#1417 Jeanette Lindström / Attitude & Orbit Control (2009)

 2011-08-07
01. We Would
02. All We Have Is Now
03. Morning
04. River 【YouTube】
05. You Say
06. Scenery
07 Scenery Postludium
08. Blue Room Yellow Tree
09. Lament
10. River feat. Robert Wyatt
11. Spacetalk
12. Spacewalk

 Jeanette Lindström / Attitude & Orbit Control (2009) (アティチュード&オービット・コントロール)(直輸入盤・帯・ライナー付き)

元ソフト・マシーンのロバート・ワイアットが参加しているから買った、と書いてみたかったが実はそれは買ってから知った事実。実際はHMVの店頭でなんとなくジャケットに惹かれて買ってしまったのが逸話ざる真相。女性ヴォーカル物のジャケットって重要なんですよ。1970年代からレコード、1980年代からCDを買い続けてうん十年、未だジャケ買いの習慣が治らない私ですが、ジャケットからピンとくるインスピレーションって本当に大事だと思っています。ジャケを見て、ああ、これはきっと俺の好みに会っていると感じれば大方当たり。時には外れる事もありますが、うん十年こういう買い方を続けてきました。さて、今回紹介する女性はシャネット・リンドストレム(Jeanette Lindström)。テレビ番組やタイアップ付きの番組やイベントで紹介される様なミーハーな歌手ではないが、既に15年以上もの音楽活動歴を持つ、実力派の音楽家であるという。彼女の歌声はあのクインシー・ジョーンズからも賞賛を受ける程だ、とか。

アメリカ産やイギリス産などのジャズ・ミュージックとは一味違う、凛とした佇まいが特徴の北欧ジャズ・シーンにおける新星と騒がれて早10数年。1971年、スウェーデン中部の都市でイェムトランド県の県庁所在地であるエステルスンド (Östersund) の生まれ。(今でもそうかどうかは判らないが)世界第三位の音楽輸出国でもあるスウェーデンは国を上げて幼少期から音楽教育などを盛んに行ってきた。昨今、ポピュラー音楽の分野におけるスウェーデン・ポップスの凋落という側面はあるものの、アカデミックな側面(って書くといろいろ問題かもしれませんが)、例えばクラシック音楽やジャズ音楽の分野では今でもスウェーデンを初め、北欧諸国からは若くて才能溢れる人が沢山登場している。本場所でもそうしたアーティストの作品を度々紹介してきた。上でも触れた通り、シャネット・リンドストレムは既に経歴15年以上という事で既に若いアーティストの範疇には入らない人でしょうが、音楽家としての才能はまだまだこれからも続く筈である。
シャネット・リンドストレムが音楽に触れるキッカケはドラマーだった父親の影響。幼い頃からジャズに親しみ、またピアノ演奏を学んできたそうだが、カエルの子はやはりカエル、若い時から音楽的才能を発揮してきたのだとか。その後、地元の学校に通いながら音楽家としてステージに立つなどの実績を踏んできた彼女はハイティーンの時代には音楽家として生きて行く事を決意、本格的にジャズを学ぶ為に南スウェーデンのスクルップにある音楽学校に通う事になる。ジャズ・グループも結成して音楽活動も。デビューは1995年。シャネット率いるクインテットがジャズ・イン・スウェーデンを獲得した事を契機にスウェーデンのレーベル、Caprice Records(1971年創設のレーベルでジャズ・ファンにはお馴染みの高品位レーベル)からアルバムを発表する事になるのだ。最初のアルバムは「Another Country」。メンバーはシャネット・リンドストレムの他、Daniel Berglund(ベース)、Magnus Öström(ドラムス、パーカッション)、Torbjörn Gulz(ピアノ)、Örjan Hultén(サックス)。

1997年には2枚のアルバムを吹きこむ。1枚は前作に引き続いて Caprice Records からクインテット名義の「I Saw You」(プロデュースは Lars Silen)。そして北欧ジャズらしい乾いた響きが特徴の Anders Jormin のリーダー作「Once」に Thomas Gustafson、Jarle Vespestad らと参加している。これは Dragon Records から。 グループ名義の時代はひとまずここまでで、これ以降はソロ名義の作品を発表していく事になる。1999年にはソロ名義としては最初となる「Sinatra/Weill」を発表。タイトル通り、フランク・シナトラとクルト・ワイルにスポットを当てたアルバムだ。バックに Norrbotten Big Band と Norrbotten Chamber Orchestra。「Lost in the Stars」「Speak Low」「My Ship」「Fly Me To the Moon」などの曲が歌われている。2000年にはピアニストのスティーヴ・ドブロゴスとの連名名義になる「Feathers」を発表。2003年からはレーベルを Amigo に移してソロ名義としては4年ぶりとなる「Walk」を発表している。

Amazon.co.jp: Jeanette Lindstrom

■ Jeanette Lindström – Vocals, Grand Piano, Fender Rhodes
■ Andreas Hourdakis – Guitars, Banjo, Mandolin
■ Jonas Östholm – Grand Piano, Wurlitzer, Fender Rhodes, Organ, Voice
■ Thobias Gabrielson – Electric Bass
■ Magnus Öström – Drums, Percussion, Electronics, Vibraphone, Guitars, Syntheseizers, Voice

