#1418 Valravn / Koder på snor (2009)

 2011-08-17
1. Koder på snor
2. Kelling
3. Sjón
4. Kraka 【YOUTUBE】
5. Seersken
6. Fuglar
7. Kroppar
8. Lysabild
9. Farin uttan at verða vekk

Valravn / Koder på snor (2009)

某通販ショップの紹介記事でなんとなくジャケットに惹かれて購入した1枚。例によってちょっと前に購入しておきながら未開封だった1枚である。名はヴァルラウン(Valravn)。スコットランドのシェトランド諸島およびノルウェー西海岸とアイスランドの間にある北大西洋の諸島でデンマーク自治領のフェロー諸島出身のミュージシャンによって構成されたバンドだ。ちなみに地図を見るとフェロー諸島とデンマーク本土とはかなり離れているので何故ここがデンマーク領なのか不思議でならないが、かつてフェロー諸島にはノルウェーからノルマン人が入植して一時ノルウェー領となったが、ノルウェー王の死去をきっかけにおきたデンマークとノルウェーとの同君連合、そしてノルウェーの衰退によってデンマーク領となったらしい(第二次世界大戦中はイギリスの占領下にあった)。まあ、俗っぽい当ブログなので便宜上ヴァルラウンは以降北欧出身のバンドとして話を進めていく。

話は戻るが、今初めて知ったがヴァルラウンは既に昨年時点で日本公演を実現していたらしい。2010年12月、六本木SuperDeluxe や すみだトリフォニーホールでコンサートを行ったそうだ。ちなみにグループ名のヴァルラウンとはデンマークの神話(北欧の民間伝承の一部)に登場するワタリガラスのこと。英語ではレイヴン、日本では渡り鳥として北海道で見られるオオガラスのこと。北欧神話に登場する全知全能の神オーディン(ケネス・ブラナー監督作品『マイティ・ソー』ではアンソニー・ホプキンスが演じてみせた)の斥候(せっこう)として知られるフギンとムニンもワタリガラスだ。昔からのロック・ファンとしてはストラングラーズのかつて人気アルバムも連想してしまうのですが。ちなみにこのバンド、世間一般ではフォークトロニカとかラディカル・トラッドといったジャンルに属されるらしい。頭の中身が未だ1970年代という私の様なオジサンには少々インパクトの弱い言葉なのであるが。
ちなみにフォークトロニカとは生楽器を取り入れたスタイルのエレクトロニカ。ラディカル・トラッドとは北欧トラッドの内、1990年代以降に誕生したラディカル(過激)なスタイルの音楽の事。 どちらも共に1990年代以降に誕生した音楽である。とはいえ、トラッド・ミュージック(伝統音楽即ち民謡)って1990年代以降に登場したロック・バンドがなにも初めて導入したのではなく、例えばビートルズやサイモン&ガーファンクル、レッド・ツェッペリン、ドノヴァン、フェアポート・コンヴェンション、スティーライ・スパン、インクレディブル・ストリング・バンド 、リンディスファーン、ルネッサンス、ペンタングルといった先人達が自身のサウンドに大なり小なりトラッドの要素を盛り込んできた。勿論、北欧からも数多くのトラッド系バンドが世に登場してきた(当ブログでも何度か紹介済み)。ロックの住人達、特に欧州や北欧の人達にとってはトラッドの要素を盛り込むのはなんら違和感がないのである。

結成は2003年頃。バンドの中心的存在はハーディ・ガーディ奏者でデンマーク人のソレン・ハンマールンド(Søren Hammerlund)。母体となったのは1999年に結成された、中世や北欧の伝統音楽の演奏を専門とするヴィルレ(Virelai)というバンド。ソレンはこのバンドのメンバーの一人だった。他にヴィオラやフルートを演奏するマーティン・シーベルク(Martin Seeberg)やエクアドルとスイス出身の両親を持つ打楽器奏者のフアン・ピーノ(Juan Pino)もこのヴィルレのメンバーだった。ヴィルレは2002年にトラッド・ナンバー中心の「Danser duggen af jorden」を発表する。2006年にも「Havmandens kys」というアルバムを発表しているが、ソレン、マーティン、ファンの3人に女優志望で、演劇も勉強していたミステリアスなアンナ・カトリン・エイルストラッド(Anna Katrin Egilstrøð)が加わる事で新たな展開が始まる。アート志向でヴォーカル・パフォーマンスをステージで披露する事に野望を抱いていたアンナ、更にサンプリングやエレクトロニクス全般を担当するクリストファー・ユール(Christopher Juul)が参加した事で彼らの新しい方向が決まった。

Anna Katrin Egilstrøð

■ Anna Katrin Egilstrøð - Vocals, Sansula, Hammered Dulcimer
■ Martin Seeberg - Flutes, Viola, Cello, Lyra, Vocals
■ Søren Hammerlund - Mandola, Hurdy Gurdy, Nyckelharpa
■ Juan Pino - Davul, Frame Drums, Percussions, Hammered Dulcimer
■ Christopher Juul - Harmonium, Keyboards, Beats & Electronics

