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#1449 Joanne Vent / The Black And White Of It Is Blues (1969)

 2013-06-16
01. God Bless The Child YouTube
02. Bet No One Ever Hurt This Bad
03. Love Come Down
04. You Can’t Change
05. Ninety Nine And A Half
06. It’s Man’s World YouTube
07. Weak Spot
08. I Love You More Than You’ll Ever Know
09. Stormy Monday
10. Can’t Turn You Loose
11. Gloomy Sunday

The Black And White Of It Is Blues

なんの先入観もなく、ディスクユニオンの店頭で手にして購入を決断した1枚。彼女の名前はジョアン・ヴェント(Joanne Vent)。生年月日などはわからないが、1960年代後半にアルバム・デビューを飾っていることから、恐らく1940年代後半の生まれ当りなのではないだろうか。ジャンルはソウル、R&B、ゴスペル、スワンプ、ホワイト・ブルースなどのカテゴリーに含まれる白人女性歌手で言うなれば、ブルー=アイド・ソウルのジャンルで語るべき歌手であろう。デビュー作がA&Mなので、ゴテゴテのブルース・ロックというよりは、軽めのスワンプ・ロックという雰囲気の快作だ。彼女の記事を書くに当り、なにげなくアルバムの表裏を見てみたが、アルバムのプロデュースにラリー・マークス(Larry Marks)の名前があった。ラリー・マークスは1939年、米ロス出身でバーバンク人脈のプロデューサー、作曲家。日本のソフト・ロック・ファンにはお馴染みの名前で、ソングライターとしても、あのロジャー・ニコルスに「Love Song, Love Song」を提供している。

残念ながら今年(2013年)の2月に死去してしまった人なのだが、ソングライターとして1950年代後半にジュリー・ロンドン、サム・クックなどに曲を提供する傍ら、1960年代後半以降はプロデューサーとしてチャド&ジェレミー、メル・トーメ、ジーン・クラーク、フィル・オクス、リー・マイケルズ、ライザ・ミネリ、フライング・ブリトー・ブラザーズ、メリー・ゴー・ラウンド、ディラード&クラーク、リー・ヘイゼルウッド、ヘレン・レディ、サーティー・デイズ・アウト、バーバラ・キース、ジミー・ウェッブなどのアーティスト達のアルバムを手掛けている。ハーパーズ・ビザールのデビュー・アルバム「Feelin' Groovy」にも彼の名前がクレジットされている。また、1968年には自らもソロ歌手として「L.A. Breakdown (And Take Me In) / Country Woman」というフォーキーなシングルをA&Mに残している。余談だが、ドリス・デイ出演の映画、『おしゃれスパイ危機連発(Caprice)』(1967年)にも彼の曲が使われている。

トミー・リピューマやニック・デカロ程の貢献度ではないにせよ、1960年代後半以降のカルフォルニア・ポップの発展に寄与したA&M~バーバンク・サウンド・シーンの人物が制作に関与しているのだから、聴く前から内容は保障された様なものだ。また、彼女の名前を調べていくと、トーマス・ジェファーソン・ケイ(Thomas Jefferson Kaye)の名前にもぶつかった。トーマス・ジェファーソン・ケイは1940年、米ノースダコタ州出身のプロデューサー/ソングライター(1994年に死去)。1970年代にはソロ歌手として「Thomas Jefferson Kaye」「First Grade」といったアルバムをABCレーベルに残しているが、これらはスワンプ/ルーツ・ロックを好むファンにはお奨めの作品として知られているらしい(私は未聴)。1992年にもソロ作品「Not Alone」を残しているが、このアルバムにはエリック・クラプトン、ドクター・ジョン、スティーヴ・ミラー、リック・ダンゴ、ティモシー・B・シュミット、ジョー・ウォールッシュなどの有名ゲストが参加している。

このトーマス・ジェファーソン・ケイという男はソロ・デビュー以前にホワイト・クラウド(White Cloud)というアメリカンなバンドを結成しているのだが、実はこのバンドのリード・ヴォーカリストを担当していたのがジョアン・ヴェントなのだ。このバンドは男女7人編成のバンドでメンバーはパーカッション&ヴォーカル担当のジョアン・ヴェントの他、Charlie Brown(ギター)、Richard Crooks(ドラムス)、Thomas Jefferson Kaye(ギター、ヴォーカル)、Kenneth Kosek(フィドル、ヴォーカル)、 Tendy Wender(キーボード、ヴォーカル)。7人編成。このバンドは1972年に「White Cloud」というアルバムを Good Medicine というところから発表するも、このアルバム1枚限りで崩壊してしまっている。トーマス・ジェファーソン・ケイ自らがプロデュースを担当していた事から、バンドの事実上のリーダーであったのだろうが、歌手としてのジョアン・ヴェントの力量が評価されてバンドの一員として抜擢されたのだろうが、彼女のホワイト・クラウドの一員としてのキャリアはこのアルバム限りで消滅してしまう。

