#1416 Orang-Utan / Orang-Utan (1971)

 2011-07-13
1. I Can See Inside Your Head
2. Slipping Away
3. Love Queen
4. Chocolate Piano {YouTube}
5. If You Leave
6. Fly Me High
7. Country Hike
8. Magic Playground

Orang-Utan

マレー語で「森の住人」という名を持つオランウータン。東南アジアのスマトラ島とボルネオ島の熱帯雨林に生息する哺乳綱霊長目ヒト科オランウータン属の構成種の総称である。Wikipedia によれば、オランウータンのメスの体長は約127cm、体重は約45kgであるのに対してオスは約175cm、体重は約118kgに達する。堂々たる体格だ。体格で例えるならミドル級からヘビー級にかけての格闘技選手クラスといった所だろうか。オランウータンのオスにはフランジ(Flange)と呼ばれる顔のでっぱりがあるのが外見上の最大の特徴なのだが、群れの中でボスではない弱いオスにはこのフランジが成長しないケースもあるそうである。見た目(特にオランウータンの子供)の愛らしい動物なので、なんだか弱々しい動物の様に錯覚してしまうが、実はオランウータンを含め、サルという動物はとても怪力だ。かつて「人間発電所」と呼ばれたプロレスラーのブルーノ・サンマルチノが余興で試合を行ったが逃げまわったという逸話もあるそうだ。

残念ながらオランウータンは違法伐採や農地開拓などによる生息地の減少、そして違法な密猟や密輸などによる影響により絶滅の危機に瀕しているそうです。詳しくはその手の動物愛護団体のサイトなどをご参照に。さて、今回紹介するバンドは「森の住人」を名乗ってしまったイギリス出身のロック・バンドである。若者向けの音楽、長髪で大人達から眉をひそめられる存在であるロック・ミュージック(注;1970年代当時のごく真っ当な大人達のロック・ミュージックに対するステレオ・タイプな印象)、そしてその青少年向けの音楽を演奏する野郎共の名前がオランウータンという、なんともしまりのないショボイ名前である。しかもジャケットも思いきりダサい。上で紹介している画像が彼らの唯一作品「Orang-Utan」なんだが、猿つながりという所で、モンスター映画『キングコング』を彷彿とさせるイラストなんだが、(誰が描いたのかは知りませんが)なさけなくなる位低レベル。だがしかし、その実態は結構レベルの高いハード・ロックなんだから面白いもんだ。
結成は1970年で解散は1971年。ロック激動の時代に存在した、短命バンドのひとつ。出はイギリスだが、母国ではレコードを出す機会を得られぬまま消滅してしまった不幸なバンドの一つ。バンドのメンバーの一人、リード・ヴォーカリストの Terry "Nobby" Clark は1967年に英ケント州トンブリッジにて結成された Jason Crest というバンドのヴォーカルを担当していた男。Jason Crest は1960年代当時はフル・アルバムを発表する機会を得られなかったバンドだが、それでも1969年に解散するまでの間に「Turquoise Tandem Cycle / Good Life」「Juliano the Bull / Two by the Sea」「(Here We Go Round The) Lemon Tree / Patricia's Dream」「Place in the Sun / Black Mass」「Waterloo Road / Education」といったシングルを発表している。ちなみに現在、市場に存在する「The Black Mass」「Collected Works of Jason Crest」「Radio Sessions 1968-69」といった作品は当時のシングルやラジオ音源を網羅した発掘物。

Terry "Nobby" Clark 以外のメンバーは High Broom(1970年のシングル盤のみで解散)や Samuel Prody(1971年にセルフ・タイトルのアルバムを発表)へと続いていくが、Terry "Nobby" Clark はオランウータン結成へと走る事になる。メンバーは1948年英ロンドン出身のギタリストで、元 Killing Floor の Mick Clarke(後に Toe Fat ~ SALT ~ Mick Clarke Band)、ベースに Paul Roberts、ドラマーは後に Foundations、Pete Atkin Band、Carol Grimes Band、Isotope、Linda Lewis Band、Brand X、Pacific Eardrum、Pete Brown Band、Barbara Dickson Band などに在籍する事になる Jeff Seopardie(Jeffrey Jai Seopardie)。更にセカンド・ギタリストとして Sid Fairman という人物。ちなみに Mick Clarke と Jeff Seopardie の2人は当時 Freddie Mac's Extravaganza というバンドから流れてきたようだ。バンドは1970年にセルフ・タイトルによるアルバムを吹き込む。だが当時、アルバム発表に至るまで結構複雑な事情が存在したらしい。

■ Terry "Nobby" Clark - Lead Vocals
■ Mick Clarke - Guitar
■ Sid Fairman - Guitar
■ Paul Roberts - Bass
■ Jeff Seopardie - Drums

