#1437 Pablo Cruise / A Place in the Sun (1977)

 2013-01-30
1. A Place in the Sun  YOUTUBE
2. Whatcha Gonna Do? YOUTUBE
3. Raging Fire
4. I Just Wanna Believe
5. Tonight My Love
6. Can't You Hear the Music?
7. Never Had a Love
8. Atlanta June
9. El Verano

A Place in the Sun

去年(2012年)の夏、あっと驚く日本公演を実現させた、往年の人気ロック・バンド、パブロ・クルーズ(Pablo Cruise)。パブロ・クルーズ、知ってますか。1970年代前半から1980年代中盤まで活動を継続していた、米サーフ・ロック/ソフト・ロック・バンドである。透明感のあるギター・サウンドと爽やかなサウンドでサーファーの間で高い人気を獲得していたバンドだ。1970年代当時、ラジオ(当時の若者が洋楽を耳にする最高のメディアはラジオだった)から流れてくるパブロ・クルーズのサウンドは私の脳裏を熱くした、というのは全くのウソで、例えば日本で人気の高い1977年の通算3枚目のアルバム「A Place In The Sun」が発表された頃から数年の間の私といえば、ハード・ロックやプログレシッヴ・ロックからパンク・ロックやニュー・ウェーヴに好みを移行させていた時期で、パブロ・クルーズの様な軟弱な音楽(当時の私からすればソフト・ロック系のサウンドは全て軟弱な音楽である)は無視するに限る、といった感じで無視していたのであります。

1980年代初頭にもなると、フィフス・アヴェニュー・バンドのレビューでも書いたが、周りからの影響もあって、或いは田舎から東京に上京した影響もあって、私はAORとかソフト・ロック系、更にフュージョン系のレコードも聴く様になったのですが、確かパブロ・クルーズもそんな感じでレコードを聴く機会を持ったのだ。だから私の場合、パブロ・クルーズは少々時期遅れで聴いたのです。ちなみに、1980年代前半の主たる洋楽入手経路は私の場合レコード・レンタルでした。今の若い人はアナログ・レコードをレンタルしていた時代があったなんて知らないでしょう。大学生当時、私は授業が終わると毎日の様にレンタル店に顔を出して借りていたものです。借りていたレコードはマクセルとかTDKのカセットテープにダビングした後に即座に返す。これが大学生時代の私の日課でした。友&愛とか黎紅堂、よく行きました。当時ダビングしたカセットテープの残骸は今でも自宅にあります。処分に困って置いてあるだけなんですが。古い話で恐縮です。

さて、かつて ”たのきんトリオ”の「ヤングコミュニケーション'83 3球コンサート 1983・8・28 大阪球場」でもトシちゃんにカバーされたパブロ・クルーズ。こんなにも毎日寒い日が続くのに、真夏のイメージたっぷりなバンドの紹介で御免なさい。結成は1973年、米西海岸はサンフランシスコ・ベイエリアにて。俗に言う所のウェストコースト出身のロック・バンドと言う事になる。ちなみにイーグルスのデビューが1971年だから、それより2年後の結成という事になる。母体となったのはストーングラウンド(Stoneground、1970年結成)と日本でもお馴染みイッツ・ア・ビューティフル・デイ(It's a Beautiful Day)という、2つのサンフランシスコのバンド。大所帯のストーングラウンドからコリー・レリオス(1951年生まれ)、デイヴ・ジェンキンス、スティーヴ・プライスの3人が、そしてイッツ・ア・ビューティフル・デイからバド・コックレルが参加して、パブロ・クルーズが出来上がる。ちなみに、この結成劇で煽りを喰らったのがストーングラウンド。1972年のアルバムから次のアルバムを発表するのに4年を要している。

1975年、パブロ・クルーズは最初のアルバム「Pablo Cruise」を発表する。発売は A&M Records(当時)から。全米最高174位。翌1976年には通算2作目となる「Lifeline」発表。全米最高139位。ただ成功の予感はあった。時代がよかった。ロック・シーンの底辺ではパンク・ロックなる音楽が台頭しつつあったが、音楽シーンの表舞台では毒抜きされたAOR(アダルト・オリエンデット・ロック)なるジャンルの音楽が広く受け入られる様になっていた。ピーター・フランプトンやイーグルス、フリートウッド・マック、アース・ウィンド&ファイアー、ビー・ジーズといったアーティスト達のアルバムはどれも記録的なセールを残して音楽シーンを大きく変えていった。反体制、反戦、反商業主義を象徴する音楽であった筈のロック・ミュージックは時代を超えて肥大化、成熟化し、1970年代も半ばになると膨大な利益を生む美味しい音楽へと変化していったからだ。アメリカの話です。この動きに符合するかの如く、彼等の人気も爆発する。

時代の追い風を受けて彼等は1977年に通算3枚目となる「A Place in the Sun」を発表。全米アルバム・チャートで最高19位、シングル「A Place In The Sun」「Whatcha Gonna Do?」「Never Had A Love」もヒットを記録するなどの成功を収める事になる。北米市場での人気は凄まじく、全米プラチナ・ディスクを獲得、更にカナダでもゴールド・ディスクを獲得している。A&M のドル箱スターとなった彼等は翌1978年にも「Worlds Away」を発表する。オリジナル・ベーシストの交代劇(バド・コックレルからブルース・デイへ)というアクシデントもあったが、そんな影響も何処吹く風、前作を上回る全米最高位を記録、セールス面でも引き続き、プラチナ・ディスク(米)、ゴールド・ディスク(加)を記録している。この後も、「Part of the Game」(1979年)、「Reflector」(1981年)といったスマッシュ・ヒット・アルバムを発表するが、メンバーの離脱交代劇が相次ぎ、1983年の「Out of Our Hands」を最後に1980年代半ばに解散してしまった。

