作は A2IM(American Association of Independent Music)主催による NAIRD(National Association of Independent Record Distributors)で賞を受賞。後に彼女がカナダを拠点として活動を開始する下地となる。1976年には再びアトランタに舞い戻って新たなマネージャー、新たなレーベルと共に音楽人生を再出発させたのだが、周囲が彼女に望んだのはルーツ色豊かなサウンドではなく、当時の時流であるディスコやフュージョンもどきのサウンドをベースにした音楽だった。1978年、通算4作目となる「Ellen McIlwaine」(United Artists)を発表。彼女自身、この1970年代後半という時代は自分にとっては最低の時代だったと後で述べている様だが、AOR路線の音楽も悪くない。私は YouTube で収録曲の「You May Be All I Need」を聴いたが、AORやソフト&メロウな音楽を好む人には受けそうな要素がある。なにより彼女の歌にはソウルがある。

1982年からはコネチカット州に移り住んで、今度はシカゴ録音による新作「Everybody Needs It」を制作。ヴォーカルとギターは彼女自身。ベースに元クリームのジャック・ブルース。ドラムスに地元シカゴ出身のポール・ワーティコら。サウンドは前作とはうってかわってのルーツ色豊な泥臭い音楽。勿論彼女のスライド・ギターも炸裂している。1984年にはオーストラリアにてコンサートを敢行、更に1987年になると今度はカナダはオンタリオ州トロント に移り住んで「Looking for Trouble」を Stony Plain Recording Company から発表(CD化は1993年)。1992年からはアルバータ州カルガリーに移り住んで現在も当地を根城としている模様。この後の状況であるが、1998年にライヴ盤「Women in [E] Motion」を、2000年には「Spontaneous Combustion」、2002年にはライヴ盤「Live at Yellow」を、2006年には Cassius Khan との共作の形で「Mystic Bridge」という作品を発表している。股関節を痛めているせいで、近年は椅子に座った状態でないとギター演奏が出来ないようだが、それでも今でも現役として頑張っている模様。

ポリドール・イヤーズLooking for Trouble (1987)Women in [E] Motion (1998)Spontaneous Combustion (2000)Mystic Bridge (2006)

「Everybody Needs It」(1982年)
■ Ellen McIlwaine - Vocals, Guitar, Piano, Arranged
■ Jack Bruce - Bass, Background Vocals, Arranged
■ Paul Wertico - Drums, Arranged
■ Jeff Thomas - Drums
■ Howard Levy - Piano, Hammond B 3 Organ, Arranged
■ Kim Cusack - Clarinet
■ Larry McCabe - Trombone

「The Real Ellen McIlwaine」(1975年)
■ Ellen McIlwaine - Vocals, Guitar, Keyboards, First & Second Voices
■ Bill Gagnon - Bass, Old Men's Voice
■ Christian St. Roch - Drums, Flute, Bridge Harmony
■ Marcel Huot - Drums
■ Michel Seguin - Drums, Old Men's Voice
■ Lance Nagle -Tuba

さて、本作は1975年の「The Real Ellen McIlwaine」と1982年の「Everybody Needs It」を無理やりカップリングにした2in1CD。1995年製。但し、収録時間の都合で全曲収録されていない。この間に1978年の「Ellen McIlwaine」があるが、ソフト&メロウな「Ellen McIlwaine」は彼女自身納得して作ったものではない、という事で飛ばされている。しかも時間軸を無視して先に1982年のアルバムを、そして後半に1975年のアルバムを収録している。「Everybody Needs It」はオリジナル収録11曲の内、B面5曲目の「Temptation Took Control」が、「The Real Ellen McIlwaine」ではオリジナル収録14曲の内、B面2曲目の「Tennessee Ridgerunner」がそれぞれカットされている。日本人はこういうの、嫌いなんだよな。彼女の音楽には魅力がたんまりつまっているので、是非、何処かの復刻レーベルがオリジナルに沿った形で復刻して欲しい。初期のポリドール作品も「Up From the Skies: The Polydor Years」というCDで聴く事が出来るが、このCD自体も既に入手は難しいしね。