■ Robert Wyatt – Vocals, Trumpet
■ Rickard Krantz – Pedal Steel
■ Åke Skommar – Church Organ
■ David Lindvall – Electric Bass
■ Ola Hultgren – Drums, Percussion
■ Jonas Lindgård – Violin
■ Svante Henryson – Cello

これまではどちらかというと他人の曲を歌う事が多かったシャネット・リンドストレムだが、本作ではオリジナル曲中心の構成。歌詞は英語。シリアスで乾いた響きは北欧ジャズそのもの。コントラバス、ドラムス、ピアノ、ビブラフォン、ギター、トランペット、リュート、ダルシマーなどの楽器が駆使されるなど、これまでのシンプルな楽器構成とも違う。ジャケットも夜の街角に佇む大人の女性といった出で立ち。重苦しく影のある作風だ。そして2年後の2005年に前作と同系の「In The Middle Of This Riddle」。自作曲中心の傾向は更に強まり、1曲を除いて作詞作曲の全てをシャネット自身が担当した。オープニング曲「Always」なんか、ソウルフルなフィーリングたっぷりで、ジャズ歌手のアルバムというよりはノラ・ジョーンズのアルバムにに入っていても違和感のない雰囲気だし、実に小気味良い。翌2006年には「Whistling Away the Dark」を発表。ボボ・ステンソンとヨーナス・エストホルムのピアノ、パレ・ダニエルソンのコントラバス、マグヌス・エストレムのドラムスをベースにしたスタンダード・アルバム。

エロル・ガーナー、ヘンリー・マンシーニ、コール・ポーター等々。オリジナル曲中心のアルバムを短期間の内に制作してきた自分自身を癒す目的だったのか、彼女も30歳も半ばになり、自分自身のルーツを再認識する意味でこうした傾向の作品を発表したのだろう。そしてその後発表したのが本作の「Attitude & Orbit Control」。これが2009年作品。2010年の時点で買っておきながら今日まで未開封でした。すいません。2010年1月ストックホルムで開催されたスウェディッシュ・グラミー・アワードでジャズ・カテゴリー・グラミーに輝いた、今日のスウェーデンの音楽シーンを代表する歌姫の一人となったシャネット・リンドストレムの今の所最新作(前作との間にEP盤「Leaf」が存在)。本作ではe.s.tのドラマー、マグヌス・オストロムが共同プロデューサーとしてアルバム作りに協力。演奏面でもドラムス、パーカッション、ビブラフォン、エレクトロニクス、ギター、シンセサイザーを担当するなど、本作を制作するに当たって欠かす事の出来無い存在として活躍している。そしてあと一人、ロック・ファンが注目するのはこの人だ。

ロバート・ワイアット。ソフト・マシーンからマッチング・モールを経てソロ活動を邁進する、車椅子の才人だ。作品によって洗練された北欧ジャズ路線やスタンダード路線を作り分けするシャネット・リンドストレムだが、本作では近年の北欧ジャズを好む人だけでなく、ポップスやロックを好む人にも好感が持たれる様なアレンジが施されているのが特徴でもある。冒頭は「We Would」。大人のジャズらしい静かな立ち上がりだが、妖艶で豊潤な響きは新人さんではとても出せない味わい。漂う様な空気感はアメリカ出身の歌手では出せないものだろう。続くは「All We Have Is Now」。単なるジャズ・ソングの域を遙かに凌駕した凛としたメロディ。ジャケットの印象通りの未来派ポップスだ。続くは「Morning」。メロディは牧歌的。アレンジは神秘的。ヴォーカルは夢幻的。プログレ・ファンにも喜ばれそうな展開だ。そして「River」。気怠い曲調はスティーナ・ノルデンスタム風。切ない。本当に切ないバラード・ソング。

アルバムは中間部に行くに従って「You Say」「Scenery」「Scenery Postludium」といった、大人の味わいが感じられる曲が並んでいる。古いタイプのジャズが好きな人には受け入られない様なタイプの曲が披露されているが、これぞ現代の新しいジャズのあり方の一つなのかもしれない。「Blue Room Yellow Tree」もシャネット・リンドストレムやマグヌス・オストロムのセンスの良さが感じられる逸品。続くはシャネット・リンドストレムのピアノ弾き語りによるジャズ・バラード「Lament」。彼女は歌唱力を強みにするタイプのジャズ歌手ではないが、本曲では短いながらも説得力のある大人の歌声を披露してくれる。「River feat. Robert Wyatt」は前半に挿入されていた曲のロバート・ワイアット版。シャネット・リンドストレムはフェンダー社のローズ・ピアノに専念。元歌が最初から切ない歌なのにロバート・ワイアットが歌う事で更に切なさ倍増。一気に人生の終焉に辿り着いてしまう様な雰囲気はロバート・ワイアットだけの専売特許。ロバート・ワイアットのファンならこの曲だけに金を払う価値はあると思う。

Jeanette Lindström
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