#1445 Sue Foley / Walk in the Sun (1996)

 2013-03-07
01. Try to Understand
02. Give It to Me
03. Walk in the Sun
04. The Snake
05. Wayward Girl
06. The Wind
07. Lover's Call
08. Better
09. Train to Memphis
10. Love Sick Child  YouTube
11. Long Distance Lover YouTube

Sue Foley / Walk in the Sun

洋楽ロック自体が最早日本ではあまり売れないという状況の中、こんな事を買いても仕方のない事かもしれないが、女性ブルース・ギタリストって、日本ではあまりメジャー扱いを受けていない様に感じる時が多々ある。男性の場合だと、(白人に限って言えば)エリック・クラプトン、ロリー・ギャラガー、ポール・コゾフ、ミック・テイラー、ジミー・ペイジ、ピーター・グリーン、ジョニー・ウィンター、デュアン・オールマン、スティーヴィー・レイ・ボーン、エルヴィン・ビショップ、マイケル・ブルームフィールド、エイモス・ギャレット、アル・ウィルソンといった人達の名前が昔からロック・ファンの間で語り継がれてきたが、こと女性に限ってみると、これがどうして、語られる機会はそれ程多くはなかったと思う。しいて名前を挙げるとするならば、グラミー賞アーティストのボニー・レイット。次に誰?と問われてすらすら第2第3の名前が出てくる人はかなり洋楽に詳しい人の筈だ。

ロック・ギタリストと言うと、バンド・アンサンブルの華というか、派手なパフォーマンスと攻撃的な演奏を披露して観客にアピールするというポジションを誰もが想像すると思う。女性だけのロック・バンドは別として、ロック・バンドに女性が在籍していたとしても、まあ大体がヴォーカリストかキーボード奏者が定番のポジション。仮にベースの担当でも、普通の人は「お!」と思う筈だ。だからどうしても、普通の男性は女性のギタリスト、ましてブルース・ギタリストなんて想像だにしない。女性は男性に比べて体力がないと思うから、弦を弾き続けるのも大変なんじゃないかと勝手に想像してしまうのだ。まあ、こんな発想も古臭い女性差別の一つなのかもしれません。ごめんなさい。だが実際には世の中には男性ブルース・ギタリストも顔負けの女性スペシャリストも(事実確かに多くはないだろうが)存在する。今宵紹介する女性、スー・フォーリー(Sue Foley)というギタリストもそんな一人である。
女性に対してベテランという言葉が相応しいかどうかはさておき、スー・フォーリーはソロ・デビュー以来、既に20年を越えるキャリアを持つブルース・ギタリスト。1968年3月、カナダはオンタリオ州東部に位置する地方行政区オタワの生まれ。デビュー当初の住所は米テキサス州の中央部に位置する州都オースティン。ちなみにオタワ出身の他の有名人にはポール・アンカ、アラニス・モリセット、ブライアン・アダムス、ダン・エイクロイド、マーガレット・アトウッドなどがいる。オタワ在住の少女時代、ロックンロールやローリング・ストーンズの様なサウンドに魅了されて音楽に興味を持ち、15歳の時に見たジェイムズ・コットンのコンサートでブルースに対して本格的に目覚めたという。この出会いにより、彼女はエレクトリック・ギターを手にする事になる。ちなみにジェイムズ・コットンはブルース・ハーモニカ奏者なので、恐らく当時のアリゲーター時代のジェイムズ・コットン・バンドのギタリストだったシカゴ生まれのマイケル・コールマンのギター演奏に魅了されたのだろう。