時間軸は狂っているが、簡単に個別の曲にも触れてみる。まずは「Everybody Needs It」から。「I Want Watcha Got (Boston Song)」は彼女のボトルネックが炸裂する泥臭い楽曲。私はこういう音楽が作りたかったのよ、という彼女の当時のストレスが発散された様な曲。「Say A Single Word」はうって変わっての、ピアノをバックにしたバラード・ソング。「Everybody Needs It」はまるでエルトン・ジョン風のタイトル・ソング。「Come Sit Down And Tell Me」では再び男勝りの彼女のスライドが炸裂。「Danger Zone」はパーシー・メイフィールドのカバー。「Nothing Left To Be Desired」はクールな都会派ファンク系サウンドの第一人者ジョニー"ギター"ワトソンのカバー。「Regretting Blues」はジャック・ブルースの曲。「Hang On To A Dream」はティム・ハーディンのカバー。陰湿な雰囲気が感じられるバラードだ。「Cure My Blues」はアラン・トゥーサン&ミーターズが手がけたブロウニング・ブライアントの1974年のブルー=アイド・ソウル作品のカバー。「Keep On」はエレン自身の手によるソウルフルなナンバー。

11曲目からが1975年作品「The Real Ellen McIlwaine」から。前半収録曲とは7年の隔たりがあるが、曲のアレンジやサウンドは兄弟作品といってもいい位、似通っている。「Higher Ground」は彼女のファンクじみたスライドが炸裂するナンバー。「Lazy Day」はアコースティックな雰囲気がたっぷり、陽気でブルージーなボトルネック・ナンバー。「He The Richmond」はジャック・ブルース&ピート・ブラウン曲。カントリー&ブルージーな雰囲気が嬉しいね。続くはアカペラの「Up In Heaven Shouting/ I Am So Glad」。原曲は知らないが、賛美歌か何かだろうか。「Blueberry Hill」はファッツ・ドミノやルイ・アームストロングの演奏で知られる歌。楽しそうだ。「The Secret In This Lady's Heart」は彼女の自作曲。酔いどれナンバー「Virginia Creeper」の後は彼女の自作曲「Thirty-Piece Band」。ブルース・セッションそのままアルバムにしてしまった感じの曲だ。「Crawling Kingsnake」はジョン・リー・フッカーの曲。こうした曲が本当に好きだったんだろうな。「Down So Low」はトレイシー・ネルソンの曲。「Let's Go Down To The Ocean」は彼女の自作曲。

「Born Under A Bad Sign」はフィア・イトセルフ時代にも取り上げたアルバート・キングの代表曲。ポリドール時代のファンキー・フォーク路線を彷彿とさせるご機嫌なグルーヴ・ナンバー。彼女にとっては2度目のカバーだがアレンジ面におけるオリジナルティという点では本作でのカバーが遙かに上だろう。「Let Me Be」はエンディング曲。彼女の自作曲。米南部色豊かなゴスペル・スワンプ・ロック。黒人ハーモニー風のバック・コーラスも彼女自身の多重録音。これでお終い。1975年と1982年の2枚のアルバムが鑑賞出来る2in1CDだが、アルバムの完成度という点では、ブルース・セッションをそのまま収録してしまった様な1975年作品の「The Real Ellen McIlwaine」よりも1982年の「Everybody Needs It」の方が上だろうが、タイトルが示す様に、リアルの、つまり素のエレン・マキルウェインの魅力が封じ込められた1975年作品も悪くない。一流の音楽家としての”マジック”を持っていたエレン・マキルウェインだったが、商業的な成功という意味では必ずしも音楽人生が成功だったとは言えないが、そんな表面的な事なんか関係なく音楽を聴く事の出来る人にはお勧め出来よう。

Welcome to the Website of Ellen McIlwaine

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