#1442 David Byron / Take No Prisoners (1975)

 2013-02-19
01. Man Full Of Yesterdays YouTube
02. Sweet Rock 'N' Roll
03. Steamin' Along YouTube
04. Silver White Man
05. Love Song
06. Midnight Flyer
07. Saturday Night
08. Roller Coaster
09. Stop (Think What You're Doing)
10. Hit Me With A White One

11. Steamin' Along (Single Edit) {Bonus Tracks}
12. What's Going On (Outtake) {Bonus Tracks}
13. Silver White Man (Alternative Version) {Bonus Tracks}

Take No Prisoners

モスラのテーマ・ソングで知られるザ・ピーナッツの「オン・ステージ」というライヴ盤をご存知か。これは伊藤エミ&ユミの双子の姉妹による、リサイタル盤。面白いからいつか紹介したいと思いますが、彼女たちのヒット曲に紛れて取り上げられている洋楽のカバーが凄いんですね。キング・クリムゾン「エピタフ」、リンゴ・スター「バック・オブ・ブガルー」、キャロル・キング「イッツ・トゥ・レイト」、CCR「 プラウド・メアリー」等々。斬新と言われる今のアイドルでもこんな曲をカバーする人っていないでしょう。今でこそ、洋楽ロックは若い人には(ダンス・ミュージックやヒップホップ系のサウンドを除けば)馴染み薄いものに成り下がってしまいましたが、1970年代と言えば、洋楽ロックは日本人にとってはまだまだ憧れの存在だったもんです。だから、「オン・ステージ」みたいなアルバムが成り立った訳ですね。もっとも、1972年当時、ザ・ピーナッツのコンサート会場に駆けつけた人にどれだけキング・クリムゾンやCCRが知られていたかは疑問ですが。

ユーライア・ヒープ(Uriah Heep)。1970年代前半に人気の頂点に立っていたイギリスのハード・ロック・バンド。レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、ブラック・サバスと共に1970年代のイギリスのハード・ロック・シーンを牽引していたバンドでもあります。1970年代前半当時の彼等の勢いは物凄く、それはイギリスから遠く離れた我が日本でも同様だった。1973年3月に日本武道館で行なわれた初来日公演でも多くのファンが彼等の生演奏を聴こうと会場に訪れている。 今ではユーライア・ヒープなんて、かなり熱心なブリティッシュ・ロック・ファン以外には聴かれない存在になってしまいましたが、1970年代の時点までははっきり言ってブラック・サバスよりも人気はずっと上だった。冒頭で取り上げたザ・ピーナッツ「オン・ステージ」でもユーライア・ヒープの初期の人気曲「Look at Yourself」が取り上げられている。場違いの日本のアイドルのコンサートでも取り上げられる程、当時の彼等の人気は凄かったのだ。
ユーライア・ヒープは1960年代のストーカーズやスパイスを前身とし、1970年にそのスパイスがバンド名を変える事で誕生したバンドで、1970年のヴァーティゴ作品「...Very 'Eavy ...Very 'Umble」(翌1971年にブロンズ・レーベルから再発)でアルバム・デビューを飾っている。ちなみにバンド名の由来はチャールズ・ディケンズの小説から引用したという。当時のメンバーはミック・ボックス(ギター)、 ケン・ヘンズレー(キーボード)、デヴィッド・バイロン(ヴォーカル)、アレックス・ネピアー(ドラムス)、ポール・ニュートン(ベース)。ユーライア・ヒープは同世代のレッド・ツェッペリンとは異なり、メンバーの入り変わりが激しいバンドで、ギタリストのミック・ボックス以外はかなりの人数の演奏家がバンドを出たり入ったりしている。そのユーライア・ヒープの初期におけるフロントマンは言うまでもなく、デヴィッド・バイロンという、今は亡き稀代の名ロック・ヴォーカリストだった。

