#1421 Lagger Blues Machine / The Complete Works (1994)

 2011-10-14
「Lagger Blues Machine (1972)」
01. Symphonie 1ere Partie YouTube
02. Darknessly
03. Tanit
04. Symphonie 2eme Partie
05. Born to Be Alone on a White Desert Island

「Tanit Live (1982)」
06. Test About a Rehabilitating Personality
07. Ode
08. Mistake
09. Firedance

Lagger Blues Machine [12 inch Analog]
(注:CDのリンクがアマゾンにはなかったのでLP「Lagger Blues Machine」のリンクを貼りました)

チープなアルバムのジャケットからして、モロ、トホホな内容な感じがするが、これがまたドロドロとB級臭くてなかなかいい。バンドの名前はラガー・ブルース・マシーン(Lagger Blues Machine)。バンド名からして1960年代後半のイギリスのブルース・ロック・バンドみたいだが彼等はベルギー出身のロック・バンドだ。ジャケットはなんだろうか。髪の長い女性(みようによっては悪魔のようにも女神のようにも見える)が持つ武器は戦斧だろうか。ポールウェポンの一種であるハルバードかもしれない。彼等のサウンドはサイケデリック・ロックのようでブルース・ロックでもあり、はたまたプログレッシヴ・ロックか或いはハード・ロックかアート・ロックかヘヴィ・ロックのようでもある。ようするに1970年前後のあの時代によく見られた、未消化なごった煮バンドの一つ。こうしたバンドはイギリスやアメリカだけでなく、彼等の出身地であるベルギーでも多く登場したのだろう。

ちなみにベルギー王国という国は地理的にみるとオランダに隣接した国。ベルギーと聞くと真っ先にベルギーワッフルを連想するバカな私であるが、地理的にオランダ同様、イギリスと(海を挟んで)近接している為、フォーカスやカヤック、ショッキング・ブルー、トレース、アース&ファイアーといった人気バンドを生んだオランダ同様、ブリティッシュ・ロックの影響下にあるバンドが昔から数多く登場してきたと言われている。だがどちらかというと、どうだろう、個人的にはサイケデリック・ロックやブルース・ロック、ハード・ロックの影響下にあるバンドの名前はあまり思い浮かばない。ベルギーと言えば古くはマキャヴェル、バンザイ、コス、イソポダ、ドラゴン、プレリュードといったプログレッシヴ・ロック・バンドの名前が熱心なユーロ・ロック・コレクターの皆さんなら思い浮かべるかもしれない。それと個人的には1980年前後からのチェンバー・ロック・ムーヴメント。
ベルギーと言えば、個人的にはユニヴェル・ゼロ、プレザン、アクサク・マブール、ジュルヴェルヌ、X-LEGGED SALLY、アカ・ムーン、ハードスコア、フィネガンズ・ウェイクといった特異な異端バンド(ジュルヴェルヌはちと違うけど)を生んだ国という印象が強い国。個人的にはベルギー・イコール・チェンバー・ロックの国なのだが、1970年代の前半位までは、ベルギー独自の音楽性を誇るバンドは(恐らく)まだそれほど多くなく、恐らくはラガー・ブルース・マシーンのようにブリティッシュ・ロックの亜流というかバッタ物的な色合いのバンドの比重がベルギーのロック・シーンでは大きかったのだろうと察する。で、彼等の話だが、結成は1969年、ベルギーはフラームス・ブラバント州イテルベークにて。メンバーは José Cuisset(ギター)、Michel Maes(ベース)、Christian Duponcheel(キーボード)、Jean-Luc Duponcheel(ドラムス、パーカッション)の4人構成。

結成時期からして、1960年代後半のブリティッシュ・サイケやプログレッシヴ・ロックなどに感化されて結成を決意した若者達によるバンドだったのだろう。1970年の秋にブリュッセルで開催された音楽フェスティヴァルにウィッシュボーン・アッシュやウォーホースらと共に参加しているが、この時点ではまだ4人編成だったらしい。1971年にキーボード奏者が Christian Duponcheel から Vincent Mottoulle へ交代、更に5人目のメンバーとしてサックス及びフルート担当の Carmelo Pilotta が参加する。この後、彼等は最初のアルバムとなる「Lagger Blues Machine」を制作、1972年にCBS?から発表される事に。バンドの活動は第一次オイルショックを超えて1975年頃まで継続されるものの、ドクター・ダウントリップというバンドにギタリストが参加(ドクター・ダウントリップからダウントリップへ改名)する事になって事実上バンドは崩壊した。いや、バンドの存在は既にこれ以前に事実上崩壊していたのかもしれないが。

崩壊後のラガー・ブルース・マシーンの元メンバー達の足取りとしては、上で紹介した通り、オリジナル・ギタリストの José Cuisset がラガー・ブルース・マシーン同様ベルギー出身のダウントリップ(1975-1979)に参加した他、初代キーボード奏者の Christian Duponcheel が1970年結成のエノー州のバンド、ドラゴン(Dragon)に1976年頃から参加して「Dragon」「Kalahen」といった2枚のアルバムに参加しているが、同バンドは1977年に解散。この後、Christian Duponcheel はドラゴンの Jean-Pierre Houx と共にアルクール(Alcool)というバンドに参加(後にこのバンドは Graffiti というグループに進化したらしい)するものの、彼等以外の元メンバー達の詳細は判らない、尚、ラガー・ブルース・マシーンにはもう1枚、「Tanit Live」というアルバムも存在する。これはサックス奏者が正式参加する以前の、1970年のライヴ録音を収録したアーカイヴ物のライヴ盤。1988年に限定500枚で発売された。