1980年代半ばに彼女は両親の元を離れてブリティッシュコロンビア州南西部に位置する同州最大の港湾都市バンクーバーに移り住み、そこで自らのバンドを結成。ライヴ活動の傍ら、彼女はデモ音源を1949年テキサス生まれでジミー・ヴォーンやスティーヴィ・レイ・ヴォーンを世に送り出した事でも知られるオースティン・ブルースクラブの設立者、クリフォード・アントン率いるアントン・レコーズに届けるのだが、これが気に入られる事になって彼女はカナダからテキサス州オースティンに移住、当地でレコード会社のオーディションを受けて見事合格を果たして契約を結ぶ事になる。これにより彼女の暫くの間の主戦場はT・ボーン・ウォーカーやアルバート・コリンズ、クラレンス“ゲイトマウス”ブラウン、ジョニー・ギター・ワトソン、そしてスティーヴィー・レイ・ヴォーンらを生んだテキサスとなる。1992年9月、最初のアルバムとなる「Young Girl Blues」をアントン・レコーズより発表。24歳でのソロ・デビューとなった。同年、サンフランシスコで開催されたブルース・フェスティヴァルに参加。

この後、「Without a Warning」「Big City Blues」「Walk in the Sun」と、アントンのレーベルを根城にトレードマークであるフェンダー・テレキャスターを武器に活躍。アントン・レコーズとの契約はここまで。この後、リチャード・ネヴィンズとダン・コリンズによって設立されたシャナキー・レコーズ(Shanachie Records)と新たに契約、1998年には「Ten Days in November」を発表する。2000年にはシャナキー第二弾となる、「Love Comin' Down」を発表。このアルバムはカナダのグラミー版である、ジュノー賞(旧:ゴールドリーフ賞)のベスト・ブルース・アルバムに見事輝いた。この後も勢力的にアルバムを発表、「Back to the Blues」「Where the Action Is」といったアルバムを経て、2004年の「Change」からはドイツの Ruf Records からリリース(カナダ国内では Justin Time Records より配給)。近年はアラバマ出身のSSW、ピーター・カープと意気投合して、「He Said She Said」「Beyond The Crossroads」という2枚のアルバムを2010年と2012年にそれぞれ発表している。

Big City BluesTen Days in NovemberLove Comin DownNew Used CarBeyond the Crossroads

■ Sue Foley - Guitar , Vocals
■ John Penner Bass
■ Freddie Walden Drums

■ Stephen Bruton - Acoustic & Baritone Guitar, Mandolin
■ Riley Osbourne - Keyboards
■ Debra Peters - Accordion
■ Sarah Elizabeth Campbell - Background Vocals
■ Larry Fulcher - Background Vocals
■ Malford Milligan - Background Vocals

さて、今宵紹介する「Walk in the Sun」は彼女にとって通算4枚目に相当する1996年の作品。アントン・レコーズ在籍時の最後のアルバムでもある。録音は原則、ギター、ベース、ドラムスのごくシンプルなスー・フォーリー・バンドがベース。これに曲により地元オースティンを活動の根城とするギタリストのスティーブン・ブルトン(2009年に死去)、ライリー・オズボーン、デブラ・ピータース、更にバッキング・ヴォーカルが加わるという、質素な布陣。だが、これも彼女の雰囲気とよく合致している。彼女のギターはご存知、フェンダー・テレキャスター。硬質で明快な音を奏でる同ギターを愛用する彼女の演奏も高音域で勝負。更に特徴的なのが彼女自身の歌声。女ブルース歌手というと大抵の人は骨太のパワフルでソウルフルな歌声を連想すると思うが、彼女の歌声はそんな女ブルース歌手の定番スタイルとは対極に位置する、細くてフェミニンな歌声なのだからびっくりだ。イメージとしてはリッキー・リー・ジョーンズとマリア・マルダーを足して2で割ったような感じと思ってくれたらいい。

冒頭「Try to Understand」はジョン・リー・フッカーもびっくりなプリミティヴなイントロから始まる。その後、テンポの良いメロディへと移り変っていく。ブルース・ミーツ・ルーツ・ミュージックといったアプローチが微笑ましい。「Give It to Me」はアコギをベースとするカントリー・ブルース。ミシシッピー・デルタと並んでブルースの故郷として愛されるテキサスらしいアーシーなブルースだ。「Walk in the Sun」はアルバムのタイトル曲。前2曲とはうって変って、の現代的なアレンジが盛り込まれた、MOR/AOR風のコンテンポラリー・ブルース。ギター演奏は控え目。こういう曲だと本当にリッキー・リー・ジョーンズ当りと区別がつかないなあ。続く「The Snake」はスー・フォーリー・バンド名義のインスト作品。サーフ・ミュージック風のアレンジが盛り込まれた楽しいナンバーだ。「Wayward Girl」はホンキートンク・スタイルのラグタイム・アコースティック・ブルース。当時28歳。もう何十年もブルースやってる人の音楽みたいな余裕が感じられる。