ユーライア・ヒープのヴォーカリストはデヴィッド・バイロンからジョン・ロートン(元ルシファーズ・フレンド)、ジョン・スローマン(元パルサー)、ピート・ゴールビー(元トラピーズ)、ステフ・フォンテイン(元ジョシュア)、バーニー・ショウ(元グランプリ)と代わっている。元ルシファーズ・フレンドのジョン・ロートンや1986年から現在に至るまで在籍しているバーニー・ショウが好きだという人もいるでしょうが、往年のロック・ファンからすれば、やはりユーライア・ヒープと言えばデヴィッド・バイロンのハイ・トーン・ヴォイスを真っ先に連想する人が多い事でしょう。ブリティッシュ・ハードと言えばカリスマ的存在のギタリストも欠かす事の出来ない存在なのですが、ユーライア・ヒープには同時代のディープ・パープル(リッチー・ブラックモア)、レッド・ツェッペリン(ジミー・ペイジ)、ブラック・サバス( トニー・アイオミ)、フリー(ポール・コゾフ)のような目立つギタリストがいませんでしたからね。

デヴィッド・バイロン(David Byron)は1947年1月、英エセックス州エピング出身。出世時の本名はデヴィッド・ガーリック(David Garrick)。彼にとってプロとしての最初の出発点は1960年代中頃当時、エピングを活動の拠点としていたセミ・プロバンド、ストーカーズ(The Stalkers)。このバンドが1967年に解散すると、デヴィッド・バイロンとギタリストのミック・ボックスはポール・ニュートン(ベース)、アレックス・ネピアー(ドラムス)らと共にスパイスを結成する。この後、バンドはフォンタナ・レーベル所属アーティストのマネージャー出身で、当時レコーディング・スタジオの運営者でもあったジェリー・ブロンと運命的な出会いをする事になる。当時のスパイスと言えば、1968年にシングル「What About the Music / In Love」を United Artists から出しただけの無名のバンド。ジェリー・ブロンはスパイスのメンバーの父親からの薦めでバンドの演奏を拝見するが、キーボード抜きの布陣に、キーボード奏者が必要と考え、ポール・ニュートンと面識のあったケン・ヘンズレーを加入させる。

バンド名もスパイスからユーライア・ヒープへ改名。こうしてデヴィッド・バイロン他ユーライア・ヒープの面々はジェリー・ブロンのプロダクション、ブロン・エージェンシーとマネージメント契約を結ぶ事になる。ちなみに当時、ブロン・エージェンシーとマネージメント契約を結んでいたバンドはコロシアム、マンフレッド・マン・チャプター・スリー、ジューシー・ルーシーなど。1970年、ユーライア・ヒープは当時ブロン・エージェンシーと協力関係にあったヴァーティゴ・レーベルからデビュー・アルバム「...Very 'Eavy ...Very 'Umble」を発表する。この後、ジェリー・ブロンはアイランド・レコード内にブロンズ・レーベルを設立。これによりユーライア・ヒープやコロシアム、ジューシー・ルーシーといったヴァーティゴからのデビュー組もそっくりブロンズ・レーベルに移籍する事になった。従って、通算2作目となる「Salisbury」(1971年)は最初からブロンズからのリリースとなっている(デビュー作も1971年にブロンズから再発)。

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ユーライア・ヒープはこの後、大胆なアレンジを施した「Look at Yourself」(1971年)を発表、翌1972年には初期の名作「Demons and Wizards」を発表する。このアルバムは全英で最高20位、また全米でも最高23位を記録して彼等にとって最初の米ゴールド・ディスクを獲得している。当時のメンバーはドラマーに元ゴッズのリー・カースレイク、ベーシストに元コロシアムのマーク・クラーク。ちなみにキーボード奏者のケン・ヘンズレーも元ゴッズなので、1972年の時点で元ゴッズのメンバーが2人在籍していた事になる。この後、ベーシストがマーク・クラークから元キーフ・ハートレー・バンドのゲイリー・セインへの交代。バンドは1972年に同年2枚目となる新作「The Magician's Birthday」を発表する。このアルバムでのメンバー、デヴィッド・バイロン、ミック・ボックス、ゲイリー・セイン、リー・カースレイク、ケン・ヘンズレーの布陣が一般的には全盛期のメンバーと言われている。この後のアルバム「Sweet Freedom」「Live」「Wonderworld」も(内容はともあれ)商業的にはそれなりの成功を収め続ける事になる。