2005年、まずは手始めに5曲入りのミニ・アルバム「Krunk」を発表。2007年にもミニ・アルバム扱いとはいえ、11曲収録の「Krunk Krunk」を発表。そして最初のフル・アルバム「Valravn」をも発表。ビョークを彷彿とさせるシアトリカルなアンナ、中世や北欧の伝統音楽、更にジャズなどをルーツとするヴィルレ組(ソレン、マーティン、ファン)、電子音楽の素養をも持つクリストファー、それぞれの個性がぶつかりあった結果、伝統音楽とエレクトロニクスが合体したフォークトロニカ/ラディカル・トラッドなニュー・ホープが誕生したのだった。2009年には2年ぶりとなる新作「Koder på snor」を発表。この2作で注目を浴びる事になったのか、新進気鋭の北欧ラディカル・トラッド・バンドとして2010年に日本公演が実現した事は冒頭で触れた通りだ。2011年2月には「Valravn: RE-COD3D」なる、他アーティストによるリミックス&リメイク・アルバムが発表されている。こうした作品を自己の公式アルバムに数えるとは流石現代のバンドらしいね。

今回紹介する作品は2009年のアルバム。Westpark Music から。親指ピアノとして知られるカリンバ(ドイツ製Sansula)、ハンマード・ダルシマー(ツィター属打弦楽器)、フルート、ヴィオラ、チェロ、ライアー(ギリシャの民族楽器)、マンドラ(マンドリン属の弦楽器)、ハーディ・ガーディ(欧州の民族音楽に欠かす事の出来無い弦楽器)、ニッケルハルパ(スウェーデンの民族楽器)、パーカッション、片面太鼓、両面太鼓、ハーモニウム(リード・オルガン)といった伝統的な楽器に加え、シンセサイザーやサンプラー等のエレクトロニクス・サウンド、そしてエレクトロニック・ビーツ。古き良き音楽とコンテンポラリー・サウンドの融合。個人的にはこういう音楽って、あまり聴き込まないのけれども、こんな音楽もたまには良い。では簡単ながら個別の曲にも触れてみる。「Koder på snor」はアルバムの冒頭曲。フォークトロニカを軸とする音楽だが、エレクトロニクスへの比重が大きくて、”フォーク”という言葉を使うのには些か抵抗が感じられる。

続くは「Kelling」。ゴスなフォークトロニカというべきか。アンナの思惑通りのシアトリカルな要素が盛り込まれた劇的なサウンド。ライヴの際には常に決まった専門スタッフをライティングの為に用意しているという使っているヴァルラウンらしい芝居染みたサウンドでもある。続くは「Sjón」。1、2曲では”フォーク”とか”トラッド”といった言葉を使うのが憚れるコンテンポラリーなロック・サウンドが披露されていたのだが、この3曲目ではフォークトロニカの冠言葉に相応しい神々しいサウンドが披露されている。これぞ現代版北欧トラッド。独特の世界観が素晴らしい。伝統と斬新、バンド・コンセプトに沿った音楽と言っていい。続くは「Kraka」。打ち込みによるデジタル・ビートを主体とした幻想的なラディカル・トラッド。シンプルなメロディだが緻密なアレンジで神秘感を演出。デンマークのビョークという代名詞に気後れする事のないアンナのヴォーカルにも魅了される。

続くは「Seersken」。似た様なフォークトロニカ調の曲が並んでいて、この手の曲を普段あまり聴き込んでいない私としては、この辺で少々退屈感が湧き出てくる。6曲目は「Fuglar」。アンナ演奏による親指ピアノから曲は始まる。幽玄かつ幻想さ、という点では本アルバム中屈指の出来。数多く奏でられている伝統的な民族楽器群とクリストファー・ユールによるエレクトロニクス・サウンドとの融合が見事。世紀末の夜、空を見上げながら聴くにはもってこいの退廃的なナンバーだ。そして「Kroppar」。昭和ロックがルーツである私の様な世代の人間にはなんとも風変わりに聴こえてしまう、伝統的な音楽をベースにしたラディカル・トラッド。何処まで続くか、このスタイル。クリストファー・ユールは既に Euzen という別バンドを立ち上げて2009年に「Eudaimonia」なるアルバムを発表しているんだけど、彼無くしてヴァルラウンのサウンド・コンセプトな成り立たないと思うのけれども。続くは「Lysabild」。打ち込み中心のフォークトロニカ。エンディングは「Farin Uttan At Verđa Vekk」。私の持っているのは輸入盤CDだが、日本盤では”ワタリガラス~神々の夢物語”という邦題が付けられているらしい。

《神々の夢物語》、なんとも味なタイトルを付けたものだ。今後の活躍にも期待したいが、もう少しバラエティに富んだ内容を期待する。そうしないとこういう音楽は直ぐに飽きられるからね。

Valravn

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