#1420 Polyphony / Without Introduction (1972)

 2011-09-15
01. Juggernaut 《YouTube》
02. 40 second thing in 39 seconds
03.Ariels Flight
a) Gorgons Of The Glade
b) The Oneirocritic Man
c) Gift Of The Frog Prince
04. Crimson Dagger

Polyphony / Without Introduction (1972)

紙ジャケット、リマスター、高品質SHM-CDにて MARQUEE INC. から登場するそうです。ポリフォニー(POLYPHONY)。僅か1枚を限りに解散してしまったプログレッシヴ・ロック・バンドだ。ちなみに「ポリフォニー」とは「モノフォニー=単旋律音楽」の対義語で多声(部)音楽のこと。2本以上の旋律を同時に重ねる「多声音楽」。プログレッシヴ・ロックに相応しい単語だが、昨日今日登場した音楽様式ではなく、ルネサンス時代に既に最盛期を迎えていた音楽でもある。こんな単語をバンド名にしてしまう当たり、流石イギリスのプログレッシヴ・ロックと書きたい所だが、実際にはこの連中、北米出身のプログレッシヴ・ロック・バンドであった。プログレッシヴ・ロックと言えばイギリスを筆頭に、イタリアやドイツ、フランスといった、ヨーロッパ諸国出身のバンドに優秀な連中が多いのは先刻ご承知の通りだが、国土の広いアメリカにも優秀な作品が多いのもマニアにはやはり先刻ご承知の通り。

ただ、アメリカの場合、1960年代のフォーク・リヴァイヴァルやサイケデリック・ロック、そして1970年代にかけてのスワンプ・ロックやサザン・ロック、西海岸ロック、SSW、ルーツ・ロックなどのジャンルに属するアーティストの方が通常より高く評価される傾向があるからだろうか、北米のプログレッシヴ・ロックなんぞは、余程の好き者しか聴こうとしないのが通常のパターンであろう。プログレ、と言われて一般的に連想するのはファンタジックなシンフォニック・ロック・スタイルの音楽を大抵の人が連想するだろうが、プログレッシヴ(「進歩的」とか「漸進的な」)という単語を言葉通りに解釈すると、北米ロック・シーンにおける歴史上最大にして最高の存在はフランク・ザッパだろう。ただ、通常彼の音楽はプログレッシヴ・ロックとは呼ばれない。プログレ、と書けば普通はイエスとかジェネシス、キング・クリムゾンといったイギリスのバンドが発表した音楽、或いは彼らの音楽に似た様な音楽がそう呼ばれる。
今回取り上げるアメリカのプログレッシヴ・ロック・バンド、ポリフォニーはイギリスのプログレッシヴ・ロックの影響下にあるサウンド・スタイルを得意としたバンド。この手の所謂、イエス・フォロワーとかジェネシス・フォロワー、ELPフォロワーは1970年代以降(勿論今日も)、数多く出現していっては消えてしまったが、このポリフォニーも1970年代の一時期、雨後の筍の如く登場したバンドの一つだった。優秀な音楽性を持っていたにもかかわらず1枚限りで消滅。1970年代、特に同年代の前半によくありがちなパターン。メンバーにスター性がなかったとか、マネージメントの問題とか、メンバーの不仲で空中分解とか、所属レコード会社が潰れてしまったとか、まあ、理由はいろいろあっただろうが、オイルショックによる経済不況の影響という点も見逃せない。バンド活動も勿論経済活動の一環だから、バンドを維持するにも金がかかる。人が呼べなければ大変だし、経済不況という社会背景があれば、コンサート会場に足を運ぶリスナーも確保出来無い。ある意味、今も大変な時代だが、1970年代も大変な時代だった訳だ。

ましてや、ポリフォニーのように、非ブルース・オリエンテッドな音楽、クラシック・オリエンテッドなプログレッシヴ・ロック・スタイルの音楽なら尚更だ(彼らの場合、1960年代後半のアート・ロックやブルース・ロックからの影響も場面によっては感じられるのだが、、、、)。確かに1970年代の一時期、イエス、ELP、ピンク・フロイド、ムーディー・ブルースといった連中のアルバムが米アルバム・チャートの上位にランク・インされた事実もあったが、プログレッシヴ・ロック・スタイルの音楽がアメリカの音楽ファンから何から何まで手放しでなんでもかんでも高く評価されていた訳じゃない。このポリフォニーも正当な評価を(評論家筋からの評価は兎も角)市場から受ける事なく市場から姿を消してしまったのだ。アメリカン・プログレの隆盛の時期を考えると、彼らの登場は早すぎた、と言えるかもしれない。で、ポリフォニーのメンバーは Martin Ruddy(ベース、ヴォーカル)Christopher Spong(ドラムス)、Craig Massey(ヴォーカル、オルガン)、Glenn Howard(ヴォーカル、ギター)、Chatty Cooper(パーカッション)。

■ Glenn Howard - Vocals, Guitars
■ Martin Ruddy - Bass, Vocals
■ Christopher Spong - Drums
■ Craig Massey - Vocals, Organ, Moog
■ Chatty Cooper - Percussion