が、ここから転落の兆しが。コンサート中にゲイリー・セインが感電事故。この後ゲイリー・セインは事故から復帰するものの薬物中毒の問題もあってバンドは彼を解雇。バンドはゲイリー・セインの代わりにキング・クリムゾンのジョン・ウェットンをベーシスト兼ヴォーカリストとして参加させる。元キング・クリムゾンのメンバーが加入した、という話題性もあってか、続く1975年の「Return to Fantasy」は全英最高7位を記録する事となる(全米では最高85位止まり)。翌1976年には「High and Mighty」が発表されるものの、アルコール中毒で満足なパフォーマンスが披露出来なくなっていたデヴィッド・バイロンがクビを言い渡される。マネージメント上の問題もあったのだという。結成当初からのオリジナル・ヴォーカリストを解雇するというのはバンド側からしても本当に辛い選択だったと思うが、言い換えればバンドの顔というべきヴォーカリストを解雇せねばならぬ程、当時のデヴィッド・バイロンの状態はプロとして落第だったという事なのだろう。

この後、デヴィッド・バイロンは盟友ミック・ボックスと袂を別つ形で自らの活動を開始、バンド在籍時の1975年のソロ第一弾「Take No Prisoners」を契機に別行動を展開する。1976年、デヴィッド・バイロンは元コロシアムのクレム・クレムソン、元ポール・マッカートニー&ウィングスのジェフ・ブリトンらと共にラフ・ダイアモンド(Rough Diamond)を結成。バンドは1977年に最初のアルバム「Rough Diamond」を発表する。当時これ、レコード買いました。記録によれば1977年7月12日。印象は薄かったですね。バンドは1年程の活動で解散。デヴィッド・バイロンはソロ活動を余儀なくされ、1978年に通算2作目となる「Baby Faced Killer」をアリスタから発表。1980年には自らのバック・バンド、バイロン・バンドを結成(メンバーにロビン・ジョージ、ボブ・ジャクソンら)、1981年にはザ・バイロン・バンド名義の「On the Rocks」を発表するものの、このバンドも1981年に消滅。1983年から1984年にかけて「That Was Only Yesterday」というEP盤を制作するが、1985年にアルコール過剰摂取により、帰らぬ人となってしまった。

Live at Shepperton '74Return to Fantasyハイ・アンド・マイティベスト・オブ・ユーライア・ヒープRough Diamond

■ David Byron - Lead Vocal
■ Mick Box - Guitars
■ Lou Stonebridge - Keyboards
■ Denny Ball - Bass
■ Lee Kerslake - Drums

※ Drums - Pete Thompson (2 - 4, 6)
※ Acoustic Guitar - Ken Hensley (10)
※ Mellotron - John Wetton (1, 5)
※ Backing vocals - Chanter Sisters, Martha Smith, Neil Lanchaster, Chas Mills, Russ Stone

天から与えられた、秀でた才能をもっていた筈のデヴィッド・バイロンでしたが、晩年は酒に飲まれ、身を滅ぼす事になってしまったのが、なんとも痛ましい。ユーライア・ヒープというバンドは1970年代の時点では今では信じられない程高い人気を誇っていたバンドで、脱退後のラフ・ダイアモンドも当時の日本でもかなり注目されていたと記憶しているが、残念ながらユーライア・ヒープの人気を上回る事は出来なかった。それに母体ユーライア・ヒープの人気も1970年代中盤から同後半になるに従い、下降線を描いていたし、パンク・ロックやニュー・ウェーヴ、ポスト・パンクといったジャンルの音楽の台頭により、ハード・ロック・サウンドそのものも過去のものになつつあった時代だった。所謂産業ロックのジャンルに属するバンドは売れてはいたけどね。この後、メタルやNWOBHMといったジャンルの台頭もあったが、デヴィッド・バイロンはこうした時代の追い風にも乗る事は出来なかった。彼が乗ったのは破滅と自滅のあの世行きの電車であった。