■ José Cuisset - Guitar
■ Michel Maes - Bass
■ Jean-Luc Duponcheel - Drums, Percussion
■ Vincent Mottoulle - Organ (1971-75)
■ Christian Duponcheel - Organ, Keyboards (1969-1970)
■ Carmelo Pilotta - Saxophone, Flute (1971-1975)

また、2006年にはドイツのレーベル、Amber Soundroom がラガー・ブルース・マシーンのデビュー作を限定180g重量盤アナログ・レコードとして発売しているが、同レーベルが2006年を最後に消滅してしまっているので、今となってはこの2006年の180g盤も貴重だと思う。さて、今回紹介するCD「The Complete Works」は1994年にイタリアのレーベル、Mellow Records から発売されたもの。中身は1970年録音(1988年発売)のライヴ盤「Tanit Live」と1972年のデビュー作「Lagger Blues Machine」を 2in1 の形式で収録したもの。ジャケットは彼等の唯一作のものをそのまま転用。改めて見てもやはりB級臭さたっぷり。では個別の曲に触れてみる。「Symphonie 1ere Partie」はアルバムの冒頭曲だが、プログレの時代のバンドらしく、曲の長さは14分近い。彼等の音楽性を評価する上でどのような言葉を使ってみたたよいのか。時代的には既にロックの新時代に突入していた時期ではあるのだが、彼等の音楽は、、、、う~ん。

音楽的には1960年代後半から1970年頃にかけての音楽、例えばクリーム、ブラック・サバス、キング・クリムゾン、ユーライア・ヒープ、マグマ、初期のソフト・マシーンやピンク・フロイドといったバンドが凌ぎを削っていた時代の空気を感じさせるもの。ハード・ロックとプログレッシヴ・ロックの区分けがイマイチ見つけられない時代の音楽を引きずっている。ブルージーでサイケデリックかつヘヴィな展開、時にプログレッシヴな展開の冒頭曲は当時彼等がどの様な音楽に感化されていたのかがよく判るナンバーだ。演奏自体に未熟な点もあるし荒削りな構成もあるので同時代のブリティッシュ・ロックの名品群とは当然の事ながら比較の対象にはならないが、ベルギーのロック・シーンの先駆け的な存在、としての価値は高いと思う。なにより、イギリスのロックに魅了されたベルギーの若者達が自分達で出来る事をしよう、とばかりにアイデアを捻り出して構築してみせた彼等の心意気は買ってあげたい。

「Darknessly」は7分近いナンバー。1960年代後半によくあった様な、サイケデリック&ヘヴィなブルース・ロック。陰鬱な響きがベルギーらしいと書いておく。プログレのようでハード・ロックのようでもあり。鄙びたジャズ・ロックのようでもある。エンディングはやけくそのロックンロール。ギターのリフはレッド・ツェッペリンからの拝借か。1972年の時点で1970年周辺のサウンドを引きずった様なサウンドだが、ロックの本場じゃないのだからこの際周回遅れなのは仕方がないだろう。曲は新参加のキーボード奏者、Vincent Mottoulle の手によるもの。「Tanit」は1分程度の小曲。憂いのあるフルート演奏が特徴。「Symphonie 2eme Partie」はこれまた13分超えの大作。曲のタイトルから判る様に冒頭ナンバーの続編というべき曲。まるでジャム・セッションの様な雰囲気のまとまりのないアングラ・ロック。B級ロック・バンドらしい猥雑さが感じられる。続く「Born to Be Alone on a White Desert Island」も9分近い力作。旧オリジナル・アルバムのエンディング曲でもある。

1972年発表のロック・ナンバーとは思えない、1960年代後半のアングラなサイケデリック・ロックの雰囲気を引きずる周回遅れのカオス・ナンバー。ノイジーなギターも1960年代後半の西海岸のそれだ。ロック先進国の米英なら、数年前に廃れたスタイルのロックだ。終盤でのたたみ掛ける様な展開は初期のユーライア・ヒープ当たりからの影響か。続く「Test about a rehabilitating personality」からがライヴ盤「Tanit Live」からの収録。発表は1982年の Fricrivan からだが、上で触れた通り、音源は結成まもない1970年のライヴ・ステージから。オリジナル・アルバムの2年も前の演奏だが、残念ながら内容的にはそれ程変わりはない。要するに結成当初から音楽的に進歩がなかった訳だ。「Ode」は7分弱、「Mistake」は9分超、そして「Firedance」も8分近いナンバー。1970年代初頭のベルギーでどの様なスタイルのロック・バンドが存在していたのか、という視点での熱心なユーロ・ロック・コレクターにとっての資料的存在価値はあろうが、そうでない人なら正直(米英の有名所をスルーして)真っ先に入手する様なアルバムではないだろう。

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