■ Joanne Vent - Lead Vocal
■ Richard Crooks - Percussion
■ Dave Johnson - Bass
■ Larry Marks - Producer
■ Michael McCormick - Arranger
■ Ray Gerhardt - Engineer

この後、ジョアン・ヴェントは表舞台に立つことなく、セッション・ヴォーカリストとして活動を継続していく。ざっと上げると1972年以降、McKendree Spring「Tracks」、Paul Jones「Crucifix In A Horseshoe」、Jerry Jeff Walker「Jerry Jeff Walker」「Viva Terlingua」、John Herald「John Herald」、Michael Wendroff「Southpaw」、Lou Reed「Sally Can't Dance」「Coney Island Baby」、Loudon Wainwright III「T Shirt」といった人達のアルバムに参加している模様。1975年には1969年以来、アラン・アブラハムのプロデュースによる久しぶりの自身のソロ・シングル、「Call My Name / Huggin'」を RCA Victor から発表するが、これ以降の彼女のソロ。キャリアについては判らなかった。上のラウドン・ウェインライト三世のソロ作への参加が1976年なので、これ以降は音楽の仕事から足を洗ってしまったのかもしれません。さて、今回取り上げるアルバムは1969年に A&M Records から発表された最初の、そして唯一のソロ・アルバム。

タイトルは「The Black And White Of It Is Blues」。同時期にシングル「It's A Man's World / God Bless The Child」も企画されているが、プロモ・オンリーで実際には市場に出回らなかった模様。アルバムのタイトルから判る通り、白人歌手による黒っぽいフィーリングがてんこ盛りのブルージーなアルバムということだ。巷での評価はジョアン・ヴェントは『ジャニス・ジョップリン・タイプの女性ホワイト・ブルース・シンガー』、或いは『ホワイト・ソウル/R&B/ブルース・シンガー』。ジャニス・ジョップリンと書くと、なんだかとてもヘヴィなロックを連想される方もいるかもしれないが、実際には彼女の歌唱スタイルは女性ブルース・ロック歌手というよりはダスティ・スプリングフィールド当りのブルー=アイド・ソウル路線の方が近いと思う。それにレーベルはあのご存知A&Mレコーズ。ジェリー・モスとハーブ・アルパートにより1962年に設立された同レーベルはメキシコ音楽のマリアッチとアメリカン・ポップスを融合させた「アメリアッチ」とういうスタイルの音楽で中流以上の音楽ファン(特に白人層)に人気を集めたレーベルだ。

A&Mレコーズは1960年代後半になるとカルフォルニア・ポップやバーバンク・サウンドのみならずソフト・ロックやスワンプ・ロックのジャンルにも手を出して人気を獲得している。そんな時代に発表されたのがジョアン・ヴェントのソロ作品。当時のブルース・ロック・ファンやジャニス・ジョップリンの好きな方になんとか買わせよう、という魂胆ミエミエのジャケットだかが、そこはそれ、単純にレコード会社の策略にひっかかっても損はないと思う。ホワイト・ソウル、R&B、ゴスペル、ブルース・ロック、スワンプ・ロック等々、こうしたジャンルをA&Mレコーズ風にアレンジしてみせたのが本作という事になる。個別の曲にも簡単に触れてみる。冒頭「God Bless The Child」はアレサ・フランクリンもかつて取り上げたビリー・ホリデイのカバー。A&Mらしい優雅なオーケストラをバックに切実に歌い上げるジョアン・ヴェントの歌声にKO。「Bet No One Ever Hurt This Bad」はランディ・ニューマン。フォーキーなランディ・ニューマン版よりもゴスペル/ソウル寄りにアレンジされているのはいわずもがな。

「Love Come Down」 は『ジャニス・ジョップリンばりの~』というウリにぴったりなナンバー。「You Can’t Change」は録音にも参加したマイケル・マコーミックの曲。ゴスペル・ミーツ・A&Mといった感じのスワンピーなナンバー。「Ninety Nine And A Half」はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルもカバーした1966年のウィルソン・ピケットのスマッシュ・ヒット・ナンバー。「It’s Man’s World」はご存知ファンクの神様ジェームス・ブラウンのカバー。「I Love You More Than You’ll Ever Know」はアル・クーパー。この後もT-ボーン・ウォーカー、オーティス・レディングなどのカバーが続く。全曲すべて他人の曲。彼女自身にソングライティングの才能はなかったようだ。彼女の魅力とウリを充分に理解した上で、的確な曲を容易して彼女に用意したレコード会社とスタッフ・サイドの成功話。それがジョアン・ヴェント「The Black And White Of It Is Blues」という事だ。1枚限りで終わってしまったのが実に残念。

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