さて、本作「Take No Prisoners」は1975年のバンド在籍時に発表された、ソロ第一弾。英仏ではブロンズから、そして米国ではユーライア・ヒープがヴァーティゴからデビューを飾った経緯からマーキュリー経由で配給。録音にはユーライア・ヒープからミック・ボックスとリー・カースレイク。更に元ベドラムのデニー・ボール(ベース)、元パラディンのルー・ストーンブリッジ(キーボード)。更に数曲のみケン・ヘンズレーとジョン・ウェットンも参加。プロデュースはピーター・ガレン&デヴィッド・バイロン。CDは1992年に Repertoire Records、そして2011年にチェリーレッド系列の Lemon Recordings からそれぞれ再発されている。今回ご紹介するのは2011年のボーナス・トラック入りの2011年盤の方。簡単に個別の曲にも触れてみる。「Man Full Of Yesterdays」はプログレッシヴ・ロック風のジョン・ウェットンのメロトロンが印象的な叙情ナンバー。情感込めた歌いっぷりは流石デヴィッド・バイロン。

「Sweet Rock 'N' Roll」はトム・マッギネス&ルー・ストーンブリッジ作。黒っぽい女性コラースを導入したゴスペル調サウンド。ユーライア・ヒープには似合わない曲だが、ソロ名義の作品だからか、随分とリラックスした作りである。「Steamin' Along」もファンク、ロックンロールの要素を加味したスワンプ・ロック風のナンバーだ。「Silver White Man」はデヴィッド・バイロン作。アメリカ市場を意識したかのようなキャッチーなアリーナ・ロック。「Love Song」ではジョン・ウェットンがメロトロンで参加。優しいハープシコードのメロディをバックにしっとりと歌われる、まるでビー・ジーズみたいな曲。「Midnight Flyer」はトム・マッギネス&ルー・ストーンブリッジ作。本家ユーライア・ヒープを彷彿とさせる、悪魔風のハード・ロック・ナンバー。「Saturday Night」はルー・ストーンブリッジ作。カントリー・ロック調の楽しいポップ・ナンバーだ。「Roller Coaster」も本家の悪魔路線を踏襲した様なナンバー。「Stop (Think What You're Doing)」はデヴィッド・バイロンよりもむしろジョー・コッカー当りに歌わせたい様な泥臭いナンバー。

「Hit Me With A White One」はオリジナル・アルバムのエンディング曲。デヴィッド・バイロン、ミック・ボックス、リー・カースレイク、ケン・ヘンズレーと、当時のメンバー5人のうち、4人が録音に参加。ザ・フーみたいなエキセントリックなナンバーだ。この後はボーナス・トラック。「Steamin' Along (Single Edit)」はアルバム収録曲のエディット版。「What's Going On (Outtake)」はなんだか、レッド・ツェッペリンみたいだ。「Silver White Man (Alternative Version)」はアルバム収録曲の別テイク。以上。当時のヒープのメンバーが仲良く勢揃いしているアルバムだが、翌年に諸般の事情からバンドから追放されたとは俄かには信じがたいリラックスした演奏が終始繰り広げられているのが特徴だ。プログレッシヴ・ロック、ハード・ロック、ヘヴィ・メタル、プログレッシヴ・ハード、こうした言葉で説明されるユーライア・ヒープだが、本作ではそうしたイメージとは異なる路線のサウンドも展開されているが、以外と似合っている。

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コメント
ユーライア・ヒープといえばやっぱりこの人、という世代ですが初期の勢いがなくなってからのメンバーの末路があまりに寂しいですね。
「対自核」という邦題も気合がはいっていました。

そのピーナッツのライブ、CDで購入したときはぶっとびました。
演奏はビッグバンドですしね。
あの編成であのロックナンバーをかますブラスセクションもすごい。
少しあとですがキャンディーズもEarth, Wind & Fireなど彼女なりにカバーしてましたし、フィンガー5はもろSoulなナンバーをカバーしていたし、歌謡曲の懐の深さといか、混沌さがらしいというか。
本当、音楽が楽しい時代です。
【2013/02/23 10:43】 | へびG #.Lj5XGds | [edit]
コメントありがとうございます。キャンディーズの件は知りませんでした。
何かの折、気にかけておきます。情報ありがとうございました。
【2013/02/24 20:39】 | Cottonwoodhill #- | [edit]












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