バンドの正確な結成時期は判らないが、プログレ・ファンなら即座にキース・エマーソンの鍵盤楽器演奏を連想してしまうであろう、キーボード君の演奏からしてアトミック・ルースターやナイス、ELPが世に登場してから結成されたのであろう事は大方想像が付く。出身は米東部の州バージニア(テキサス州出身という情報もあるのだが、、、、)。彼らは1971年に地元のマイナー・レーベル、Eleventh Hour Records(ポリフォニー以前には Mason「Harbour」(1971年)が存在)から最初のアルバム「Without Introduction」を発表する。幻想的なジャケットは当時テネシー州ナッシュビルに住んでいたベティ・チェリーの手によるもの。空気・火・土・水の4つの元素からなる四大元素を表したものだという。バンドはどうやら1971年頃から1973年頃までバンド活動が継続されていたらしい。因みに過去のCD化は、Gear Fab Records、Radioactive Records、Acid Symposiumなど。もうすぐ日本のマーキーが紙ジャケット、リマスター、高品質SHM-CD仕様にて国内販売を行う。

個別の曲にも触れてみる。ナイス、ELP、アトミック・ルースター、キング・クリムゾン、ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターなどのイギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドからの影響を感じさせるポリフォニーだが、やはり一番影響を受けたであろう、と考えられるのがキース・エマーソン関連バンド。冒頭の曲「Juggernaut」を聴いて特に感じられるのがキース・エマーソンからの影響だ。だが、知名度B級(というよりC級)の亜流バンドの宿命か、垢抜けないフィーリングも同時に強く感じられる。プログレッシヴ・ロックらしい緻密な旋律もさる事ながら、荒削りでハードな演奏もたまらない。1960年代末期のアート・ロックやサイケデリック・ロック、またはブルース・ロックからの影響も随所で感じられる。これはプログレ・バンドらしからぬヘヴィなギターの音色による所も大きいだろう。ギターを担当したグレン・ハワードの演奏がプログレッシヴ・ロックらしくないのだ。中盤からヴォーカルが挿入されるが、ヴォーカルが入るとプログレらしくなくなる。

このアルバムが発表された1972年当時、既に自己のスタイルやオリジナルティ、更にスタイルを確立していたイギリスの大物プログレッシヴ・ロック・バンドの諸作品と比較すると、どうしてもバッタ物とか亜流、まがい物といった言葉が脳裏に浮かんでくるが、掘り出し物的な価値はある。所謂自主制作の良品だ。アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドだが、同時期のジャーマン・ハードやジャーマン・プログレの様なゴッタ煮的な猥雑さや歯切れの悪さも感じられるのが特徴だ。いい意味で北米産ロックらしくない。続く2曲目は「40 Second Thing In 39 Seconds」という、1分程度の小曲。”39秒の中の40秒のもの”という邦題がついている。1970年に開発、翌1971年から量産楽器として売り出された鍵盤一体型のポータブルなパフォーマンス・シンセサイザー、ミニモーグによる安直な電子音楽。収録時間の都合上、録音が敢行された様な時間調整の為の音楽。意味のない収録である。

続くは「Ariel's Flight」。3部構成による大作。プログレッシヴ・ロックともハード・ロックともサイケデリック・ロックともつかぬ未消化な音楽が奏でられる。よく解釈すれば個性的。複雑で緻密なパートを纏めたら15分になってしまった、というよりは上手に纏められずに冗長になってしまったと書いた方が良いだろうか。ELPフォロワーである事は間違いないのだが、プログレの夜明け以前の音楽からの影響も見い出せる。やはり大陸国家アメリカのロックらしくない。海を超えて欧州地域で音楽活動を展開した方がいい結果が出たのではないだろうか。最終曲は7分程度の「Crimson Dagger」。キース・エマーソンのバッタ物みたいなオルガン演奏が繰り広げられるが、プログレッシヴ・ロックらしくない演奏やアレンジも繰り広げられる。ひょっとしてメンバー自身、こんなアルバムを作りたい、という明確なコンセプトを持たずにスタジオで録音を行ったのではないか。まあ、掘り出し物市場で思わぬ拾い物をした、的なスタンスで聴くのが本作に対する正しい接し方なのかもしれない。

ページ最上部へ
関連記事
FC2ブログランキング人気blogランキングへにほんブログ村 音楽ブログへブログランキング【くつろぐ】参加中
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://cottonwoodhill.blog21.fc2.com/tb.php/6646-acbfdf66
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫
FC2カウンター

プロフィール

はじめに

Author:Cottonwoodhill
未確認・不確定な事でも堂々と書いてしまう無責任洋楽ブログ。根は洋楽ミーハーCottonwoodhillは感覚派B型人間なので記事の整合性が欠ける場合多々有り。過去の記事への不快なコメントなどは問答無用で削除します。

RSSフィード
CalendArchive

最近のアルバム評
Powered by 複眼RSS

最近のアルバム寸評

今日のBGM
ゼン・プレイ・オン(紙ジャケット SHM-CD)

最近のコメント
最近のトラックバック
LIVE TRAFFIC MAP
Myスカウター

スカウター : Cottonwoodhill 別別館

FC2検索

タグランキング

トラックワード
FC2 SEO リンク
FC2 アクセスランキング

TopHatenar

フィードメーター
フィードメーター - Cottonwoodhill 別別館
あわせて読みたいブログパーツ

ブログ通信簿

サイト価格ランキング


サイト売買のサイトストック

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
音楽
133位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
洋楽
32位
アクセスランキングを見る>>

フリーエリア
  1. 無料アクセス解析