Pablo Cruise絆(ライフライン)It's Good to Be LiveNightmusicカラパナ(2)

■ David Jenkins - Bass, Guitar, vocals
■ Bud Cockrell - Bass, Vocals
■ Steve Price - Percussion, Drums
■ Cory Lerios - Piano, keyboards

解散後、元メンバーはサザン・パシフィックに参加するなど、それぞれ個々の音楽を開始。1990年代半ばにはデイヴ・ジェンキンスやバド・コックレルを中心に再結成を計画するが、元メンバー達のスケジュールが会わずに頓挫、結局本格的な再結成が実現するのは2000年代に入ってからだった。キッカケとなったのが2004年のスティーヴ・プライスの結婚式。この席で元メンバー達は意気投合、オリジナル・メンバーの内、デイヴ・ジェンキンス、スティーヴ・プライス、コリー・レリオスの3人が集結、ただバド・コックレルは再結成パブロ・クルーズには参加せず、代わりにジョージ・ガブリエルが参加する。そのジョージ・ガブリエルも2009年に脱退、代わりに2010年から参加したのが、エア・サプライ「The Earth Is...」「News from Nowhere」といったアルバムでベースを担当していたラリー・アントニオ(Larry Antonino)。元ストーングラウンドの3人に元エア・サプライのラリー・アントニオを加えた布陣が現在の構成メンバー。2012年夏の来日もこの布陣。

さて、今回取り上げるアルバムは「A Place in the Sun」。1977年当時、A&M Records から発表された通算3枚目のアルバムで、彼等の人気を決定づけた記念碑的なアルバムだ。プロデュース&エンジニアに Bill Schnee。マスタリングに Mike Reese。収録曲前曲メンバーのオリジナル曲で構成。当時、カラパナやセシリオ&カポノらと共に人気の高かったサーフ・ロック/ソフト・ロック・バンドだけあって、今もって彼等のアルバムに懐かしさを感じるオールド・ファンも多い事でしょう。夏と言えばチューブ、ではなくて世代によっては彼等の音楽を思い出す人も多いかと。南国と海、爽やかな自然を連想させる癒し系サウンドから、硬派なロック・ファンからは無視される傾向もあったパブロ・クルーズだが、今改めて聴いてみると、随所でセンス溢れる精密な展開を聴く事が出来る事に少々驚いた。音楽を聴く際には先入観をとっぱらって聴かないと本当の良さは判りませんねえ。50歳を過ぎてようやく判りました。

「A Place in the Sun」はアルバムのタイトル曲。コックレル&レリオス作。爽やかなギター・サウンド、優しいメロディ、刺激臭のないリズム、屈託のないコーラス等々、耳障りの良い軽やかなAORサウンド。「Whatcha Gonna Do?」はジェンキンス&レリオス作。全米最高6位を記録した人気曲。成熟した大人達によるアダルト・コンテンポラリー・サウンド。洗練されたジャジーなアレンジに彼等のセンスが感じられる。1970年代後半、アメリカで一般大衆に受けるサウンドはこうだった。このアルバムが発表された当時、ブリティッシュ・ロック贔屓の私はパブロ・クルーズなんて完全に無視していたが、今聴くとウェストコースト・ロックだとか、サーフ・ロック、ソフト・ロックといった言葉で軽々しく語るのが申し訳ない気がしてくる。「Raging Fire」もジェンキンス&レリオス作。アコギ&ピアノをバックにした愁いのあるスロー・バラード。当時既に音楽シーンではダムドとかラモーンズ、テレビジョン、セックス・ピストルズといったバンドが活動を開始していたが、そんなの何処吹く風、といった感じの透明感溢れるサウンドだ。

軽やかなファンキー・スタイルの「I Just Wanna Believe」はレリオス作。あっと驚くエルトン・ジョン風のサウンド。リード・ヴォーカルのスタイルもそれ風だ。「Tonight My Love」もレリオス作。まさに夏向き、といった感じの爽やかなサウンド。1970年代後半当時、女の子を助手席に乗せて夏の海岸沿いを車で走る際に、大勢の野郎達が多分こういう曲をBGMにかけたのだろうな。「Can't You Hear the Music?」はレリオス&プレイス作。6曲目にしてクレジット面で初めてスティーヴ・プライスの名前が登場してきたが、アルバムのトータル・イメージを損なう事なく、人畜無害なソフト・サウンドが流れていく。「Never Had a Love」はジェンキンス&レリオス作。多少、英モダン・ポップ風の展開も感じられるコンテンポラリー・ポップ。「Atlanta June」もジェンキンス&レリオス作。こういう音楽を”ロック”のカテゴリーで語る事に抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、当時のロックの中心的コンセプトはなごみや調和である。

「El Verano」はアルバムのエンディング曲。メンバー全員の共作。ファンキーなインストゥルメンタル・ジャム・ナンバー。軟派な音楽ばかりが並ぶ本作においては異色のナンバー。メンバーの秀でた演奏技量が堪能出来る楽曲でもある。ジャズやラテン・ソウル、ファンクなどの要素を盛り込んだ力作で、その他大勢の凡百なAORバンドとは俺達は違うんだ、という彼等の叫びが感じられる展開に、どうも申し訳ございません、と私は心の中で頭を下げるのであります。

Pablo Cruise I Official Site

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