「The Wind」はスローなR&Bスタイルのナンバー。「Lover's Call」はロッド・スチュワート当りに歌わせたいアイリッシュ・トラッド風味のバラード・ソング。続くはプリミティヴなイントロから始まる「Better」。挑戦的なヴォーカルと投槍なギター演奏が実に魅力的。続く「Train to Memphis」は「Wayward Girl」と同傾向のアンプラグドなアコースティック・ブルース。とてもじゃないが、20代の女の子が奏でる音楽じゃない。まるで戦前のブルース・ナンバーのカバーみたいだが、驚くべき事にこれは彼女のオリジナルである。こいう曲を歌わせてみたいのなら、日本なら絶対憂歌団だな。「Love Sick Child」は一転して、軽快なロックンロール調のコンテンポラリー・ブルース。アルバムのエンディング曲「Long Distance Lover」も徹頭徹尾、アルバムのトータル・イメージを損なわないスローなブルースが展開される。これでお終い。ジャケットの写真から想像出来る通りの、米ルーツ・サウンドに根差したブルース作品集。

テキサス・ブルースのイメージ通りの曲もあれば、彼女ならでは、といった個性的なナンバーも披露されるなど、『ブルースの本場でとりあえず録音してみました』的なやっつけ感は皆無の、女ブルース歌手スー・フォーリーのアイデンティティが遺憾なく発揮された、1990年代に発表された彼女の初期作を代表する傑作。この作品を最後に彼女は、アントン・レコーズではもうやり尽くした、とばかりに新レーベルへの移籍を決断。デビュー以来、一貫して商業的な成功とは無縁の音楽人生を歩んできたスー・フォーリーだが、20代の時点で、自分は誰か、何を求めてどんな音楽を表現するのか、という方向性が既に固まっていたのだろう、彼女の音楽からは迷いや戸惑いも何も感じられない。こういう人は強いね。彼女に対して薀蓄を語れる程、彼女のアルバムに浸ってきた訳ではないが、彼女が発表した過去の作品はどれも評価が高いみたいだから、今後も彼女のCDを密かに収集してみたい。ミーハーな人気がある訳じゃないから、結構安く購入出来るしね。

Peter Karp and Sue Foley | KarpFoley.com

ページ最上部へ
関連記事
FC2ブログランキング人気blogランキングへにほんブログ村 音楽ブログへブログランキング【くつろぐ】参加中
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://cottonwoodhill.blog21.fc2.com/tb.php/7205-500a3672
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫
FC2カウンター

プロフィール

はじめに

Author:Cottonwoodhill
未確認・不確定な事でも堂々と書いてしまう無責任洋楽ブログ。根は洋楽ミーハーCottonwoodhillは感覚派B型人間なので記事の整合性が欠ける場合多々有り。過去の記事への不快なコメントなどは問答無用で削除します。

RSSフィード
CalendArchive

最近のアルバム評
Powered by 複眼RSS

最近のアルバム寸評

今日のBGM
ゼン・プレイ・オン(紙ジャケット SHM-CD)

最近のコメント
最近のトラックバック
LIVE TRAFFIC MAP
Myスカウター

スカウター : Cottonwoodhill 別別館

FC2検索

タグランキング

トラックワード
FC2 SEO リンク
FC2 アクセスランキング

TopHatenar

フィードメーター
フィードメーター - Cottonwoodhill 別別館
あわせて読みたいブログパーツ

ブログ通信簿

サイト価格ランキング


サイト売買のサイトストック

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
音楽
154位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
洋楽
36位
アクセスランキングを見る>>

フリーエリア
  1. 無料アクセス解析