ちなみに Adrian Miller なる人物が米国でのアルバム発表に際してプロデューサーとして名乗り出たそうだが、(真偽の程は判らないが)その Adrian Miller なる人物がオランウータン側から録音済みのマテリアルをどうやら盗んだらしい。当時オランウータンは実はイギリスではハンター(Hunter、バンド名はアルバート・キングの歌から引用したらしい)と名乗っていたそうだが、Adrian Miller は米国でアルバムを発表する際に Orang-Utan と勝手に? 改名してしまったらしい(当時は Bell Records から)。だから当時、母国イギリスでアルバムを発表する事も出来なかった。CDは1998年に Lizard Records から、そして2005年には TRC Records 系列の Buy or Die Records からそれぞれ発売されているが、演奏者などは(2005年版のCDを見る限り)ノー・クレジット。記載がないのも上記で触れた様な理由があったかららしい。なのでCDがいくら売れてもメンバーにはロイヤルティがゼロ。悲しく、そして大変ふざけた話だが、本当の話のようだ。

個別の曲にも触れてみる。冒頭曲は「I Can see Inside Your Head」。B級臭たっぷり、とほほなアルバムのジャケット、そして(当人達には不本意な)ロック・バンドらしからぬバンド名からして、内容は一体どんなお粗末でC級な物が飛び出てくるのか、といったネガティヴな先入観を覆す様な、ヘヴィでブルージーなハード・ロックが飛び出してくる。イメージとしてはレッド・ツェッペリン風。メンバーは録音当時、20歳前後の若者達だったそうだが、デビュー作品にしては上出来のソリッドなブルース・ハード・ロックを展開してくれる。最初の1曲目だけで失礼な先入観を覆す合格点を上げてもいい。続く2曲目「Slipping Away」は前曲から幾分テンポを落としたヘヴィなブルース・ロック。1970年(録音時)という時期を考えても、これはこれで当時の凡百なブルースをベースとしたハード・ロックの水準を上まっている。しっかりとしたマネージメント会社と契約して母国イギリスでレコードを発表していたら、彼らの歴史は今とは大きく異なっていたかもしれない。

続く「Love Queen」は渋い雰囲気のバラード・ソング。曲は2分半過ぎからスピート感溢れるメロディに早変わりするが、何処となくアマチュア臭漂う香りが感じられるのがご愛嬌。切実に歌い上げるリード・ヴォーカリスト君もいい味を醸しだしている。続くヘヴィでブルージーなハード・ロック・ナンバー、「Chocolate Piano」は本アルバム中、見せ所というか聴き所の一つ。ギターは2人。Mick Clarke と Sid Fairman(彼は録音完了直後に解雇されたのだという)の2人による、ブリティッシュ・ハード好きならお薦めレベルのツイン・リード&ツイン・リフが堪能出来る。この録音以前にさしたる成功を収められなかった音楽家によるバンドとしてはかなり上出来だ。続く「If You Leave」は折り返しの5曲目。印象はレッド・ツェッペリン風というよりはジェフ・ベック・グループ風。アイソトープやリンダ・ルイス、ブランドX、パシフィック・イアドラム、ピート・ブラウン、バーバラ・ディクソン等、高い演奏能力を買われてオランウータン以降、着実にキャリアを重ねていく Jeff Seopardie のドラム裁きにも注目したい。 

「Fly Me High」は若干20歳前後(当時)のメンバが奏でるには、少々きついかな、と感じさせる切ないバラード。アルバムを一本調子な物にはしない、という彼らなりの努力は買いたい。「Country Hike」はこれまでのヘヴィ&ハードなブルース・ロック調の曲調とは毛色の異なる、レイド・バックしたスワンピーな味わいの曲。初期のエリック・クラプトンみたいだ。これで黒人女性ヴォーカルでも入れば、その手の音楽ファンにもお薦め出来そうだ。続く「Magic Playground」はアルバムのエンディング曲。1960年代後半のフリーク・ビートやサイケデリック・ロック、アシッド・ロック、アート・ロックからの影響から未だ抜け出ない雰囲気のヘヴィ・サイケ。これはこれでいい。アルバムはこれでお終い。全8曲、合計39分弱。ボーナス・トラックはなし。荒削りながらも将来性溢れるハード&ヘヴィなブルース・ロックを前編オリジナルで展開しながらも、(恐らく)世間知らずの若者だったという理由はあったにせよ、不幸な売られ方でバンドの歴史が終焉を迎えてしまったのが残念でならない、隠れた優秀作品の一つ。今となってはまあ、バンド名やジャケがレア度をアップさせている要因にもなっているんだけどね。

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